「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

終わらない悲劇。

こんにちは、まぐろです。今回みた映画は2000年公開の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」です。パルム・ドール受賞作なので見たことあるよ!という人もいるかもしれません。全然関係ないですがパルム・ドールってなんか美味しそうな名前じゃないですか?

ところで、僕はいい映画とは感動させてくれる映画だと思っています。これは「主人公が幸せになってよかった!」とか、「家族の愛を感じた!」などの「プラスの感情」だけでなく、「マイナスの感情」を大きくゆさぶるものも含みます。クソだ!という感想を引きださせるほど心を大きく揺さぶるのはいい映画である証拠です。

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」をみるにあたってそのことを覚悟していなければなりません。また、感情移入しすぎてはいけません

感情移入できなかったなぁ~と思えたなら一歩引いて考えることができますが、入り込みすぎると立ち直れなくなる可能性があります。

この映画、全くの救いがなく(マイナスに振れた御都合主義といっても過言ではない)、余裕がなく思慮に欠ける人間がみると「クソだ!」以外の感想は出てこないので、「何があっても最後まで見届け、自分の頭で考えること」ができない場合はオススメしません。痛快アクション映画でも見てください。

僕はみる価値はあると思いますが、全員がその限りではありませんし、不必要に作品を貶めたり、傷つく必要はありません。それなら水曜どうでしょうを見る方がおすすめです。

とりあえず予告編だけみていけそうなら突き進んでください。

あらすじ

チェコからアメリカにやってきたセルマは女手ひとつで息子を育てながら工場で働いている。セルマを母のように見守る年上の親友キャシー、何かにつけて息子の面倒を観てくれる隣人ビル夫妻、セルマに静かに思いを寄せるジェフ。様々な愛に支えられながらもセルマには誰にも言えない悲しい秘密があった。病のため視力を失いつつあり、手術を受けない限り息子も同じ運命を辿るのだ。愛する息子に手術を受けさせたいと懸命に働くセルマ。しかしある日、大事な手術代が盗まれ、運命は思いもかけないフィナーレへ彼女を導いていく・・・。(プライムビデオより)

今度こそネットフリックスでみました。が、プライムビデオにもあります。安心してください。

そして今回は考えることが多すぎたのでネタバレ全開になっています。そのため、一部有料化しています。先に本編を視聴し、そして僕の記事を見たいと思ったら見に来ていただければと思います。

事の発端

次は事の発端であるビルの話をしましょう。

セルマとジーンが住んでいるのはトレーラーハウスなのですが、ビルと妻のリンダが格安で貸してくれています。また、ジーンに自転車を買ってくれたりもします。

そんな人がなぜジーンの手術代を盗んだんでしょうか。

問題はほかにあります。実は妻のリンダは浪費家でした。鼻高々に「ビルには遺産があるからお金持ち!」と喜んでいますが、とっくのとうに遺産はなくなっていたのです。なんてこった。

早い話、ビルは豪遊生活を何とか続けるためにセルマのお金を盗んだわけです。妻を愛しているなら諭すべきでした。

一筋縄ではいかぬ終盤

ビルは金を返せと銃で脅します。もみあいになっているうちにビルは銃弾を受けてしまいます。まぁ自分からあたりに行ったようなもんですが。リンダには警察を呼ばせていますし。

そして一思いに殺してくれ!などとめちゃくちゃなことを言い出します。勝手に死ねよこのクズ!としか思えませんが、リンダに保険金か何かを渡したいのでセルマを殺人鬼に仕立て上げるためには仕方ありません。

恐らくこのクズ男は死にたかったんだと思います。妻はどうしようもない。でも自殺する勇気はない。だから他人を巻き込み、殺させ、尊厳を守った。

でも僕にはどうせ惨めな思いで死んでいくとしか思えませんでした。

そして結局、ダンスのレッスンにいったところでセルマは捕まります。ついにセルマが舞台に立つことはありませんでした。

捕まってから精神的な負担はジーンの目に障るから伝えるな、と何度も言っていましたが、母親が全く帰ってこないことのストレスについては考えなかったんでしょうか?

ここからは重要なシーンを振り返り、いくつかの要素に分けて感じたことを書いていきたいと思います。

セルマの「ミュージカル」

この映画は半分くらいミュージカルでできています。すべてセルマの妄想です。セルマはつらくなった時に妄想のミュージカルへ逃げ込みます。

そして要所要所でミュージカルに切り替わるのですが、辛いシーンしかありませんで、しかも進行していきます。ですが、ミュージカルは一貫して明るい内容になっています。

これが「ダンサー・イン・ザ・ダーク」たるゆえんだと思っています。そして、物理的に目が見えていないだけではなく精神的にも盲目なのではないでしょうか

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