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アウトソーシングを実施した企業のほうが従業者が増える?

経済産業省「企業活動基本調査」によると、2012年度の従業者を100とした場合、2010年度から2015年度まで1度もアウトソーシングを行っていない起業の2015年度の従業者数の推移は101.9でした。

一方、2012年度にアウトソーシングを開始し、2015年度まで継続している起業の従業者数の水準は102.2で、その差は極めて少ないですが、アウトソーシングを実施した企業の方が従業者数を増やす傾向にあるといえます。

直感的には「仕事を外注しているのだから従業者は減るはず」です。

しかし、現実はそう簡単ではないようです。アウトソーシングしたことで逆に本業に注力して価値を作り出す仕事が増えるということも十分起こりうるのです。

一般的にアウトソーシングする業務というのは「自社で抱え込むよりも外注したほうがいい」ものです。

つまり、アウトソーシングすべきものは、自社にとっては強みとなる収益の源泉ではないので、アウトソーシングすることでより会社の収益力が上がり、従業者も増やさないとなりません。

H12年の中小企業白書によると「大企業が委託している分野について見ると「情報処理関連」が5割を越え、「施設管理・防犯」、「一般事務処理・総務」、「物流」、「受付・案内・秘書」、「製造」、「研修などの従業員教育」が2~3割」ということで傾向は現在も大きくは変わらないはずです。

確かにシステム運用やサポートは外部の企業に受託しているところは多いです。専門的な知識が必要であり、移り変わりが早いというのもありますが、社内ではコストであると考えられているからです。

日本企業の場合は経営のためのITを知っていたり、PMができる人がとても少ないですが、そもそもそういう人材を求めていないので、結果的に必要最低限のシステム運用となりシステム構築も外注になります。

外注するとますますシステム部門の企画力が落ちますから、事務処理センターのようになります。経理が単なる経理処理センターに陥るようにシステムもまたたんなる運用部門に陥るのです。

実はほとんどのアウトソーシングは、「従業者を増やすためにアウトソーシングをする」攻めのアウトソーシングであることは少ないでしょう。

もし、あなたの会社の社長が「アウトソーシングを実施する企業は従業者が増える」というデータを見たとき、「それなら意味ないね」と思うのか。

それとも「それはアウトソーシングした成果があったということだね」と思うのかによって経営者の視座が測れるかもしれません。



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