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『7月の物語』 - DJ電熱線のビリビリビリ映画

こんにちは、DJ電熱線です。

ギヨーム・ブラック監督の『7月の物語』。渋谷・ユーロスペースにて6月より公開されていましたが好評につき上映が7月5日まで延長されたため、「7月に『7月の物語』を観る」というのをやりました。

2016年7月のパリとその郊外を舞台に、バカンスシーズンの始まりに浮き立つ若者たちの戯れを描く2つの物語を、それぞれ5日間の撮影期間、3人の技術スタッフと少ない機材で撮り上げた。(https://eiga.com/movie/91192/

(C)bathysphere - CNSAD 2018

本作は二部構成になっていて、第一部は、会社の同僚であるミレナとリュシーがレジャー施設に遊びに行く話で、そこで出会った青年の出現により2人の友情に亀裂が…という、王道ながら胸がざわつく(DJ電熱線はリュシー側)『日曜日の友だち』。第二部は、革命記念日で沸き立つパリを舞台に、帰国を前日にひかえたノルウェーからの女子留学生、ハンネの一日を描いた『ハンネと革命記念日』。こちらは2016年に起きたニースのトラックテロ事件も描かれていて、冒頭からコメディタッチで描かれるのんびりとした日常と終盤のコントラストにぐっときます。

(C)bathysphere - CNSAD 2018

日本は絶賛梅雨の時期なので、スクリーンに映るからっと晴れた(今年は猛暑で大変なことになっているようですが…)7月のパリは絵に描いたようなバカンスシーズンといった様子で、夏を待ち遠しくさせるシーンが盛りだくさん。

さらに、ストーリーもなかなか洒落ていて、第一部も第二部も、さりげなく男女の恋愛がすすっと差し込まれてくるんですが、結論からいうとどちらも成就しません。だけどそのやり取り自体が軽やかで、ちょっとした切なさもあるというか、あんまりこういうことは言いたくないですが、日本人には出せない恋愛の機微がそこにはありました…。

(C)bathysphere - CNSAD 2018

また、本作では『勇者たちの休息』という38分間のドキュメンタリー映画も併映されます。

自転車愛好家であるおじさんたちの姿を撮った作品ですが、これもまた構成良し・ひとつひとつのショット良しな作品です。DJ電熱線はママチャリの運転でさえ怪しいほうの人間なのですが、彼らは過酷な雪山を走ったりするんです。凍傷にかかってしまい、今でも指の感覚がなくて…云々。これはこれで怪しいというか、「狂ってる」レベルの自転車に対する情熱を語る一方で、仕事や家族との関係を振り返ってみたり、「お尻が擦れて痛いわ、どのクリームがおすすめかなあ」と微笑ましい雑談などを挟んだり。そんな彼らそれぞれの語る言葉がだんだんとひとつの格言のように聞こえてくるんです。まさに勇者。

というわけで、実質1本で3度おいしい『7月の物語』。夏におすすめです!

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2019年6月8日(土)よりユーロスペースにてロードショー
京都・出町座■7/13(土)~
名古屋シネマテーク■7/20(土)~8/2(金)
大阪シネ・ヌーヴォ■夏以降
宇都宮ヒカリ座■10/26(土)~11/8(金)
ほか全国順次

https://contes-juillet.com/

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