サムネ

セリーグのDH制導入について

 お疲れ様です。ルパン22世です。

 今季の日本シリーズが終わり、ソフトバンクの4連勝で2連覇を飾りました。
 日本シリーズ終了後、原監督の発言によってセリーグ界隈である議論が起こっています。

 巨人・原辰徳監督(61)は日本シリーズでソフトバンクに完敗したことでパ・リーグとの実力差を痛感。「DH制は使うべきだろうね。DH制というのが相当、差をつけられている感じがあるね」と独自の提言を行った。
(下記より引用)

 この発言に対し、DH制の導入について球団関係者・ファンなどで意見が分かれています。

 今回はDH制について分析し,最後に自分の意見を述べたいと思います。

1. DH制についての意見のまとめ

 ▼賛成派の意見

○伊東勤氏(中日ヘッドコーチ)

 伊東ヘッドコーチは「日本シリーズは今年はセパどちらの球場でもDH制あり、来年はDH制なしとかにすれば」と隔年制を提案。交流戦についても同様に隔年にするプランを思い描いた。
(以下より引用)

○和田一浩氏(解説者)

 絶対にDH制の方が、野球は面白いと思います。
(中略)
 投手に打席が回るため、監督の采配はセの方が難しくなります。“采配の妙”は、確かに楽しくもありますが、野球本来の醍醐味(だいごみ)は「打つ」や「投げる」です。語弊を感じる人はいるでしょうが、野球本来の醍醐味を犠牲にしてまで、結果論的な事案が多い采配の妙を楽しむのは、少し違うのではないかと思うのです。
(以下より引用)

 伊藤ヘッドコーチはロッテで監督を務めた経験があり、和田氏も西武・中日のセパ両リーグで活躍した経験があります。

 ▼反対派の意見

〇堀内恒夫氏(解説者)

「結論から言ってしまうと俺は『反対』」とし、「理由はいたってシンプルかもしれないが俺にとってはとても大事なこと。それは『野球の原点を残したい』」と続けた。
(中略)
   「DH制だとピッチャーは気が抜けないから力はつくだろうね。でも、DH制だから強いって言ってしまうのもちょっと違うんじゃないかなぁ。」
(以下より引用)

〇Twitterでのファンの意見

 投手が打席に入るからこその楽しみがあるという意見や、そもそもセパの差はDH制ではないという意見がありました。

   ▼Twitterでのアンケート結果

〇フォロワーさんの意見

   海の向こうではアストロズにナショナルズがアウェーで2連勝。一概にDH制で差が出るってのは違う。単に交流戦を48試合ぐらいに増やせばいいだけ。
それよりも前から言ってるけどDHの有無は今のフランチャイズのまま1リーグ制にして3地区に分けた方が戦略性も損なわれないしDHの問題も解決する。
   セ・リーグのファンの方、セ・リーグの関係者の方の意見で決めたら良いと思っています。
   圧倒的パ党なわたしの答えは「好きにすれば???」
   強くなる方法は一つじゃないし、敗けた理由を制度のせいにするのはカッコ悪いし。
いまだにセ試合を一括して観られる所を作れない人たちに結論は出せなそう。

   アンケートへのご協力、また貴重なご意見ありがとうございました。

2. 問題の整理

 そもそも「DH制があるからパリーグの方が強い」といっても因果関係が曖昧なので、DH制の有無による違いを整理し、メリットや因果関係を明確にした上で仮説を立てたいと思います。

○DH制があると...?
① 守備が下手でも打撃が得意な打者を出場させられる
② 打順の中に強打者が1人増え、打者9人+投手1人の10人で野球ができる
③ 投手に代打を出すことがない
④ 投手が打撃をしなくても良い

 そしてここから考えられるメリットはこちらです。

① 打撃に特化した選手を育成できる(=長打を打てる選手を育成できる)
② 打順の都合で先発投手を降板させることがなく、限界が来たところで降板させられるため、先発投手力が伸びる
③ 先発投手の練習の負担が減り、投球練習に集中できるため先発投手力が伸びる

 つまり、交流戦や日本シリーズでセリーグがパリーグに勝てない理由は以下のように考えられます。

① 長打力(率)の差
② 先発投手力の差

 では実際にデータを見て本当に差があるのかを分析していきます。

3. 両リーグの違いを検証してみる

 セパ両リーグの成績の違いを調べるデータとして2019年の交流戦成績とシーズン戦績を比較します。同じ投手陣・野手陣を相手にしたデータです。

 まずは長打力からです。

長打率

 パリーグのほうが交流戦での長打率が高く、「パリーグの野手はパリーグの投手よりもセリーグの投手のほうが打てる」ということができます。

セリーグ長打率グラフ

パリーグ長打率グラフ

 またパリーグのBクラスの3チームは、交流戦のほうが長打率が高いです。そしてセリーグですが、3球団は交流戦長打率がシーズン長打率を上回っているものの、その上がり幅はかなり小さいことがグラフから分かります。

 次は先発投手です。

先発投手防御率

 交流戦は試合数が少ないため、どちらのリーグも交流戦のほうが防御率が悪化しています。

 セリーグの交流戦で対戦する野手は、パリーグがシーズン中に対戦する野手なので、それぞれを比較するとこうなります。

先発投手防御率2

 シーズン防御率は両リーグで0.01しか変わらず、交流戦ではセリーグの先発投手よりもパリーグの先発投手が成績がいい(絶対値が少ない)ため、パリーグのほうが先発投手力があると言えます。

 以上をまとめると

 ① パリーグのほうが長打力が良い
 ② パリーグのほうが先発投手力が良い

 となりました。よって、最初に設定した仮説が立証されました。

4. まとめ

 今回の検証で「DH制を導入したほうが長打力・先発投手力が向上する」ということが分かりました。

 自分としてはDH制の導入に反対なのですが、両リーグの差を縮めるためにはDH制を導入すれば簡単に縮まるだろうということが分かり、更に議論を深めるべきだと感じました。

 ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。
 ご意見・ご指摘などがあればどしどしコメントをお願いします。

 では、また次回。

5. 参考

1.02 Essence of Baseball
野球データノート

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