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ジャズ大名に恋して-舞台「ジャズ大名」観劇のキロク-

あの旋律を心の中で奏でてみる。
すると湧き上がるあの熱い感情。
そして、思い出す。
あの時の狂乱と興奮と至福の時間を。

舞台「ジャズ大名」の幕を下ろしてから10日ほどが経ってしまいました。
本来なら記憶も新鮮なままな頃に書くべきだったのですが、あまりにいろんな感情が溢れてきて書き始めるのに時間が必要でした。
それだけ私の心を揺さぶる舞台だったのです。


▫️千葉くんの引き寄せで決めたジャズ大名の旅

2023年8月、千葉くんが舞台公演で主演を務めると発表されました。タイトルは『ジャズ大名』
ジャズと大名、舞台が幕末、そして共演が藤井隆さんという私の興味をそそるワードの羅列の告知文に「絶対に行くべき!」と遠征して神奈川に行くことを即決!(私はこの直感を「千葉くんの引き寄せ」と名づけています)
共演の藤井隆さんは千葉くんがデビュー前から憧れる方。そんな方と共演する彼の姿を見ることができるなんて最初で最後かもしれないと思うとますます行かなくてはいけない!とチケットの先行受付に申し込みました。

ジャズ大名は、神奈川、神戸、愛知、大阪の4都市の公演。今までなら私の遠征ルール「1公演のみ」で、この神奈川1公演のみで終わるはずでした。
でも、今回はなぜかこれで終わってはいけない!という直感がまたまた発動。気がつけば私は大阪公演しかも2日間分の申し込みをしていました。
大阪は旅公演最終の地、そう、公演の大千穐楽があるのです。

「一度もその場にいたことがないその特別な日。」
「一度はその場にいたいという夢を叶えたい。」

そんな思いが沸々と湧き上がっていました。

チケットも無事当選。神奈川→大阪の2都市公演という豪華なジャズ大名の旅が決まりました。

▫️直感を信じて追いチケ

公演が近づくにつれ、千葉くんが雑誌やテレビに出始めて、取材の記事がどんどん出てくると、「どうせなら旅の全てをジャズ大名でいっぱいにしたい」欲が溢れてきました。
結局、直前に神奈川は帰るギリギリの公演を、大阪は飛行機到着から直行してギリギリ間に合うか!というくらいギャンブルの初日マチネのチケットを追加。もう「絶対観られる」という直感だけを信じてその日を待ちました。

前置きが長くなってしまいました。
それだけ遠い雪国に住む私にとって、この季節も含めなかなか気軽には行けないから、この準備期間が人一倍ワクワクとドキドキが止まらないんです。
何とぞご容赦を。

それでは、ここから観劇した感想を書いていきます。(ほぼちば友目線の偏り感想です。)

▫️いよいよ神奈川マイ初日
(2023年12月22日14時公演)

1公演目の席は3列目やや下手寄り。初日にいきなりこの席はヤバい。幕が上がり演者の姿が見えました。本当に目の前です!
3人の黒人奴隷が大海原を漂流し、オープニングの演奏が始まりました。一流のミュージシャン達がかなでる生演奏は最初から圧巻!この先どんなことになるのか?と鳥肌が立つくらい心を躍らせていました。

場面は転換し幕末のとある小藩に。場面転換には富田望生さんが場面の説明役として登場。
彼女は劇中ずっとこの役回りを担っていて、緩急つけた口調と身振り手振りで観客に伝える演技力は感心しきり。他にも何役もこなしながらの八面六臂の活躍ぶりに驚いた人は私だけではないはず。

「殿ーーーぉ!!」と叫びながら殿を探す家来たちの動きが慌ただしくなり、衝立からいよいよ千葉くん演じる殿が現れました。
もう、出た瞬間「かわいいーーー!!」
あちこち逃げ回る殿は、ちょこまか動く動き方、キョロキョロしてる表情もとにかくかわいらしくて、そしてコミカル!!
最初から殿に釘付けになってしまいました。

私の席は殿の立ち位置であることが多く、劇中何度も目の前でセリフを言い、衣擦れの音や他の役のセリフの時には呼吸を整えるのも本当に目の前で何度も見惚れてしまう始末。それは「見る」ではなく「感じる」ことができたんです。
舞台鑑賞としてはいかがなものかとと思うんですよ。けれどどうにもその感情は抑えきれませんでした。

ここは3列目、オペラグラスなんてなくてもその表情はよく見えます。
私はこんなに間近で千葉くんの姿を見たことがなかったので、この時は芝居を理解するのを一時放棄していたかもしれません(汗)

いやいや、千葉くんだけじゃなく演者みなさんのお芝居がすぐ目の前で繰り広げられる体験も初めてで、前列で観る生の舞台というのはこんなにも演者の体温みたいな熱を感じられるものなのかと感動したことを申し添えたい。

後半クライマックスへのセッションパートは噂には聞いていたが想像のはるか上を行く迫力!殿もボルテージが上がってどんどん演奏を、踊りを煽っていく。その目つきは勇まく力強い。大きな瞳には鋭さすら感じる気迫でとにかく圧倒されっぱなしでした。

カーテンコールはもう私の感情もぐちゃぐちゃで、正直よく覚えていない。
夢中で手拍子を叩き続け、足でビートを踏み続け、最後は誰よりも先にスタンディングオベーション!
ブラボーを贈らずにはいられなかったんです。

幕が下りた時、私は泣いていた。
千葉くんを近くに感じたせいなのか、芝居に引き込まれて無我夢中だったせいなのか。
きっと両方だったのだと振り返るとそう思う。

私のジャズ大名初日は感動と興奮が収まらないまま劇場を後にしたのでした。

▫️少しは冷静に。神奈川公演2日目
(12月23日13時公演)

前日、前方席は結局殿が出てきた途端に殿に見惚れてしまい、冷静に芝居を見るのは不可能でした。

追いチケして購入した席は1階席後方、PAブースのすぐ隣り。ここなら舞台全体を見渡すことができるはず。
予想通り、舞台全体がよく見渡せて落ち着いて芝居をみることができました。
すると、演奏家たちの動きが活き活きと見えました。彼らの場所は舞台の上段なので前日にはよく見えなくて、こんなにも激しく動きながら演奏しているのか!と驚きの連続でした。
殿が舞台全体を隈なく動き回る様子もよく見えて、後方席ならではの味わいも楽しめました。

セッションパートの殿の客席への煽りもこちらまで届きました。
オペラグラスも使いながらのマルチアングルでの観劇。
2回目ということもあり作品自体を楽しむことができた観劇でした。

▫️殿、高槻を掌握する-大阪(高槻)公演初日マチネ
(2024年1月20日13時公演)

本当に直前に追いチケしたマチネ。
もし飛行機遅延したら完全アウトのギャンブルでしたが、遅れることなく劇場に到着。無事に観ることができました。
まぁ私晴れ女なんで、絶対間に合うんですけどね。

今回の劇場は『高槻芸術文化劇場』高槻城跡に昨年作られた新しい劇場。江戸末期のお話にふさわしい建物です。

残り僅かな席から選んだのは2階前方の中央席。ここを選んで大正解!最新の劇場のためここからでも死角は一切ありません。神奈川よりも舞台が近くに感じられるくらいでした。
1番すごかったのはミラーボール!セッションパートで巨大なミラーボールがクルクル回るたびに舞台と客席がキラキラと輝いて、私は『おーっ』と興奮していました。

嬉しかったのは、殿が2階席に向かって煽りをしてきたことです。前方だけではなく全観客を巻き込む!殿が大阪公演の初日を掌握した瞬間でした。
この瞬間にいられたことが嬉しくて追いチケした意味はここにあったのだと。千葉くんの引き寄せを確信した瞬間でもありました。

▫️神席すぎて我忘れる-大阪(高槻)公演
初日ソワレ
(2024年1月20日13時公演)

人生初のマチソワを体験。
ソワレの席は全5公演中で1番前の最前列!しかもど真ん中!
もう座席がわかった時からずっと楽しみにしてきました。こんな神席に座れることなんて二度とないかもと思いながら開演を待ちました。

幕が上がると、手の届きそうなところに演者が立っています。
ここに殿の千葉くんが来るのかと思うとプロローグから心臓がバクバクしてきました。
3回も観ているのだから冷静に観られるはずの自信はどこへやら。
かぶりつきで千葉くんが目の前に立ってお芝居するのを見る訳です。冷静でいられる訳がない!
汗をかきながら、時には息づかいが荒くなる、お茶目な表情も、瞳に涙が溢れそうになる悲しい表情も良く見える。そして足音も衣装の衣擦れの音まで聞こえます。
私はすっかり我を忘れて千葉アングルを心ゆくまで堪能できました。

推しをずっと目で追いながらのこんな贅沢な観劇、夢のようでした。

カーテンコールでは目の前の千葉くんに向かって『殿ー!ありがとう!』『ブラボー!』ってスタオベしながら叫びました。
きっと目の前の千葉くんにも届いていたはず。
感動の気持ちを伝えられて大満足の神席観劇でした。

▫️これで最後なんだ、感動で号泣した-大阪(高槻)公演大千穐楽
(2024年1月21日13時公演)


いつか実現したかった大千穐楽の観劇。
一座も私もこれがラスト。
これまで4回の公演を見たが、大千穐楽は舞台上の空気が全く違っていました。
それは、ひどく穏やかな平穏な空気でした。
それは多分、最後気負わずジャズ大名を楽しもうという一座の気持ちの表れだったのだと今も信じて疑いません。

大千穐楽のセッションパートはこれまでの公演の全てをぶつけるような最高潮のボルテージ!殿の踊りながら時折見せる表情は、トランス状態だったのではと思わせる恍惚の笑みを浮かべているようにも感じられました。

殿のサインは止まらない。
ラスト近く、殿のサインでミュージシャン1人ずつ順番にぶわーっと強弱(<>)つけていく。
その度に演者、演奏家がみんな殿の方を見て合図と共にウェーブのように盛り上がるシーン。これはこの時初めて見たシーンでした。大千穐楽の盛り上がりから生まれた即興だったのかもしれない。
それはさながらオーケストラと指揮者のようだった。自分の裁量で合図を出す訳で、千葉くんきっと気持ちよかっただろうなー。
あの場面はほぼ即興だったようですが、こんなサインを出すまでになっているとは思わなかった。
演奏を自由自在に操る千葉くんの力量がこんなにもあるのかと思い、感動して私は手拍子しながら号泣していました。

▫️アンコールの拍手は鳴り止まない

カーテンコールでついに目撃できたこと。
それは千葉くんの花魁道中。藤井さんに手をひかれ、しゃなりしゃなりと外八文字で歩く姿、うつむき加減で鬢の乱れを手で直す仕草も本当に妖艶で花魁にしか見えないんです。
私、「花魁ー!」って小さく声を出してしまいました。もうなんなんでしょうか?この感情は…
数秒間で心全部持っていかれてしまいました。

これは終始思っていたけど、音楽に合わせた殿の踊りの所々に日本舞踊のような歌舞伎の女形のような所作に見える瞬間が何度もあって、そういう動きを意識しているのか、無意識なのかは定かではないけど。とても艶やかだったり、殿の上品さが際立つシーンが何度もありました。
花魁道中を見て、これは千葉くんの持つ本来の所作の美しさが自然とそうさせているのだと、本当に美しい人なんだと改めて思う瞬間でもありました。

………

殿の涙ありのカーテンコール(実は何をお話になったのか、感動しすぎて今正確には覚えていないんです。)が終わり、幕が下り、灯りがついて場内アナウンスがあっても拍手が鳴り止まない。

すると、また幕が上がった。

殿が口を開いた。
『ひーふーみー!!』

すると「ダダダダダダダダダダダダダー♫」と最後の演奏が始まった。

スタオベしたままの観客たち。

最後観客全員スタンディングで盛り上がることができた。私も拳を突き上げ、「ヒュー!フゥー!」と声を出した!
これまで拷問のように立ち上がることできずにいたモヤモヤを全て回収してくれた殿に、心から「ありがとう!」と言って幕が降りるのを見届けた。

▫️ジャズ大名に恋して

こうして2都市5公演に渡る私のジャズ大名は幕を下ろしました。

大千穐楽でどんどんエキサイトしていく千葉くんのサインに「もっと来い!」と殿を煽るかのような熱い演奏、そして「まだまだ!どうだ!」と応戦し合う熱いセッション。今も目を閉じるとその情景は色鮮やかに目に浮かびます。
あの熱い時間はきっと伝説に、そしてこのジャズ大名で演じた大久保教義役は千葉くんの代表作になるに違いありません。


会えるまでのドキドキした気持ち、目の前に現れた殿に見惚れたこと、一座と一緒にセッションの中にいられたこと。

私は完全にジャズ大名に恋していました。

心に残った言葉にならない感動とあの熱量は、時間が経つにつれ身体中に浸透していき、今私のエネルギーになっています。
また会える時までこのエネルギー大切に使います。

本当にありがとう!
ジャズ大名最高でした!
またどこかの町であのジャズの調べが奏でられますように。

りこぴん

神奈川、高槻で殿と一緒に浴びた紙吹雪
チケットと一緒に大切にしています。


【あらすじ】
維新の嵐が吹き荒れる江戸末期、アメリカの南北戦争が終結し、解放された黒人奴隷が故郷のアフリカを目指して船に乗り込むが、日本の小藩に流れ着いてしまう。鎖国の世、外国人の取扱いに困る藩の役人らは彼らを座敷牢に閉じこめておくが、好奇心旺盛な藩主・大久保教義(千葉雄大)は彼らの奏でる楽器の音に夢中になり、家老・石出九郎左衛門(藤井隆)の制止も聞かず、次第に城中を巻き込んでジャム・セッションを繰りひろげていく。熱狂はいつまでもいつまでも続き、そして・・・・。


(引用元)
https://www.kaat.jp/d/jazz_daimyo

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