日の丸半導体という言葉に嫌な予感

リュディアです。最近、日本でも半導体業界での失った20年を取り返すべく国が外国企業を誘致をしたり、国内企業に投資をしたりと盛り上がっています。それらをすべてまとめて日の丸半導体というキーワードを使っているようです。

ただ個人的には産業界で日の丸というキーワードを使うときにはもう後がないという特攻隊のニュアンスが強いと思っており、過去に成功事例が無いような気がします。例えばスポーツの国際試合で日の丸ジャパンという言葉が使われます。これは気分も盛り上がりますし、応援したくなりますね。サッカー、野球、オリンピックなど、様々な種目で使われます。その一方で産業界で使われる、あるいは使われた場合はどうでしょうか?

半導体や液晶などのデバイス事業では過去に隆盛を誇った日本メーカーが持ちこたえられなくなり、国がそれらをまとめて一つの事業会社としてまとめることが多いですね。規模が大きすぎて国内企業による買収が難しいこともあると思います。また一気に倒産させるのも難しいという事情もあるのでしょう。

例えば一時期は世界最大のシェアを持ったDRAM事業について見てみましょう。半導体業界の中のメモリと呼ばれる記憶装置の中心がDRAMです。昔はたくさんの会社がDRAMを製造しており最盛期には世界のDRAMの80%を日本企業が占めていたときもあったといいます。いわゆる重電、家電メーカーであるNEC、日立製作所、東芝、沖電気、三菱電機、松下電子、シャープなど、あるいは鉄鋼メーカーである日鉄、川崎重工、神戸製鋼なども子会社としてDRAMを製造する会社を持っていました。それが一斉に後退したわけです。

各社が半導体部門を売却したくて仕方なくなり、例えば、日立NECメモリという会社ができました。これららは最終的にいろいろな会社が1つになってエルピーダメモリという会社になりました。このエルピーダメモリは日の丸DRAMと呼ばれていましたが、最終的には会社更生法を適用し米マイクロンに買収されました。表に出ているだけでも国が数千億の投資をしています。

液晶や有機ELなどのディスプレイも同じですね。かつて多数の会社がディスプレイに投資をしていました。最終的には各社の大型ディスプレイをまとめたパナソニック液晶ディスプレイと、小型中型ディスプレイをまとめたジャパンディスプレイになりました。日の丸大型ディスプレイと言われたパナソニック液晶ディスプレイは完全な倒産ですね。ジャパンディスプレイは2024年1月現在、まだ生き残っていますが、もう虫の息という感じではないでしょうか。

うまくいったものもあるのでしょうか?日の丸という言葉を使うときには経産省、昔の通産省が仕切っていることが多いのではないでしょうか。結局、官僚が口を出しすぎるとうまくいかない時代に入っているのかもしれませんね。昭和の時代はうまく回っていたのだと思うのです。しかし今は技術分野も細分化しすぎており、詳細までわからない大企業経営者と官僚が話をしても意味がないのではと思っています。金は出す、口は出さない、ただし事業計画通りに進まないときにはその企業に責任をとってもらう、このような進めかにする必要があるのではと思っています。皆さんはどう思われますか?

ではごきげんよう。

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