aoiIoka

想像ができる明日は退屈よ明日まかせでおやすみなさい。

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最近の記事

新しい思い出の保存方法

2024.04.10 ・春の嵐が通り過ぎていく、風が窓ガラスに流れあたる音で目が覚めた、アウトドア用に軽い仕様の折り畳み傘では安心して雨風を防ぎきれないなと不安を覚えつつ、ぴかぴかの制服を纏った女の子たちの間をすり抜けて、駅まで向かう、というのは昨日の話で、今朝カーテンをあけたそこには雲ひとつない空、玄関をあげれば冬よりも冷たく感じる空気、鴨川を渡る橋の上から見下ろす景色には、雑草の緑と、菜の花の黄色と、空を映した川面の青が混在して、騒がしくも心浮き立つ、暴風に耐えた桜たち

    • 二日前の菜虫の話

      2024.03.19 朝、温い布団から起き上がると寒さで身体が縮こまる、実家にいた頃も寒かったけど、半世紀も建っているこの部屋は、まだ冷たく素っ気ない、おまけに昨今の電気ガス料金の高騰で、会社に行くまでのたった1時間ちょっとにかける暖房はなく、とりあえず朝飲むための緑茶を淹れるために、お湯を沸かす、ガスをつける、そして台所に置いた姿見の前で、寝癖のままラジオ体操を始める。 なんの気まぐれか、我が家のお手洗いに今年から、二十四節気と、七十二侯が書かれたカレンダーを飾っている

      • 今朝乗る通勤電車から

        2024.3.8 暦の上では啓蟄、と言って土の中で眠っていた虫たちも、もぞもぞ、と地面に這い出てくる季節らしいのだが、東京方面は積雪のニュースがトップを飾り、立春を過ぎても、桃の節句を過ぎても、春はまだかと待ちぼうけ。 今朝乗る通勤電車からも、分厚い雲が車窓の上部を占めていて、でも大阪の街に近づくにつれて、だんだん青空が染み込んできたみたいで、きょうの空はなんだかぬるい。 会社での仕事は波があって、出来たと拍手したくなる日もあれば、足がすくむほど逃げたくなる日もあって、

        • 朝寝坊が得意になってしまった

          2024.1.19 ご無沙汰しています。 大人になってから知り合った友人がまめに日記を書いていて、顔を合わせたその出来事を文字にして公開していることに、ひとりニヤついてしまっている自分、チョロいなと思ってしまう、でも素直に顔に出ることは、いいことよね、きっと。 12月の給料が入って直後、撮り溜めたフィルムを巾着袋に詰めてカメラ屋さんに向い、現像にだした、おじいちゃんから貰ったフィルムカメラを本格的にやり始めたのは社会人1年目だから、かれこれもう9年目になる、その間にもフ

        新しい思い出の保存方法

          人生がすんなり行く。

          2022.08.31 もしもし、きょうは8月の最後の日です、最後に日になって、ようやく書こうと思えるようになりました、ご無沙汰しております、お元気ですか、お元気だったら幸いです、お元気じゃなくても、生きているなら幸いです。 世間とはずれた夏休みをとって、時間も携帯も場所も気にせずのんびりと過ごしています、とはいえ仕事はちょっと追いかけてくるので、それは自分の責任、少し相手するくらいがちょうどいいと思って確認と作業をひとつまみ、あとは家にいてクーラーで体を冷やし、心までキン

          人生がすんなり行く。

          TOEICとはもう10年以上の付き合い

          2022.02.28 ・2月の最終日曜日、一年半ぶりにTOEICの試験を受けた。  わたしとTOEICとはもう10年以上の付き合いである。高校1年生の頃、高校の団体申し込みで受験したのが初めてだった。進学した高校は国際科で、2年生の9月から留学することが決まっていた。そして、留学先でも日々の実力確認のために定期的にTOEICを受験することが課題のひとつだった。回数は問われなかったけれど、なんとなくわたしは毎月申し込んで、田舎のLewesの街からバスで15分、Brighto

          TOEICとはもう10年以上の付き合い

          冬の残り

          2022.1.30  鴨川を歩いていると、遠くの山に雪が積もっているのがよくみえる、今日は日差しは暖かいのに、分厚い雲と、一緒に吹いてくる風がまだ冬の残りを再認識させる、せっかく日向に当たってクレープを頬張っていたのに、いつの間にか影になって、その味も冷たくなって頼りないものになってしまいそうになる、立春はもうあと5日なのに、景色はまだ春の予感を出してはくれない。  今年はよく雪の降る年だと思う、去年は冬が暖かすぎて、冬生まれのわたしには退屈すぎた、今年は目が冷めて毛布と布

          冬の残り

          割れた食器

          2021.12.21  今年の春に、お気に入りの食器が割れてしまった。  食事の後、いつものように洗おうと台所のシンクに置いた瞬間、静かに真っ二つに割れたのだ。本当になんの音もしなかった、わたしの「あっ」と溢れた声のほうが大きいくらいで。  非常に高いものでもなく、世界にひとつしかないオンリーワンなものでもなく、京都ではそこそこ有名な大型の雑貨屋にセール品で売られていた。それは藍色の丸鉢だった。深い青に彩られたそれは手に取ると予想以上に軽く、朝トーストしたパンから夕食の炒め

          割れた食器

          10月は最も運勢が悪いらしい。

          2021.10.25  一年の中で10月がやけに目につくのは、中学生の頃に家族がハマっていた占いの本の影響だろう。生年月日から調べるやり方で、わたしは土星人だとわかった、真面目、頑固、潔癖、芸術を好み、自由を求める土星人の性格の説明はぐうの音も出ないほど納得した、そして本を読み進めているうちに土星人は9月、10月、11月が運気が停滞しやすく、中でも10月は最も運勢が悪いらしいのだと知った。たかが占い、と思えないのが真面目なわたしの性格で、けれど確かに10月は面倒で厄介な出来

          10月は最も運勢が悪いらしい。

          貴方は今日も。

          2021.9.30 ・己、を相手に約束を守ることが側から見れば滑稽なくらいに大変なことのようで、頭、では考えているつもりでもいざ書こうと思うと真面目もお巫山戯も両方から逃げてしまう、癖、へばりついてるのは洗濯機と洗面所のヘドロだけでご勘弁をと言いたくても、声、届かず今夜も一人暮らしのベランダのなかにずるずると忍び込んできたのは、夜、になって突然始まったコンクリートの道路を整えるために使用される爆音のドリルに、目、はすっかり冴えてこれじゃまだ家にいない昼間にやってほしいくらい

          貴方は今日も。

          わたしの一部だった異物

          突然ですが、歯を抜く、ときいて、あなたは何を思い浮かべますか? わたしの場合は、痛い、とか、絶対したくない、という感情よりも、最近見返した「レ・ミゼラブル」の娘のために身体を売ることになった女の人のことが真っ先に頭に浮かぶんです、長い髪を剃られ、奥歯を抜かれ彼女自身が子供のためにどんどん堕ちていくシーン、見るに耐えない姿になった彼女はすっかり痩せこけたその頬に、もうひとつ心臓が宿ったかと錯覚するほど脈打つその痛みを、静かに手を当てるだけで耐えていたんでしょう、いまこれを書いて

          わたしの一部だった異物

          パセリの樹

          2021.7.31 住んでいる隣のマンションに大きな「パセリの樹」がある、「パセリの樹」というのはわたしが勝手に心の中でつけたあだ名で、風が吹くたびにふさふさと木の葉をゆっくり揺らす姿がとても可愛らしい、あまりにも可愛くていつかの夕方動画に撮ってSNSに投稿したくらい、ささやかながら誰かのハートも送られてきていた。 ある日、それまで久しく見上げていなかったパセリの樹の先端が、ひどく枯れていることに気づいた、ふさふさしていた木の葉たちはすっかり痩せてしまい、心なしか樹全体が

          パセリの樹

          転がるボタンを縫いつけるということ。

          2021.7.4 ・6月のあたまに事件が起こった。取り出した夏服のボタンが次々と取れてしまったのだ。 着るのを楽しみに去年買った少しオーバーサイズのシャツ、ゆるい部屋着にちょうどいいとおばあちゃんからもらった花柄のズボン、外勤や来局用に着るために買った袖広り丸襟のお姫様のような白トップス、それらが肌に触れて、心地よくなったと舞い上がりそうになった瞬間、ぽろっと忘れ物を落としてしまったかのように、ボタンが服たちから離れて、静かにコロコロと地面を転がっていく。 こんな出来事

          転がるボタンを縫いつけるということ。

          諦める行為も決して悲しいことではない

          2021.5.21 ・今朝は久しぶりに聴いた京都市からの警報で目が覚めた、小さく鳴らした軽やかな鉄琴をわざと音割れさせたような音色になって耳に飛び込んでくる、一瞬で夢の奥底から現実に呼び戻された、寝ぼけ眼で画面を見れば、家から離れた山の近くの地域が大雨による土砂災害避難警報地域になったとのことだった、よかった近所じゃないのかと思ってまた眠りにつこうとしたところ、また警報音がなり始める、さすが警報を知らせるだけあって、音が本当に大きい、しかも今は会社から支給された業務用スマホ

          諦める行為も決して悲しいことではない

          左ページに朝、右ページに夜

          2021.4.5 ・今朝の京都は少し肌寒い、春とはいえ、まだ風は冷たい、けど暑いよりずっとましに思う、けどコーヒーが冷めるのが早いとちょっと切ない。 ・先日、新しい社員証が交付された、顔写真付きの我が社の社員証は6年を境に更新される、最初の写真を撮った(撮られた)のは、忘れもしない10月の内定式のこと、ちょっと、と呼び出されたおじさまに撮った(撮られた)写真が社員証に印刷された、わたしは東京で内定式を迎えた同期たちと違って大阪での内定式だったため、彼らの写真に多少のプロ感

          左ページに朝、右ページに夜

          贅沢な散歩

          2021.3.14  ふと今年の手帳の後ろのページをめくると「今年の目標」がいくつも書かれていた、確か年末にまだ買ったばかりの真っ白なページにとりあえず何か書きたくて、本屋でみかけた「目標を100個かく」をやりたくなってのもあるのだろう、結局33個しかかけていないが、とりあえずわたしの「今年の目標」が書かれていた、そのなかに「月一本noteに書く」なんてものもあって、いま慌てて筆を取っている次第である、今年もうすでに2ヶ月半終わってるけど大丈夫か。  昨日の夕方、河原町三

          贅沢な散歩