見出し画像

レビュー 22/23 リーグアン 第12節 スタッド・ランス×オセール

こんにちは。今回は10月23日に行われた、22/23 リーグアン 第12節 スタッド・ランス×オセール の試合のレビューをやっていきます。



この試合の両チームのスタメン

黒:オセール 赤:スタッド・ランス

2試合の出場停止処分が明けて伊東純也がついに復帰。



復帰後すぐに結果を果たし、7試合ぶりの勝利を手にする

トロワ戦の引き分けから、PSG、ロリアンという上位陣にも引き分けるというしぶとさを見せているスタッド・ランス。しかしながら、誰もが待ち望んでいるのは勝利。

今節対戦したオセールは、意外にもリーグアンでは初対戦となったようです。その意外な話題よりも日本国内で注目を集めたのが、伊東純也の復帰。

監督交代後初スタメンを果たした伊東は4−2−3−1の得意の右サイドで先発。しかしながら、序盤で目立ったのは逆サイドのゼネリでした。

ゼネリはキックオフ直後から積極的に左サイドからドリブルを仕掛け、スタッド・ランスの攻撃時に左サイドにボールが多く集まると共に、ジョリー含めたオセールの右サイドを脅かしました。

先制点はそのゼネリのドリブルを活かした形から。ゼネリが左サイドでボールを持つと、あらかじめ左サイドにいたバログンが、ゼネリに注視しすぎていたジョリーの背後のスペースをうまくついてファーに流し込みました。

スタッド・ランスの先制点のシーン

前半からいつも通り守備の切り替えを早く行うことを心がけ、4−4−2の守備からボールを奪ってサイドに集め、クロスに中盤の選手も飛び込むという形が目立ちました。

しかし、その先制点による良いムードも長続きしませんでした。先制点後の4分後には1発で簡単に失点してしまい、試合を振り出しに戻してしまいます。

流れが相手ペースに傾いたところで、目立ち始めたのは4バックでの守備の不慣れ感。オスカル・ガルシア政権の時は5バックが中心だったため、4バックで戦う場合はもっとコンパクトにする意識を身に付けなければなりません。

これは時間が解決してくれることを願いますが、この日先発したキャプテンのアブデルハミドの相棒には19歳のシェイク・ケイタが選ばれました。ケイタはこの日がプロデビューということでしたが、まだチームとして4バックの戦いに慣れていない段階で若手を試してくるスティル監督の大胆さには驚きました。

時間が経つにつれて、左右のアンバランスが顕著に表れてきます。RSBのフリップは元々FWの選手ということもあり、これまでのRWBの時以上に苦手な守備の負担が増え、何度も相手にそこを狙われ続けました。

徐々にゼネリのドリブルのキレがなくなってきた後半66分以降にかけて、エンブクやファン・ベルヘンが投入されます。

アタッカーを変えたことで、気持ちを引き締め直したスタッド・ランスはよりアグレッシブに振る舞います。守備に不安のあるフリップをあえて高い位置に上げて、勝ち点3を狙いに行きます。

そしてその形が結果的に実ったのが終盤の87分でした。左サイドから途中出場のファン・ベルヘンのシュート性のボールをファーで詰めていたのは、途中からバログンと2トップを組んでいた伊東純也でした。

3試合ぶりに出場した伊東純也は、この日は立ち上がりから左サイドのゼネリが絶好調だったこともあって、右サイドではなかなかボールがもらえず、内よりのポジションを取っていました。

後半に入って得意の右サイドで縦突破を図るシーンが増えてはきましたが、カットインがほぼないということを相手に悟られ、効果的なチャンスを演出することには至りませんでした。

いよいよ伊東純也も研究され始めてきたかと思いましたが、めげずに縦突破にガンガン挑戦してほしいと思います。この試合ではカットインを図って左足でふかしてしまう場面もありましたが、現代に貴重な右サイドに右利きのアタッカーなので自分の持ち味を存分に発揮してほしいです。そういったことにうってつけなのが、このリーグアンなのです!

この伊東純也の貴重なゴールにより、スタッド・ランスはアンジェ戦以来の7試合ぶりの勝利。引き分けが多く続いていた中でようやく今季2勝目を挙げることができました。

今季は内容面でもポジティブな要素が多いですが、次節のブレストやナント、モンペリエなどの中堅クラブとの戦いにもしっかり結果を残していきたいところです。



今後の浮上のきっかけは全てニアン次第

第4節のストラスブール戦の勝利から、2引き分け5敗という危機的な状況のオセール。相手ベンチに不適切な行動をとったこともあって、功労者のフルーラン監督を解任後初の試合となりました。

こちらも4−4−2の守備の形から入った立ち上がりは、相手のゼネリにドリブルで何度も危険なシーンを作られ、ゼネリにマークがいきすぎたところを突かれて先手を取られてしまいました。

攻撃時はラヴェロソンがマトゥシワのマークにあっていたこともあって、ビラマ・トゥーレとシナヨコを中心にビルドアップを形成します。狙いとしては早い段階でウィングに預けて、その大外のレーンをSBが狙うという形でした。

先制点を与えたことは痛恨でしたが、すぐさま追いつくことに成功します。右サイドからサフィの左足のクロスに合わせたのはニアンでした。

ニアンはボックス内ではアブデルハミドに完全に競り負け、やたらサイドに流れるなど、自分のポジションを試合の中で見つけることに苦労している様子でしたが、ここにきてニアンらしい結果を残すことができました。

しかしながら、やはり前半のうちはゼネリのいる左サイドでやられまくりました。ゼネリにマークが行き過ぎると、SBとCBの間のスペースを取るバログンを簡単にフリーにしてしまい、数多のピンチをコスティルが助けるというシーンが多くありました。

後半も攻撃の起点はサイドからで、特に左サイドにボールを集めて背後のアクションも交えながらといった具合でした。

相手が4バックの戦いになれておらず、コンパクトな陣形を維持できないこともあってピッチ幅を広く使った攻撃を展開しました。

そして、10番のペランが投入された66分から、彼を軸にやはり左サイドを起点としてカウンターを仕掛けます。

アンやシャルボニエ、ドゥジモンなどのアタッカーを投入し、お互いに終盤に進むにつれてオープンな展開になり、ニアンにも度々チャンスが訪れますが決めきれませんでした。

逆に終盤に痛恨の勝ち越し点を与えてしまい、万事休す。ミシェル・パドヴァニ暫定監督の初陣を白星で飾ることはできませんでした。

これでリーグ戦8試合勝ちなしという状況ですが、試合前に解説のフローラン・ダヴァディさんがご指摘されたように、チームとしての低いインテンシティというのは試合や練習を通してより高めていく必要があります。

その上で個人的に期待せざるを得ないのが、ニアンとコスティルの新加入選手です。両者ともボルドーの降格に伴い、移籍してきた今季はコスティルは復活の予感を漂わせるパフォーマンスであると思いますが、ニアンはまだまだ頑張らなければなりません。

ミランに加入した約10年前はかなり期待された若手でしたが、問題行動をよく起こすこともあって、その後のキャリアはかなり不安定なものになりました。サウジアラビアから戻ってきた昨季のボルドーでは複雑な内部事情の影響もあってか、22試合3ゴールという寂しい結果に終わりました。

ずっとモチベーションが課題と言われていたニアンは過去にピッチ上に迷い込んだ鳥を掴んでピッチ外まで運んだという素晴らしいエピソードがあるくらい、本当は心優しい人物なのです。今後のオセールは正直いって彼にかかっていると思います。自分がチームを引っ張るんだという強い信念を持って戦ってほしいと刹那に願います。



まさかの応援席!? グラヴィヨンの絆が深まるエピソード

この試合アグバドゥと共に出場停止だったグラヴィヨン。両者の欠場のために19歳のケイタを起用した次第ではありますが、欠場していたグラヴィヨンがいたのは何とウルトラスの席。

サポーターと共にチャントを歌い、ゴールを喜ぶ姿勢はチームにとって絆をより深めてくれるような温かいエピソードであると感じました。

次節以降はピッチ内でその元気な様子を存分に発揮してほしいです。



10月23日 23時00分 22/23 リーグアン 第12節 スタッド・ランス×オセール

会場: スタッド・オーギュスト・ドゥローヌ

得点(アシスト): 29分 バログン(ゼネリ) 33分 ニアン(サフィ) 87分 伊東純也

ポゼッション率: スタッド・ランス 54%  オセール 46%

総シュート数(枠内): スタッド・ランス 19本(10本)  オセール 10本(2本)

パス本数(成功率): スタッド・ランス 409本(82%)  オセール 352本(76%)


ハイライト動画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?