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元JAFCO社長の今原禎治氏が求める"経営者に必要な資質"とは?

勝手にシリーズ化しているベンチャーキャピタリスト温故知新の第2段。

今回は日本のベンチャーキャピタリストの第一人者である、元JAFCOの社長、会長を勤められていた 今原禎治氏を取りあげたい。

本当に凄い方で昭和54年赤字経営に陥っていたJAFCOの再建を任され、8年で上場をさせている。また日本アセアン投資(現日本アジア投資、JAIC)の初代社長として、上場を9年で達成している。

1982年、今原氏が投資事業組合というスキームを日本に導入したことでベンチャー投資が可能となり、日本のベンチャーキャピタル産業が始まったと言われている。

1995年に販売された著書”荒海に独り行く〜私の出会った経営者たち〜”を読むと、今原氏は常に”経営者の資質”を最優先にして投資をしていたと言う。

もちろん、経営者の資質や意欲だけでなく、”マーケットの成長性””企業の規模にかなった人材の確保”が大事な要素として挙げている。

今回は著書の中で氏が語っている”起業家に向いている人”、並びに”成功する起業家に共通する資質”に絞って紹介をしたい。


▽起業家に向いている人とは?

まずは起業家に向いているのは”企業家精神が豊かな人”と述べている。実際、著書の中では、起業家向きであるかどうかの特性を以下15個を具体例として挙げている。この様な人たちが、”新しい日本の産業の担い手になる”と語っている。

1)いわゆる”サラリーマン生活”に飽きたらない人
2)自分で会社を作って自ら経営にあたり、
       他人の指図を受けたり命令されることが、どちらかと言えば嫌いな人
3)会社を大きくしていくことに大きな喜びを感じる人
4)大きな利益を求めることに意欲を燃やす人
5)慈善家ではない人
6)たえず人生に夢を持ち、かつビジネスを具体化できる人
7)率先垂範し、わずらわしいことでも先になって行動できる人
8)他人の温情を期待しない人
9)時代の変化を見通すことができ、
       その変化に柔軟に対応できる弾力性を持っている人
10)過剰なほどの自信を持っている人
11)部下の能力を活かすことができる人
12)公私混同しない人
13)平衡感覚な豊な人
14)困難に挑戦する人
15)あまり大学など学校のことを言わない人

もし、今起業するかどうか悩んでいる学生や社会人の方がいれば、上記の特性に自身が合うかどうか、比較してみるのも良いかもしれない。

▽起業家に必要な11個の資質とは

自分の会社を成長させるために起業家は以下11個の資質を持たねばならないと主張をしている。

1)起業家は「強い体力と強い意志」が必要
2)過剰なぐらいの自信
3)持続する能力
4)問題解決意欲
5)チャレンジする目標
6)リスクを恐れない能力
7)失敗を活かす能力
8)批判を受け入れる力
9)主体性と責任を持って、難しい地位を進んで受け入れる力
10)利用できるものを十分活用する
11)自己規制

▽起業家に”必要な資質”を1つずつ解説していくと

以下、今原氏が必要な資質に対してコメントを付け加えているものを記載してみた。

1)起業家は「強い体力と強い意志」が必要
 常に色々な事が起きるので体力が弱い者は社長になれない
2)過剰なぐらいの自信
 自信過剰だと言われるくらいがちょうど良い
3)持続する能力
 ダラダラと事業を継続するのではなく、
 長期に渡り持続的に集中力を発揮しなければならない
4)問題解決意欲
 どんな事でも社長が責任を持って解決し、決断をして行くべき
5)チャレンジする目標
 具体的に可能な(現実味もあり、かつ挑戦しがいのある)目標を設定する。
   こんな目標ができるのかいなと言うロマンチストはダメ
6)リスクを恐れない能力
 事なかれ主義では絶対に失敗する
7)失敗を活かす能力
 失敗して落胆したり、意欲を失う人は社長に向かない
8)批判を受け入れる力
 経営に対する周りの批判を素直に受けられない人はダメ
9)主体性と責任を持って、難しい地位を進んで受け入れる力
 経営の責任ある地位を受け入れる事が出来ない人はダメ
10)利用できるものを十分活用する
 専門家を十分に使えない人はダメ
11)自己規制
 セルフコントロール出来ない人はダメ


▽重要な資質を1つだけあげるとすれば?

今原氏の指摘はまさにその通りだと思う。どれも重要なことを言っている。ただ、もしこの中で1つだけ重要な資質を選べと言われるとしたら、私は8番目の”批判を受け入れる力”を挙げたい。

”批判を受け入れる”とは、見方を変えれば”人の意見を素直に聞く”とも言い換えることができる。

個人的な経験談で恐縮だが、人の意見を素直に聞くことのできる経営者はどんな意見に対しても適当に聞くことはしない。一度は他社の意見にきちんと耳を貸し、自分自身でその意見を咀嚼し、最後は自分の判断で決めている。

一方、聞いてはいるものの受け流しているだけの経営者もいる。”参考になります”と言って、結果が出ていない今の状況を改善することなく続けてしまい、結局最後にまた同じ問題を起こしてしまうのだ。

振り返ってみると、私がシード投資を決める際、事業そのものよりも”人の意見を素直に聞ける能力を持っている経営者なのか”と言う点を実は重視しているかもしれない。

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朝日メディアラボベンチャーズと言う朝日新聞社のCVCで働いています。起業を考えている学生、社会人の方で「事業の壁打ち」や「相談」をしたい方がいれば、ぜひDM頂ければと思います。またはその他の起業家の方、資金調達のご相談の話をしたい方もご連絡下さい。

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