グッバイ、サマー。マリノスのひと夏の成長物語はラスト10へ。最初の相手はツネサマー。2019 J1リーグ第25節マリノスVSガンバ大阪 プレビュー

名古屋との殴り合いを制し、次節は三ツ沢でのホーム戦を迎えるマリノス。名古屋戦の中で見えた細かい修正点など、開幕からずっと抱えてきたし、選手も少しずつアジャストして今に至るので、心配よりも、より強くなれるワクワクに満たされていた1週間。

シーズンの中でやるべき事を、ある程度押さえつつ、選手の入れ替わりと布陣の変化に対応して、この順位にいる選手を誇らしく思いますし、他のチームから見れば、ずるずる落ちていくだろうと思っていたのに、別の武器を備えて這い上がってくるマリノスは、恐いチームだよなと感じます。強い気持ち・強い愛で、残り10試合のプレビューを書きたいものです。

さて今節、その三ツ沢でマリノスが迎え撃つのは、ガンバ大阪。ガンバ大阪と三ツ沢でやるのは、2009年のナビスコ以来。リーグ戦で言えば2007年以来となります。シーズン序盤は4バックだったガンバ大阪は、12節の大阪ダービーから3322(5バック)の布陣に変更し、13試合4勝8分1敗。得点16失点13。それまでは、11試合2勝2分7敗。得点15失点22です。

後ろ重心になった事で、失点は抑えられていますが、攻撃の部分ではそこまで上手くいっていません。宮本監督は、CHと前4枚は誰が適正なのか、随分と長く悩んでいます。

という事で、いつもの様に、前回対戦の振り返りから始めたいのですが、今回はちょっと様相が異なります。なんせ、前回対戦は開幕戦だったから。

1,【1節アウェイG大阪戦の振り返り等】

ガンバ大阪との今シーズン開幕戦。開幕戦なので、お互いにそこまで情報を持たず、自分たちのサッカーをぶつけ合った印象でした。

ガンバは試合の入りからプレスを掛けてきて、マリノスは試合開始早々に失点をします。これは昨シーズンのマリノスのやり方を踏まえて、ガンバが狙って来た形でした。

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ただ、自分たちのアタッキングフットボールを信じて戦い、見事前半で逆転し突き放して見せたマリノス。あんな事(2点目)、

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こんな事(3点目)

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あったでしょ?

さて、この試合から今節に役立つものがあるかと言われると、実はありません。現在とはお互いに選手も変わり、布陣も変わり、しっかりとした対策もされていなかった試合です。
そのため、シーズン前半のプレビューで書いていた対戦チームの特徴を書いて、理解が深まればと思っていたのですが、書き始めたら結構酷い事を書いてしまったので、うーん、やっぱり書けないという状況に陥り、内容を変更。ただ、その中でも、参考になればと、たった1つだけですが書ける事を。

攻守こそ違えど、私の中で監督としてのアプローチ手法は、風間さんとツネさんは近い印象です。なので、ここが連戦になったというのは、良かったかもなと思います。

では、現在のガンバ大阪に話を移しましょう。

2,【ガンバ大阪の守備】

※以降、図解のヤットは10番倉田と読み替えてください。

まずは、ガンバ大阪の守備です。布陣は532。ミドルゾーンで構え、プレスもブロックもやって来ます。

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微妙なニュアンスですが、人に付く守備というよりも、個人で潰す守備です。
12節の大阪ダービーの際にはブロック守備でしたが、徐々にプレスの割合も増えてきました。そのため、まずはブロックセットを行い、そこからプレスという意識があります。

まず最初のブロックセットの時点で、IH2人とFW2人で相手のCHをケアしていると考えてください。

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ここからは、プレス時とブロック時に分けて話を進めたいのですが、どちらの場合も、井手口がCHの場合は、彼が広範囲の狩人として人を追いかけてくれるので、彼をどう動かすと局面が楽になるかは常に考えて良い事象です。

【プレス時】

最初に攻略すべきは、ガンバのWBです。プレスをしてきたら、サイドに1枚しかいないWBの裏を突くのが手っ取り早いので、彼らをどう釣るかが主題になります。

まず、CH落とした3枚ビルドアップには、FW2枚とボールサイドのIHが出てきます。

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IHが間に合わない又はピン留めされている場合は、IHはこちらのSBとCHを見る事になります。

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こちらとしては、WBを釣るためにはSBのポジションを上手く利用したいので、監視役になってしまうIHを3枚ビルドに釣り出したいと考えてください。
そのためには、ピン留めはせずにガンバ2トップの脇を突くような形で3枚を形成したいです。

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こうなると、ガンバCHは空いたIHの位置をケアする様になりますので、こちらはマルコスが動きやすくなるはずです。

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この時、前線はWBが下がっていれば5対4での戦いになりますが、

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ここでSBにボールを出して、WBを釣ってしまえば、数的同数に変わります。そして、この形になりやすいように、選手の配置も少し移動してみましょう。

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ここまでの動きを流れる様に行い、SBにボールが出れば、自然とガンバWBを釣る事が出来るでしょう。 これはマリノスがよくやる動きですので、そこまで難しくありません。

ここから先は、WBの裏を突くためにマルコスを使います。

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連続して斜め前へのパスが展開できます。もしくは、

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WGを使って、ガンバHVを釣りだしてもよいです。どのアプローチでも、HSが使えます。

もし、ガンバWBのプレスが、最初からSBにきっちり来ているならば、一度押し込んでから戻ってくるというスペースを作る動きをやっても構いませんし、

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畠中からのパス先として使ったSBを囮にして、直接ケイタやマルコスへハーフレーンを貫くパスや落ちなかったCHへ斜めのパスを入れても構いません。

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作りたい局面は変わらないので、ここでも大事なのは、やはりWBを釣っている事です。これで釣れなければ、ブロックセットしているので、ブロック攻略のパターンに切り替わります。

ここまで来れば、HSを自由に使えるようになるでしょう。最終ラインは比較的、5バックのポジションは守ってしまう傾向にあり、スライドに弱く、CBはピン留めしやすいです。

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以降は、あまり時間を使ってはいけません。空いたスペースを、全方位狩人の井手口や、釣られたWBが戻って埋めてしまいます。まぁ、そうなると今度はバイタルが空くんですけどね。

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そろそろドッカンミドル見たいですよね。

この様に分かりやすくハーフスペースへ侵入出来てしまうので、ガンバの532守備はマリノスとの相性は悪いよねと感じさせます。

【ブロック時】

上記プレスが上手く機能しないと分かれば、532はブロック守備に変わるでしょう。

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図を見て分かるように、SBでボールを持てるはずなので、こうなれば、WGを中に入れて、SBを上げ、マルコスが落ちて井手口を釣り、CHをワイドに広げると、あら不思議。畠中の縦パスのコースが出来上がります。

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もう、ここからは5バック攻略の定石に切り替えれば問題ありません。とはいえ、こんな面倒な事しなくても、SBでボール持てるなら、そこから崩せば良いんですけど。

こんなのや、

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こんなの。

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ブロックになれば、押し込むと2トップ以外の8人が防衛に回るので、この形にならなければ、後ろで回して良いでしょう。もし、無理やり作るなら、畠中からのパスコースを作ったように、相手の初期532ポジションにこちらから嵌まりにいって、動き出せば、ズレは作れるはずです。

これらが、ガンバ大阪の守備の泣き所です。どの形も、今までマリノスがやってきたものです。やってもらわねば。

3,【ガンバ大阪の攻撃】

続いて、ガンバ大阪の攻撃です。まず、個人の力を使いたいチームなので、前線の4名は比較的自由に動きますが、WBでこちらのSBを釣り出して、IHでそこを突くのが定石です。

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また、困ったら、2トップのパトリックやアデミウソンへ、シンプルにボールを入れてきます。

丁寧にビルドアップする時は、同サイドのWB・HV・IHにCHや2トップが絡んで進撃をしてきますが、前述した通り、ここら辺は上手くはいっておらず、個人のアイデア頼みの感が強いです。

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怖いのは、

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パトリックにクロスを合わされるのが嫌だなと思います。

続いてビルドアップは、CHに矢島、遠藤、井手口と選択肢がありますが、それぞれ特徴があります。

まず、3バックが広がるのはどのケースでも変わりません。

CH矢島の場合、最終ラインの金と三浦の間に落ちて、4バック気味になります。こうなると、ビルドアップの出口がサイドになり、相手に簡単に閉鎖されてしまうので、大体はIHが落ちてきて中の選択肢も作ります。

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お分かりの様に、矢島の場合はビルドアップの入り口は円滑になるものの、後ろに重たくなるので、IHが落ちて来れば、最前線までの距離が遠くなります。

次に遠藤の場合、見た時間が少かったのでなんとも言えませんが、矢島ほど落ちません。パスは素晴らしいのですが、運動量の問題もあるので、結局のところ倉田がサポートしており、矢島と同じ現象に陥ります。セットプレーではメリットが出るでしょうが、遠藤は使ってこないのではと見ています。

最後に井手口。彼ははビルドでは落ちません。横にズレてパスを受けようとはしますが、あまり効果的なパスの引き出し方にはなっていません。

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ただガンバとしては、CHが落ちることなく(本質はIHの重心を前に置きたい)、前にボールを運んで、レイヤーを進めたいので、この相手CH前で張る事が正解だと思います。
もし、IHの片方が落ちれば、SB裏を狙う場合に、サイドが限定されますし、最終ラインからロングボールで常にSB裏を狙っても、この時は必ずCHがついていけばよいので、こちらとしては、準備は出来ている状態。
ロングボールだけではない、チャンネル攻略をガンバはしたいはずです。

当然、マリノスはそこに来られる前に、プレスで潰すのが前提です。WGはHVに付く形で良いでしょう。マルコスが井手口に。

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SBがWBについて、引っ張り出されると、SB裏は空きますが、前から奪いきるなら、嵌めやすいのはこれでしょう。ちなみに、WGでWBを見ると、

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うーん、やらないでしょう!
一番困るのは、WBのマークがどっちつかずになることなので、試合序盤はどうマークしているか見ると良いかもしれません。

4,【最後に】

さて、スタメン。

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マリノスは、前節から変更はないと見ています。

一方のガンバ大阪は、CHと前線4枚が流動的。CHは前述したように、矢島の場合はビルドアップで機能していたが、その分、倉田が下がり気味になるため、前線の攻撃に迫力が出なかった。
井手口の場合は守備時のカバー範囲が広く、ビルドアップで落ちないのでIHを前へ押し出せるものの、守備時には釣り出されやすい。一長一短のCH。
でも、やりたい事は後者だよねで井手口。少なくともヤットではないと思います。
前線4枚は、IHに高江を予想する声もありますが、そんなに変えるかねということで、その他は前節から変更はないと予想。もう、2CHにしたらと思うんだけど。

まとめます。
マリノス攻撃時は、プレスされた場合ではWBを釣り、HVを釣り、HSを攻略。ブロックの場合はチャンネルを大きくするか、そのまま連携で崩すか。
マリノス守備時は、ガンバWBのマークをしっかりする事。IHのチャンネル飛び出し注意。個人でぶん殴って来るけど、それは前節の方が難易度高いし、そこで負けちゃ駄目。

この試合の後は、ナショナルウィークのため、次節まで2週間空きます。
畠中おめでとう!
ケイタとナベおめでとう!
その間に新戦力のフィットも計算できます。ルヴァンがないのを良い事に、ガンバ大阪に勝って、万全の状態に持って行きたいです。

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

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