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放送大学(ギリギリ)20代IT人材座談会レポ

先日、放送大学に所属する20代IT系人材でTwitter座談会(Spaces)をする機会があり、結構面白い話が出たのでここにレポートを残します。

似たような境遇の方や、これから放送大学への入学を検討している方の参考になればと思います。おすすめ科目情報もあるよ!

参加者プロフィール

  • ぷじぇば https://twitter.com/pujeba さん(以下<ぷ>)
    本座談会発起人。人間と文化コース所属で放送大学は6年目。ソフトウェアハウス勤務の28歳。中小企業診断士ホルダー(すごい)。

  • nyappi https://twitter.com/nyaopro さん(以下<にゃ>)
    2020年10月から選科履修生。いずれは情報コースで卒研がしたい。中国地方在住のシステムエンジニアで29歳。経営工学系修士ホルダー(すごい)。

  • miyake https://twitter.com/miyakeOUJ さん(以下<み>)
    2021年4月から情報コースの全科履修生。大きめSIer勤務の28歳。飲酒AWSが趣味。工学修士ホルダー(すごい)。

  • ごっこ https://twitter.com/RakT1a869LnEHne (以下<ご>)
    この記事の著者。2019年から2021年にかけて情報コースを卒業して今は選科履修生で学位授与機構申請狙い。通信会社にITディレクターとして勤務する29歳。

20代というだけの縛りだったのですがたまたまルビーサファイア世代が集まりました。

放送大学をどこで見つけましたか?入学のきっかけは何でしたか?

<ぷ>:地上波で流れているのを見て知りました。※現在地上波放送はしていません・・・
<み>:家がBS契約していたので存在に気づきました。コロナになって友達に会えなくなった時間を使ってもともとは対面の語学教室に通おうかと思っていたのですが、手元に学位記があって簡単に申し込めたこともあり、入学を決めました。編入しなかったので1年生です。
<にゃ>:データベースについて勉強したくていろいろ調べていました。通信制の大学で学べるところはいくつかありましたが、放送大学が目に留まりました。
<ご>:実家が足立学習センターの横でした。子供のころからアナウンサー養成校か何か?と思っていましたが、就職してから情報系の勉強をしたいと思った時に大学だと知りました。

やはり最初のタッチポイントとしてはTV放送が重要なようです(偶然の出会いという意味では地上波放送が終了したのが痛いですね)。通信制で情報系の勉強ができる大学は限られているので、多少調べていけば発見はできそうです。

何か困っていることはある?

<み>:基本的に通学生の大学と似たような科目を取るようにしていたので、内容的に困ることは今のところあまりないです。ただ面接授業の治安があまりよろしくない(主に質問者)ので、その辺は事務局にある程度コントロールしてもらえると嬉しいかなと思っています。
<ご>:確かに持論を述べまくるタイプの方とかたまにいますね。

図書館使ってますか?

<み>:文系科目で参考文献が必要な場合にどうするか悩んでいます。本部に行ったことがなく正直レベル感がわからないので・・・
<ぷ><にゃ><ご>:本部の図書館は行ったことないです。
<ぷ>:しばらく前まで文京学習センター地下の筑波大学の図書館で貸し出しができたのですができなくなってしまいましたね。本は割と買ってしまうことが多いです。「社会人」学生なのでお金パワーで解決です。
<み>:確かに図書館までの往復のコストを考えると買っちゃうかもしれません。単金で考えちゃいますね(笑)

社会人学生(または学生社会人)のみなさん、おカネで解決しましょう。あと本部図書館に行ったことある方、雰囲気を教えてください。

単位習得ペースはどんな感じでしょう?

<み>:大体1学期あたり3科目+面接授業という感じで組んでいますね。
<ぷ>:1学期あたり10科目までくらいですね。今期の履修科目はこちらでまとめています。

<にゃ>:大体7から10科目くらいで取っています。
<ご>:私は現役生のころからあまり変わらない感覚で10から14科目くらいです。ちょっと多めかもしれません。数学系の大変な科目がある際には減らしたり調整しています。

おすすめ科目情報をお願いします!

<み>:まだ1回生なので、通学制大学時代のカリキュラムを参考にしました(笑)理系科目を学びたい人向け、1年目にとっておいた方がいい科目セレクションです!(実際、通学制大学(母校)の工学部1回生必修科目でした)

  • 日本語リテラシー:理系に限らず、学術的な文章の書き方を学べるので学生生活を通じて役立てられると思います。放送授業の作りが凝っていて、大学の授業に慣れていない人でもとっつきやすいのもおすすめポイント!

  • 入門微分積分&入門線形代数:かなりの理系科目(物理、化学、情報など)で道具として使われているのがこれら・・・早めに倒しておきましょう。私は通学制大学生時代に単位は取ったのですが、正確に理解できていなかったので放送大学で再履修中です。

<ぷ>:その時々の興味に応じて履修するスタイルなので,あまり一貫性はありませんが「大学の学び」として面白かったものを紹介します。

  • 人間にとって貧困とはなにか:社会学的知見から貧困について考える科目。ITの仕事をしているとどうしても画一的なユーザー像を求めがちですが、それから溢れる人が世の中には実際にいるのだという観点から非常に学ぶものがありました。

  • 社会統計学入門:統計学の基礎的科目。過去幾度となく統計で挫折してきた私ですが(笑)、題材としてもわかりやすいものが多く統計の入門的科目としてとても良かったです。

<にゃ>:システム開発に関係のあることと医療・福祉に関係あることについて知りたい気持ちがあります。そのため、「仕組みを使って、人をサポートする」に関連していると個人的に思ったものをおすすめします。

  • 健康と社会:現代社会においてがんや心臓病など慢性疾患にかかる人が増加し、医療機関で療養を受けながら生活を続ける人々が当たり前にいるようになりました。社会の側にそのような疾患を持つ人が生活を続けられていく仕組みとして現状としてどんなものがあるのか、どのようなものが今後必要なのかということを学べます。まずは、「健康の社会的決定要因」というワードで検索してみて、「もっと知りたい」と思った人はぜひ受講をしてみてください!

  • 情報社会のユニバーサルデザイン:障害を持つ方や高齢の方にとってのニーズを満たすものとして開発されたものが、実際には便利であったために多くの情報機器に取り込まれ、普及しています(身近なところでいえば、電話、音声認識、音声読み上げなど)。街中をあるいたり、情報システムを使ったりする中で、「特有の事情がある人にとっても使いやすい工夫をされているな」「もっとこうしたらいいかも」という発見につながります。

  • 知覚・認知心理学:アプリを適切に使ってもらえるようにはどうしたらいいんだろうということをたびたび考えてしまいます。この授業を受けてからは、設計・開発・保守対応あたりで、人の認知機能の「記憶」や「注意」あたりを少しだけ意識するようになりました。身近なはずなのに普段はあまり意識しない知覚や認知について、あらためて勉強してみませんか?

<ご>:詳しくはこちらのnoteをご覧いただきたいですが、一つ選ぶなら。。

  • 自然言語処理:昨今何かと話題の自然言語処理について歴史をたどりながら体系的に学べる神科目です。某有名大学の授業でもテキストになっていたりします。最先端のトピックや論文を理解するための基礎になるので関心のある方にはおススメしたいです。

入学のモチベーションが異なることもあり、バラエティに富んだ科目が選出されました。分野の垣根を越えて履修科目が選べることも放送大学のいいところですね!

双方向のコミュニケーションが難しい放送大学ですが、質問があるときはどうしていますか?

<み>:私は近くにわかりそうな人がいるので聞いています。先生に直接聞く機会はあまりないのでそういった環境でないと難しい科目は難しいかもしれませんね。
<ご>:私も家族だったり友達だったりによく聞いています。特に全然数学的なバックボーンがない中で始めたので解析入門や微分方程式はつらかったです。質問箱も使ったことがありますが、(先生によりますが)返答のタイムラグと回数制限がネックですね。

今回のメンバは周りに聞ける人がいる環境が多かったです。やはり先生と直接会話する機会は少ないかもしれません。

学習ペースはどうですか?コンスタントに勉強できていますか?

<にゃ>:正直仕事しながらだとなかなかコツコツ進めるのは難しいと思います。通信指導期間とか試験前とかにある程度まとめてやる形にはなってしまいますね。
<み>:私もです。
<ご>:私もです。。
<ぷ>:単位認定試験を学習センターでやっていた頃は、午前休取って試験を受けに行ったり試験日程によって取りたい科目が取れなかったりと大変でした。特例的ではありましたがコロナで在宅試験になったのは良かったと思います。

2022年以降の試験スタイルが社会人にやさしいかどうか気になりますね。

放送大学に在籍していることを会社に伝えていましたか?

<ぷ>:私は伝えていませんでした。単位認定試験前にマネージャに伝えましたがなかなか説明が大変でした。もっと知名度が欲しいですね(笑)
<にゃ>:最初は伝えていませんでしたが、最近上司に「NHKと関係あるの?」と聞かれて説明しました。※あんまり関係ないです
<み>:上司に通信制大学と伝えて線形代数をやってると伝えたら「俺めっちゃ線形代数得意なんだよね」と言われて終わりました。いきなり通信制大学と伝えちゃったのでアナウンサーの学校とかの面白いリアクションを聞きそびれたかもしれません(笑)。単位認定試験の時は有給で対応しています。
<ご>:私は学費補助を出してもらっていたので会社に伝えていました。通信制大学用の休暇とかもあるので放送大学生にやさしい会社かもしれません。
<み>:確かに放送大学だけだと難しくても「機械学習の勉強のため」とかうまいこと伝えれば補助が出たりするかもしれませんね。
<にゃ>:会社によっては手続きが必要で大変かもです。

会社に放送大学に通っている人はほかにいますか?

<ぷ><にゃ><み>:会ったことないですね。
<ご>:自分のところは何人かいそうです。

会社との関わりを巡っては「生涯学習の文脈で休職とか時短勤務にして学び直すようなパスが想定されるようになると面白いのではないか」という意見が出ました。

修士を持ってる方が多いかと思いますが、放送大学に入ってこれから何を学びたいですか?

<み>:私は工学修士ですが、大学院では科学史とか工業デザインとかを勉強していて、仕事に直結する情報系を学び直したいと思いました。AIのチューニングなどで研究所のメンバと会話する際の下地にできればいいなと思います。
<ご>:私は情報コースを卒業して一通り情報系の基本的な知識は得たかなと思うので、これからは横に広げていくことを考えています。例えば昨今デザイン思考とかアート思考みたいなことが叫ばれていて、IT企業の社員であっても情報系の知識だけでは戦えない時代になっていると思います。放送大学のコース間の垣根の低さを利用して、例えば美術史とか心理学のような科目を履修すれば、このような幅出しができるのではないかと思っています。

「就職してから大学に行くことが想定されていないのはある意味社会のバグ」というコメントが出ました。脆弱性を活用していきたいところです(アカデミック版ソフトウェアとか・・・)。

放送大学と1回目の学生時代を比較してどうですか?

<み>:1回目の学生時代に時間とお金の余裕がもっとあればもっと勉強できたかもしれないと思います。
<ぷ>:ここにいる人たち含めて、大学というものに苦手意識を持っていない人が放送大学に帰ってくる傾向が強いと思います。そうでない人にどうアピールしていくかが課題かもしれませんね。
<み>:モチベーションのために単位にもデジタルバッジみたいなものがついているといいかなと思います。公開講座はクレジットカード払いできたりするので、普通の科目もそうならないかな。
<ご>:実は通学制の大学に通いつつ放送大学の選科履修生として別分野の科目を積み上げ、卒業後に学位授与機構に申請すれば疑似的にダブルディグリーのような形にできるのでは?と推測しており、新しい役割を果たせるのではないかと思っています。

放送大学に関心を持っている人に一言!

<み>:入学手続き(郵送)と学費の振込以外は完全リモートで手続き&学習できるので仕事との両立が思った以上に簡単です。ぜひノリと勢いで入学してみてください!

<ぷ>:間口が広い故に軽く見られてしまうこともある放送大学ですが,入学してみると通学制大学とは異なる世界が広がっています。飲み会2〜3回我慢すれば入学できますので,ぜひ願書を入手しましょう。

<にゃ>:まずはシラバスを見ていただいて、興味のあるものがひとつでもあれば入学を検討してみてください。入学しさえすれば、WEBで関連のあるほかの科目も閲覧できるようにもなりますし、様々な場面で学生向けのサービスが得られるようになります。

<ご>:情報系科目を掘り下げてステップアップするもよし、幅を広げて教養を深めるもよし、関心に応じた活用の仕方があると思います。通信制大学という新たな世界で人生に彩りを加えてみてはいかがでしょうか!

ここまで読んでいただいた皆様、ぷじぇばさん、nyappiさん、miyakeさん、ありがとうございました。放送大学のIT系人材で緩やかなコミュニティができれば面白いかと思いますので、関心のある方はコメントでも誰かのTwitterでもお声がけいただければと嬉しいです。以上です!





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