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スタートアップエコシステムと大企業の新規事業の制約についての考察

事業とは「何らかの価値をソリューションやプロダクトを通して提供することで、顧客が抜け出したいAs-Is状態から、顧客がたどり着きたいTo-Beの状態に変化させ、その結果何らかの方法で儲ける」ことで、スタートアップにせよ、社内ベンチャーにせよ、つまることころ新規事業とはこの新しい組み合わせを発見することにあります。

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※THRUSTERから図を拝借

文章にしてみるとたったこれだけなんですが、過去の成功事例やデータがない(客観判断がしづらい)新規事業の場合、自分の仮説と顧客の現実にはGAPが発生しやすくこの組み合わせを成立させられないので中々成果が発生しません。

そのため、新規事業は事業責任者自身が事業に関する解像度を高めながらGAPを埋める活動を初期フェーズで強めに行っておかないと、組織力やアセットの存在もへったくれもありません。

すなわち既存事業のポジションが良かろうが(位置的優位)、メンバーが多かろうが(数的優位)、結局は事業責任者の”事業開発能力”(質的優位)がモノを言う世界です。(サッカークラスタ的にはこう表現したかったw)

知人が「100M走のように10秒で走れるランナーを1万人送り込んでも、1人が9秒台で走ればその1人が勝ってしまう世界が存在する」というTweetをしていたのですが、新規事業開発などまさにこの世界。

ということで、事業責任者の事業開発能力(以降:ケーパビリティ)が高まらないと同じバイアス下でしか意思決定がされないので、いつまでたっても事業に変化を起こすことができません。

そして、この事業責任者とそのケーパビリティの観点で考えるとスタートアップエコシステムと大企業の新規事業開発はだいぶ違う制約があるので、そのあたり少し考察してみようかと思います。

スタートアップエコシステムの場合

スタートアップの場合、IPOやM&AなどExitのリターンを大きくできる仕組み(特に東証マザーズの存在してることが大きな要因だと思っています)が存在するので、そもそもケーパビリティのベースが高い人をエコシステム自体がエコシステム内に誘致しています。さらに先人たちの成功ノウハウや様々体験実話が勉強会や相談会などで引き継がれていくことで更にケーパビリティを上げてくれる仕組みになっています。

一般的に投資家が出資をしたりインキュベーションプログラムに採択されたりすることで広くその起業家や事業は知られる存在になりますが、一定のトラクションが発生するまでは特にコレと言ったベストプラクティスが存在するわけでもなくスタートアップエコシステムの無秩序の中をキャッシュフローを意識しながらサバイブすることでケーパビリティを強化していき、生き残ったものだけが生き残る野生身溢れる世界です。

大企業の新規事業開発の場合

これに対して大企業はそうは行きません。そもそものゲームのルールが違います。まず第一にリソースに極めて有限です。例えばスタートアップエコシステムは以下記事にもある通り全体での投資額が増加傾向にあります。

これにより多くのスタートアップという実験プロジェクトをエコシステム全体として抱えることが可能になっているのに対して、企業単位の場合、新規事業に投資できる絶対額にキャップがかかります。結果として事業責任者を増加させ続ける循環を太くすることが難しいです。

次に、社内に不確実性の高い環境における経験値が積み上がっていません。誰かに事業開発を挑戦させたケースもこれまで沢山あると思うのですが、失敗した後に次のTryが実行されず(機会が得られず)、皆さん退職されてしまうことが多いです。仮に退職せず残っていたとしても失敗からの振り返りが十分でなかったり、共有する仕組みがなかったりと学びがその経験者の暗黙知で終わってるケースが多いです。

すなわち社内の新規事業を成功させていくには、スタートアップエコシステムと違って企業が自ら意図して事業責任者のケーパが上げられる仕組みが必要になります。

まとめ

スタートアップエコシステムと似た社内ベンチャー制度を作ってみても、期待してる時間軸で期待してる事業進捗をするプロジェクトが出てこない理由はこのあたりかなと思っています。

当社が考案してるTHRUSTER(スラスター)はケーパビリティ強化プロセスのベースラインにもなり得るので、もしご興味あれば一度目を通してもらえればと思います。

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