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石内都「Frida is」展

2016年の夏、石内都さんの写真展「frida is」を資生堂ギャラリーでみた。

メキシコの画家フリーダ・カーロが身につけていたコルセットや衣類、靴、指輪、櫛、化粧品、薬品など遺品の写真。

櫛の翡翠のようなグリーンや、薬瓶の中のターコイズのタブレットなど、
鮮やかで美しい色の中に佇みながらも、ぞわぞわした。

煙色の靴に縫い付けられたリボンの手縫い跡や、スカートの裾野刺繍さえも生々しく感じて、長くいられないような感覚になった。

波乱に満ちた人生を送ったヒロインのフリーダではなく、痛みと闘いながら希望を失わずに生きた女性の日常をとらえている。

と書かれていた。

石内都さんという女性写真家のフィルターを通して撮影したことで浮き彫りになる、フリーダ・カーロ。
不自由な脚のために左右の高さの違う靴は、美しい装飾を施されている。

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力強さを感じていた想像上のフリーダの、違う一面を見た気がした。

衣類の布の繊維が、フリーダの身体に沿っていたのだ、と思うと、
現物を見るよりも生々しく私の中に残った。
もう、胸がいっぱいになり過ぎて、息苦しかった。

石内都さん
ヴェネツィア・ビエンナーレの2005年日本代表。
皮膚や衣類と時間とのかかわりをテーマにした写真を撮り続けており、代表作に広島原爆で被爆した遺品を被写体とした「ひろしま」、フリーダ・カーロの遺品を撮影した「フリーダ 愛と痛み」など。ニューヨーク近代美術館等に作品が収蔵されている。


そして、放心のまま階上の資生堂パーラーに行った。
桃のパフェの色合いも、鮮やかだった。
その日の記念にパンフレットとパフェの写真を並べて加工して、保存してあった。
とても印象が強い写真展だったのだ。

一つ一つの物には、まだエネルギーが残っているように思えた。


それでこそ、フリーダ・カーロという気もする。
フリーダ・カーロの作品を見る時には、これらの遺品を思い出す。



余談だが、フリーダ・カーロと夫のディエゴ・リベラは、メキシコの500ペソ札の表裏になっている。
このお札を額に入れて、プレゼントにしたことがある。

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書くこと、描くことを続けていきたいと思います。