『トリコロール』から『緑と青』へ贈る最大のエールは、彼らから勝利を奪う事!2019 J1リーグ第29節マリノスVS湘南ベルマーレ プレビュー

代表ウィークを挟んで迎える第29節のホーム湘南ベルマーレ戦。湘南は、監督を交代してから初めての試合となります。監督も代わったし、書く事は少ないしで、ちょっと思った事でもと書き始めたら、意外と重めの文章になってしまっているため、今回は前段が長いです。プレビューだけ読みたい方は、読み飛ばしてください。

まず、この第29節は、

『自分を信じることだ。自信の無い者に戦う資格は無い』

『選手は何かを成し遂げられるという自信を持たなければならない。リーグ優勝でもカップ戦でも何でも良いが、勝てるという自信がなければプロサッカーという仕事はできない』

『アグレッシブなプレーを心がけることで、判断の速さは埋めることができるのだ。敵に呼吸をさせてはならない』

この3つのオシム語録が鍵になると見ています。まぁ、今節だけに限らないですけどね。特に!です。

昨年の今頃、ルヴァンカップのファイナルで、俺達マリノスを倒した湘南。俺達は、あの時の悔しさは誰一人として忘れていないはずです。

現在、ある意味スタイルを見失っている湘南において、ルヴァンカップのファイナルからスタイルを継続、いや進化させているマリノスだから、昨年の大舞台で敗戦したマリノスだからこそ、勝利をする事で、『緑と青』にあの時の強さを思い出させてやれると私は思います。湘南にはFC東京との試合も残っているのですから、頑張ってもらわないといけません。

では、見失っているスタイルとは?という話なのですが、湘南の強さは、攻守の切り替えの速さと、縦へのスピード、フィジカル強度の高さ、そして何よりも、これらのしんどい動きを実現するための気持ちだと考えます。そう、気持ち。

キジェさんが指揮を自粛した後から勝てていないため、指揮官不在で選手のモチベーションが下がっているのでは?

という事ばかりにフォーカスされてしまいますが、前半戦の17試合で勝ち点17しか獲得出来ていないというのは、元来の湘南の強さが薄れてきているという現れです。そこは、パワハラ問題と切り離して考えないと、本質を見誤ります。気持ちという不確かなもので強さを担保してきた湘南において、強さを維持する事は、そもそも、とても難しいのです。

さて、そのキジェさんの代わりに監督になったのは、浮嶋 敏(うきしま びん)さん。敏さんは、選手として日産の二部組織からスタートし、富士通へ。監督としては、高校サッカーを経て、横浜FC→湘南という経歴です。
湘南ではトップコーチを経て、アカデミーダイレクターを任されながら、ユースの監督になったのは今年からで、それまではU15の監督です。今年はK1リーグで、桐光学園や日大藤沢をおさえて首位に立っており、実績も出されています。要は、キジェさんのスタイルを育成に落とし込んで来た人です。

正直クラブとしては、ここで育成のプロが抜けるのは、トップチームの監督を失うよりも、ダメージが大きいなぁと感じます。まぁ、彼しか引き継げる人がいないというのも分かるので、これは苦渋の決断でしょう。

つまり、戦術的なスタイルはしっかり引き継がれるはずです。それは、気持ちの部分も含めて。ただ、一度崩れた気持ちを取り戻すのは、容易ではありません。特に湘南の様に一丸となって攻守を行うチームでは尚更です。
敏さんならば、トランジションの速さを意識する事と、マークの意識を徹底させる事で修正をしてくると思っていますが、必ず綻びは生まれます。立ち直ったとしても、前回対戦で見せた根本的な弱点には、さすがに着手出来ないはず。

ここで、冒頭のオシムさんの言葉に戻ります。

自分達のスタイルに自信を持つ事、アグレッシブにプレーする事は、昔の湘南の様でありますが、今ならば、マリノスこそ体現しているチームであると言い切れます。

昨年から、どのチームよりも自信と実力を積み上げてきたマリノスは、現在の湘南に負けてはいけないのです。強者たろうとしなければ、優勝なんか出来やしない。強者の自信を持って、行きましょう三ツ沢へ。行けない人も、強者の心を三ツ沢へ。

では、いつもの様に前回対戦の振り返りから。

1,【14節アウェイ湘南ベルマーレ戦の振り返り】

湘南ベルマーレとの前回対戦は、アウェイで1-2の勝利。人に付く守備で、541のブロック守備を行う湘南。前の5枚でプレスを行うため、54のライン間が空きやすく、前後分断ブロックとでもいうべき布陣になっていました。

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また完全徹底時には、541ブロックなので、後ろに重心を置いて守るものの、スライド守備もするため、4のラインは逆サイドが空きやすくなるという特徴もありました。

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マリノスの2得点は、見事にこの前後分断の弱点と、スライドの弱点を突いた事で生まれます。

1点目は前後分断を突いたもの。

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2点目はスライドの弱点を突いたもの。

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共に、チャンネルから崩した見事なまでの5バック攻略でした。

この前回対戦で突いた弱点の部分は、現在の湘南にも残っています。もちろん前述の様に、新監督が上手く修正しているかもしれませんが、必ず同じ状況には陥ります。そんなに簡単じゃないのだよ、気持ちってやつは。

2,【湘南ベルマーレの守備】

まず、湘南ベルマーレの守備です。前回対戦と変わらず、541のブロック守備をまずはセットします。

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ボールを奪われた際は、前線5人の攻から守へのトランジションは遅いです。奪ってからの速攻は狙いどころでしょう。話を進めます。ブロックを作ると、1トップから順次プレスを行うあてはめ型のプレスに移行します。もうスライドパズルの様。

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前回対戦の項でも触れましたが、この時、後ろ5枚と前5枚が連動しきれないため、前後分断化します。

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この様にライン間が空きますので、マルコスや両SBがこのポジションを使いたいところです。

もっと言えば、前5枚を自陣に誘い込めば、勝手に疑似カウンターになります。

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ただ、これが嫌で、山﨑だけがプレスに行くなんて試合もありましたので、完全ブロックで来ることもイメージしておくと良いです。

もう一つ、前回対戦の項で触れたスライド守備も変わらずあり、中盤4枚は極端なスライドになります。

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こうなると、アイソレーションが効きます。

また、中央にボールがあれば、真ん中に集まってしまいますし

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最終ラインを中央から外に釣り出せれば、今度はチャンネルが空きます。

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要は、食いつかせて外し、前へというビルドアップが効くわけです。

また、湘南はラインの作り方が下手で、綺麗な線ではありません。特に最終ラインでは致命的です。マークが緩く、ゴール前でも簡単にワンツーを決める事が出来ます。

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このように14節と同じく、丁寧にバイタルとハーフスペースを突いていけば、崩せるでしょう。アグレッシブに行こう。俺たちはあの時よりも、強くなっている。

3,【湘南ベルマーレの攻撃】

続いて、湘南ベルマーレの攻撃です。CHが落ちて4141の様な形で、今シーズンのマリノス4123のようになるビルドアップと

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そのままWBを上げて、325的に攻める形。

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この2通りがあります。クロスが主な武器になっているのは、どちらでも変わりません。

どちらも、ファーサイドクロス折り返し狙いですし、クロスターゲットは野田と山崎です。

山崎は外に流れる傾向があり、空いたスペースをWBやシャドーが使っています。5レーン的な考え方ではありますが、狙いはハーフスペースというより、マークに付きづらいダイアゴナルランを、自然発生させるための動きというイメージです。

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この状態で、CHがロングもショートもパスの供給源になっており、CBは1トップ2シャドーに簡単にロングボールを入れてきます。なかなか1トップに収まらないのですが、まぁ嫌ですね。なので、マリノスの対抗策としては、前から嵌めるしかないよねという事です。

前から嵌める際の、大まかな方法論は2つ、

WGがWBを見る方法と

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WGが湘南3バックを見る方法です。

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後者の方がリスクは高いけど、大事なのは手法ではなく、どうやるかを明確にする事です。
迷っていてはダメ。まっすぐ向かって行けばボールは奪える。敵に呼吸をさせてはならない。

4,【最後に】

さて、スタメン。

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マリノスは、磐田戦から変えず。このまま松ケンで戦い抜いたら胸キュン案件ですよ、本当に。

一方の湘南は、まったく読めない。基本は変えないと思います。代表帰りの杉岡が、疲労考慮で鈴木冬一になるかどうかくらいでしょうか。

いつもの様にまとめようと思ったのですが、やはり冒頭のオシム語録が全てです。こっから先は、サポーターも強者たろうとする必要があります。俺達は負けるだなんて微塵も思わずに、自信を持って残り6試合を勝ち切らなければならないのです。『ALL or  Nothing 』でペップも言っていただろ?

「マドリーやバルサと我々との唯一の違いは、『勝利への確信』があるかどうかだ。偉大なチームにはある種のアロガンス(傲慢さ)が必要なのだ」

俺達には、優勝出来る自信がある!信じて疑うな!

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

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