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ニューヨーカーになりたかった女がついにニューヨークに行った話②

前回の更新『ニューヨーカーになりたかった女がついにニューヨークに行った話①』から1週間が経った。有難いことに反響も大きく、私のドタバタ具合が皆さんにもよく伝わったようで何よりである。さて、第2回目。ついにニューヨークの旅が本格スタートする。

《9月9日(現地時間)》

金縛りになり早朝5時半に目覚めた私は(前回参照)、ジムでシャワーを済ませ、これから始まるニューヨークの生活へ胸を高鳴らせながら、早々に身支度を終えた。ちなみに、私は「朝といえばZIPかめざましテレビ」人間のため、アメリカのテレビでもそれに代わるものを見つけようと試みたが、なんせチャンネルが多すぎてカオス状態。30近くある上に番組表がなかったためザッピングの困難なこと…どこで何の番組が放送されているかわかりづらい上に、ホテルのテレビの画質が荒すぎるという追い打ち。諦めて部屋でのBGMは音楽一択にすることにした。そこで再生した曲が『New York State Of Mind』『Empire State Of Mind』ということからも私がいかにニューヨークに浮かれていたかがわかるだろう。しかも曲名そっくりか。

とりあえず、外に出てみる

8時ー友人と待ち合わせをし、朝食を食べるべく初の外出。ホテルの周りにはいくつかレストランやベーカリーがあり、徒歩3分の距離にスタバや24時間営業のドラッグストアもあるため、朝食を探すには困らない。とりあえずうろうろと散策をすることにした。
ニューヨークには至る所に屋台が並んでおり、ホットドッグやケバブ、パンやスムージーなどその種類は様々だ。私たちはそこでサンドイッチを買うことにした。ベーグルにオムレツとソーセージが挟んであるものとアイスコーヒーを頼んだのだが、注文するのに馬鹿みたいに緊張した。「あ、あのあの、ソーゥセーィジサンドウィッチ?えーん、ブラックアイスカフィー?プリーズ???」ヒドい。ヒドすぎる。仮にも大学に入れた人間とは思えぬ英語力、そしてテンパりすぎである。お金の使い方も慣れず、小銭がわからないからとりあえず札バラまいて釣り銭だけが増えていく病気に数日はかかりっぱなしであった。情けない、パンひとつ買うのにも一苦労である。これが異文化体験か、そう実感した。
屋台で買った朝食を、道端にある公園のテラスで食べることにした。それにしてもニューヨーカー、外でご飯食べることが好きみたいだ。見渡せば椅子や階段、はたまた歩きながら、茶色い紙袋とドリンクを持ったニューヨーカーたちがパンを頬張っている。日本で公園でご飯食べる人なんて、暇を持て余したサラリーマンかピクニックと称して代々木公園に行くリア充だけだと思っている(偏見です)から、尚更外で当たり前のように食事取ってる風景が新鮮であった。(とはいえ私も普段、朝に時間が無くて駅のホームでおにぎりを頬張っているが、一応モラルに反しているという罪悪感は抱えている。)

サンドイッチは非常においしくいただいたのだが、コーヒーを一口飲んだ瞬間、私は思わず叫んだ。「あっっっっま!!!!なんだこれ!!!」よく見ると、底に大量のガムシロが沈殿していた。私ブラックって言ったよね...?どうやら、アメリカ人的に「ブラック=ミルクが入っていない」という認識で砂糖は当たり前に存在するらしい。私はミルクと砂糖両方含まれているならまだ許せるのだが、砂糖だけ入っているコーヒーと紅茶は害悪だと思っているため、このガムシロの沈殿を見て絶望した。しかもコーヒーのサイズがバカでかい。こっちではブラックコーヒーを頼むとき、「ノンスウィート・ノンミルク・スモールサイズ」の三本でお送りしなくてはならないということを学習した。

というわけで、苦いスタートダッシュ。

朝食を終えた我々は、近くにあるドラッグストア『 Duane Reade 』に行ってみた。この店は、ニューヨークにたくさん店を構えるチェーン店で、薬用品の他食料品や日用品も揃える24時間営業のコンビニのようなものだ。日本のお店ならなんて事無いドラッグストアの景色も、異国に来てみると何もかも新鮮に思えるもの。何よりも私の心を踊らせたのは、商品たちの色づかいである。とにかく派手オブ派手なのだ。ただのシリアルの箱やペットボトルなのに、パッケージの色合いやデザインがいちいちかわいい。ひとつひとつ見てもかわいいのに、それが陳列されていることでさらにかわいさを増している。合体によるパワーアップ。戦隊モノのロボットのようだ。

このカラーにカラーを重ねる感じがたまらない。「やばい陳列棚ごとかわいい!!これごと持って帰りたい!!!壁にしたい!!!飾りたい!!!」と大興奮の私であった。

NYPLへ

10時にゼミ生と先生と集合し、この日1つ目の研修先『New York Public Library(略称:NYPL)』へ向かう。ニューヨークの市立図書館というにはあまりにも荘厳な建物に、思わず固唾を飲んだ。入り口には二匹のライオン像が番人のごとく佇んでいる。このライオンはNYPLのイメージキャラクターにもなっており、 一匹はPatience(忍耐)、もう一匹はFortitude(不屈)という名前だそう。(先生はこのライオンを「三越のような」と例えたが私は「ライオンズマンション」だと思っていた)
NYPLの分館には『NYPL for the performing arts』という舞台・メディアに関する膨大な文献・新聞記事・映像資料等が保存されている施設がある。我々の目的はそこで各々の研究テーマの資料を収集することだったので、NYPL本館にて利用者カードを取得する必要があったのだ。この利用者カードは観光客でも取得が可能であり、パスポートを見せるだけでスタッフの人がちゃちゃっと発行を終わらせてしまった。
この日は、カードを取得するだけで終了。図書館を後にした。

夜の観劇まで時間があるということで、午後は自由行動。やっと自由に動き回れる!とみんなのテンションが上がっている中、わたしは一人別の理由で自由行動を喜んでいた。
なんとこの日、バカなことに私の靴はピンヒールのブーツ。当然NYPLを訪れるころには足に限界が来ており、顔は青ざめていた。こんなにも自分の馬鹿さを呪ったことは無い。一刻も早くどこかで靴を調達したかった。そういうわけで自由行動になった瞬間私の脳は「靴」一色となり、ゼミの子たちに頼み込んでまず靴を買うのを付き合ってもらうことに。訪れたのはご存知GAP。とりあえず勝手がわかるし値段も安いしと即入店した。馴染みがあるといってもやはり海外というだけで特別に感じてしまうもんだな...としみじみ。gleeのGAPアタック回を思い出した。(あれはオハイオだけど)
無事、銀のパンプスを購入し、速攻履き替え、見事苦痛から解放された私(と友人ら)はタイムズスクエアへ向かった。

憧れの地、タイムズスクエア

「これ、映画の世界かな...?」タイムズスクエアの景色を目の前にした私はただ唖然と立ち尽くした。見渡す限りのネオンと看板、そしてとんでもない人の数。チップ集めのコスプレイヤーたちが道端で観光客に手を振る様子はテーマパークさながらであり、四方八方で大型ビジョン同士が会話をしているかのごとくチカチカ点滅している。なんて賑やかなんだ。都会好きの私は、都会の頂点を見た気がしてこのうえなく目を輝かせた。

まず、観覧車があると聞いていたトイザらスに潜入することに。わたしは、母方の祖父宅の近所にハローマック、父方の祖父宅の近所にトイザらスがあるという、オモチャに囲まれた幼少期を過ごしたため、今でもおもちゃ屋さんに行くとテンションが上がってしまうタチである。案の定、タイムズスクエアのトイザらスに入った途端5歳児に子供帰りした。このトイザらス、地下1階から地上3階までが吹き抜けになっており、その吹き抜けの中に観覧車がそびえ立っている。そして24時間営業というのだから、子供にとってはまさに夢のような空間といえよう。

でっかい観覧車に心を奪われた21歳の女4人、意気揚々と5$のチケットを買って観覧車に乗車。ワゴンごとにキャラクターのモチーフが異なるのだが、私ともう一人のワゴンはトイ・ストーリー、残りの二人のワゴンは赤い自動車であった。各々キャッキャはしゃぐ私たち。乗ってみると、割と運転が荒い。急に加速したと思ったら止まったり、まさに「急降下・急上昇・急旋回」である。(©レイジングスピリッツ)

観覧車を楽しんだ我々は続いてディズニーストアへ。日本のディズニーストアとの違いは、プリンセスのコスプレグッズの豊富さにあるといえよう。白雪姫やアリエル、ラプンツェル等のスタメンたちに加え、メリダやムーランなどのややマイナープリンセスのドレスや靴まで取り揃えてあるのだ。日本ではドレス、靴、アクセサリーが限界だが、アメリカの場合ウィッグまで取り揃えてある。なんて親切!ジャスミンのウィッグを見たときは、なぜ私は今21なんだろう、なんで子供じゃないんだろうと心底後悔した。幼い頃の私は、セーラームーン、おジャ魔女どれみ、美女と野獣のベルなど様々なコスプレを買ってもらっていたのだが、あの時代にここに来ていたら選び放題だったのに!とこんなにも子供に戻りたいと思ったのは初めてである。

店内がお城のゲートになってるなんてもう私の中に潜む5歳児が跳ね上がってしまう。子供に戻ることはできないから、いつか私に子供が出来たときにここに連れてきて全種類のドレスを買ってあげたい、と毒親のようなことを思ってしまった。

そんなこんなで集合時間。集合場所はタイムズスクエアの赤階段である。そう、あの有名な赤階段。高2の頃にgleeを見てからというもの、ニューヨーク=赤階段のイメージがとても強かった。その、赤階段についに腰をかけるわけである。

その時の私の表情は、まさにこのレイチェルそのものであった。先生が舞台の当日券(なんと定価の半額で買える!)を買うために階段横の売り場に並んでくださっていたので、その間我々は写真撮影大会。まあはしゃぐはしゃぐ。おまけに雨が降ってきて周囲の人々が退散したのをいいことに、階段で好き放題ポーズを取りはじめる始末。

同じくgleeが好きな友人のマキコと共にレペゼンgleeな写真を取ったり、(ここまではよかった)

謎なボディーバランスを取ってみたり。(なぜこうなった)異国の地で浮かれすぎである。気持ちが良いくらいにおのぼりさんを全うした。

ついに観劇の時がやってくる

先生のおかげで無事チケットを手に入れた我々は、この旅初めての舞台観劇を迎える。一発目の作品は『A Gentlman's Guide To Love & Murder』という、ジェファーソン・メイズ主演の2014年トニー賞受賞作品である。あらすじは、以下の通り。

始まりは1909年ロンドン。貧乏な暮らしをしているモンティー・ネバロは、突然の母親の死に打ちひしがれる。しかし母が、実は裕福で知られるD'Ysquithファミリーの末裔であったこと、そして伯爵アダルバート・D'Ysquithに親族はたった8人しかいないことを知る。
一攫千金のチャンスになるかもしれないと思ったモンティーは、自分の前にいる他8人の相続人たちを抹消し、自らが相続人になることを決意する...(『あっとニューヨーク』より引用)

劇場は狭いものの、どこか重厚感があり、東京ディズニーシーのビックバンドビートの劇場に内装が似ているように感じた。なんと座席は下手側4列目。近い、いきなりの良席キタ。憧れのブロードウェイミュージカル、私の心は最大限に高まっていた。
...のも束の間、驚くことに気がついたらカーテンコールだった。何が起きたか把握できない私。正直開始20分以降の記憶が無い。なんと私は75$をドブに捨ててしまったのだ。それもそのはず。そもそも英語のセリフが6割しか聞き取れない。何が起きているのか把握出来ず置いてきぼりを食らっていた。そして馴染みのある作品でも無いために曲も分からない。さらに極めつけに寝不足。意識を手放すには十分すぎる条件である。しかしまあ前列で爆睡をかましてしまうなんて、演者から見えていたかもしれない、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。1部だけならまだしも休憩にも気づかず2部までぶっ通しで寝ていた自分には呆れを通り越して失望した。ニューヨークに来ても、自分は自分のままである。

初体験尽くしの2日目終了。

この日のオチ、『爆睡』

第3回目に続く(のか...?)

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