ブレンターノ「夕べのセレナーデ」(ドイツ詩を訳してみる 13)

Clemens Brentano, Abendständchen (1802)

ほら また悲しげに笛が鳴っている
冷たい噴水もざわめいている。
金色の音たちが降りてくる
しずかに! 耳を澄ませよう。

つつましい願い 穏やかな望みが
世にも甘やかに心に語りかける。
わたしを包む夜のかなたから
音たちの光がわたしを見つめる。
Hör', es klagt die Flöte wieder,
Und die kühlen Brunnen rauschen.
Golden wehn die Töne nieder,
Stille, stille, laß uns lauschen!

Holdes Bitten, mild Verlangen,
Wie es süß zum Herzen spricht!
Durch die Nacht, die mich umfangen,
Blickt zu mir der Töne Licht.

(西野茂雄・今泉文子の訳を参考にした。)

もともとはジングシュピール『愉快な音楽家』Die lustigen Musikanten の中で、少女と盲目の男性とが、この順で2行ずつ歌う。

ブラームスによる合唱曲(Op. 42-1, 1859-1861年)、ヒンデミットによる歌曲(1942年)がある。


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