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週刊リーグアン#5

先週行われた日本代表の親善試合。リーグアン勢から選出されたスタッド・ランスの2人は各々しっかりと結果を残してくれました。

現代表の多くが各クラブで戦術家のもとでプレーしている分、個人の戦術理解度が高まっていることは何よりの収穫なのではないでしょうか。この勢いのまま来年のアジアカップ制覇を成し遂げてほしいと願うばかりです。

さて、今季初の国際マッチウィークを終えて各クラブに怪我人を抱えながらも再びリーグが開催されました。リーグアンにおいてもかなりの話題を集めた第5節、さっそく見ていきましょう。



①ニースの勢いがPSGを撃破

ともに無敗のまま迎えたPSG×ニースのビッグマッチ。前節はリヨン相手に4得点の快勝でアセンシオの0トップ戦術が実を結んだPSG。対するニースは前節今季初勝利を飾り、お互い国際マッチデーを挟みながらも良い状態で迎えることができました。

今季圧倒的な支配率を誇るPSGに対して、ニースは良い守備から先制点を得ました。21分に相手のビルドアップ時におりてきたエンバペをトディボが捕まえ、高い位置で回収したところからラボルドゥがつなぎ、こぼれたところを最後はモフィがトリッキーなシュートを流し込みました。しかし約8分後には、大外デンベレの内側を取ったハキミのマイナスのパスを中央でエンバペが合わせて早い段階で同点ゴールを奪いました。

前半は1-1で折り返しますが、後半の立ち上がりにニースは52分にピンチを凌いだところからのカウンターで勝ち越しに成功します。1人だけ残っていたモフィめがけてサンソンが走らせるロングボールを放り、うまく収めたモフィは正対しながらダニーロを簡単に交わし、ファーに走ってきたラボルドゥに合わせました。

67分には自陣でのビルドアップから、エンダイシミエの縦パスをうまく収めたモフィがラボルドゥへ渡し、ワンツーでまたしてもモフィを走らせるボールが通りました。モフィは右サイドから仕掛けて自ら左足を振り抜いたゴールがネットを揺らしました。引導を渡したPSGでしたが、終盤には右サイドハキミのクロスをコロ・ミュアニがつないでエンバペが驚異的なダイレクトボレーでパルクを沸かせますが、あと1点及ばず。

中盤の数的優位を活かしながらポゼッションをすると同時にモフィという飛び道具を最大限に活用したニースの技量が上回りました。中盤のフィルター役を担っていたウガルテが途中投入されるまでは、攻守においてクオリティを欠いたPSG。特にビルドアップは選手の質に大きく依存していたことが失点に繋がってようやく浮き彫りになっていたと思います。



②おかえりメンディ 763日ぶりのピッチで大仕事

今夏の市場において、ある意味で世界的にロリアンの知名度が高まる事態が発生しました。その注目の的となったのは、元フランス代表バンジャマン・メンディでした。

レイプや性的暴行などの複数の容疑で起訴されてしばらくフットボールができない状態が2年続いていましたが、今年7月に残っていた容疑が全て無罪が確定し、ようやく彼の将来に希望の光が照らされ始めました。

ピッチから約2年遠ざかっていた彼を救ったのはブルターニュ地方のロリアンでした。今年1月にボーンマスとの共同オーナーが発足したことにより、メンディ級の給料を賄うことが可能となりました。

身体の不快感を訴え、加入後もベンチ入りできない状態が続いていましたがこの5節しかも古巣モナコ戦という最高にエモーショナルな舞台が整って、彼が今季初のベンチ入りを果たしました。

開始2分で先制するも、前半のうちに追いつかれ、後半に逆転弾を許した直後の71分にそのときは巡ってきました。左サイドのル・ゴフに変えてバンジャマン・メンディが投入され、スタッド・イヴ・アランマは盛り上がりました。

763日ぶりにピッチに立ったメンディは推進力やクロスで見せ場を作っていましたが、1点を追いかけるATラストプレーで彼が魅せました。左サイドメンディのクロスにパワープレー戦術で前線に上がっていた206cmCBイサク・トゥレの頭での折り返しにフェーヴルが劇的な同点弾を決めました。

敗色濃厚だったロリアンを得点・アシストした選手と共に救ったメンディ。実に感動的な試合でした。彼と共に今季ロリアンには、かつてモナコの優勝に貢献したティムエ・バカヨコ(負傷中 復帰見込み10月上旬)もいるため、彼らの経験値をロリアンに注入してほしいです。



③祝 中村敬斗リーグアン初アシスト

今季好調のブレストをホームに迎えたスタッド・ランス。2試合ぶりに左サイドでスタメン出場を果たした中村敬斗はチームの戦術に大きく貢献しました。

守備時は同サイド圧縮を徹底的に行い、攻撃では右サイドを起点にしながら中央での数的優位を活かす戦い方をしたスタッド・ランス。相手のアンカーレース・メルーの脇のスペースを効果的に活用すべく、右サイドからのボールを受けて中央で中村敬斗は仕事を任されました。

すると19分。左サイドでテウマの技術によって得たFKに二アで中村が反らしたボールにリシャルドソンが詰めました。リーグアン及び新天地での初仕事はヘッドによって達成されましたが、これは昨季伊東純也も新天地での初仕事(ゴール)はクロスに頭で合わせた得点でしたので、何か縁を感じるような瞬間でした。

後半は幅を使った攻撃やロングボールも混ぜた戦術を整えてきたブレストの勢いを止めきれず、50分、56分と立て続けに失点し逆転を許してしまいました。追いつきたいスタッド・ランスでしたが、狙いのネガティブトランジションのプレスは全く機能せず、SBの裏のスペースを使われ続け、最後まで流れを引き寄せることができませんでした。

好調ブレスト相手に勝利することはできなかったスタッド・ランスですが、まだまだ課題は多いのが現状です。リードを死守することができていない試合が続くと今季の目標であるヨーロッパ圏内は厳しくなります。次節はミッドウィーク開催の変則的な日程のもと、中村敬斗獲得の噂もあったリールのアウェーに乗り込みます。



今節の結果まとめ

2023/09/16
PSG 2-3 ニース

2023/09/17
レンヌ 2-2 リール
RCランス 0-1 メス
ロリアン 2-2 モナコ
クレルモン 0-1 ナント
スタッド・ランス 1-2 ブレスト
ストラスブール 2-2 モンペリエ

2023/09/18
マルセイユ 0-0 トゥールーズ
リヨン 0-0 ル・アーヴル

強豪対決となったレンヌ×リールは89分にレンヌが追いついてドローに。31本のシュートを浴びながらわずか2本のシュートで勝利したメスは大金星。RCランスは最悪な状態のままCLを迎えることに。現地時間夕方以降に開催された2試合はいずれもスコアレスドローという結果に終わりました。


第5節終了時点での順位がこちらです。




次節の注目ゲーム

第6節ではなんと4つのダービーが開催されます。ナント×ロリアンの[Derby de la Bretagne]に加え、注目度の高いモナコ×ニースの[Derby de la Cote d'Azur]とPSG×マルセイユの[Le Classique]が開催されますが、私はメス×ストラスブールの[Derby de l'Est]を注目試合に挙げます。

なぜこのダービーを注目試合に挙げたのかというと、このダービーは他の3つと異なり、2年ぶりに開催されるからです。1900年初頭に設立された両クラブは1927年にフランスのアマチュアクラブのチャンピオンを決める大会で対戦し、それ以降同じ東部のクラブという関係性も絡めてライバル意識を持ち続けてきました。

川島永嗣選手がメスからストラスブールに移籍したり、最近ではアントネッティ監督がメスからストラスブールに渡ったりなどライバル関係といえどそこまでの嫌悪は無いようにも見えますが、過去にはこの関係性をきっかけに刑事事件に発展したり、2008年から2009年にかけてストラスブールの最高の観客動員数を記録したのがこのダービーだったりと、ダービー故の熱さは顕在です。

前節はメスが猛攻を耐えてRCランスに勝利し、ストラスブールは2点のビハインドを追いついてみせました。どちらも低いブロックの守備を基軸としながらカウンターで攻めるチームですが、おそらくストラスブールの方が長くボールを支配し、メスが耐えてワンチャンスをものにする戦いになるかと思います。2年ぶりのリーグアン及びダービーにメスのサポーターは多いに賑わっています。おそらく日本では配信がされないかと思いますが(泣)、他の3つのダービーとともに目に留めてほしいと思います。



23/24 リーグアン 第6節日程(現地時間)

2023/09/23
 4:00 モナコ×ニース

2023/09/24
 0:00 ナント×ロリアン
 4:00 ブレスト×リヨン
20:00 メス×ストラスブール
22:00 ル・アーヴル×クレルモン
22:00 RCランス×トゥールーズ

2023/09/25
 0:05 モンペリエ×レンヌ
 3:45 PSG×マルセイユ

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