短い記録358:【過去作品再公開】Joy't(ジョイント)5
マガジンはこちらから
※このお話は5話目です。
どうしよう。
今日何回頭のなかでつぶやいたかわからない単語をまた思い浮かべる。
お風呂から上がったら、全部なかったことになってたらいいのに。
のぼせ気味で部屋に戻って髪を乾かした。
なんか気持ち悪い……。
ふと、ベッドの横を見ると、ぬいぐるみバッグが倒れていた。
宝物ではあるけれど、今となっては視界に入るとちょっと微妙な気持ちになってしまう。
シホちゃん、ごめんなさい。
ちょっとの間だけ、しまうね。
ビニール袋にまた入れようとして、口のジッパーが開いていることに気がついた。
あれ、閉めなかったっけ?
戻そうとしたけれど、今日はうまく動かない日みたいだ。
もういっか、とりあえず片付けよう。
そのままビニール袋に戻そうとすると、何かがキラッと光った。
口の小物入れのところ、何かが入ってる。
「何、これ」
人差し指と親指でつまんで取り出した。
小さくて、丸くて、黄色い。
しげしげと眺めていると、2つ、穴があいている。
これ、もしかしてビーズ?
まだこのバッグを持って出かけたことはない。
だから中に物を入れてみたこともない。
このビーズ、シホちゃんが入れてたのかな。
わたしはぬいぐるみバッグを逆さまにしたり、もう一度中に手を突っ込んで他にも入っているものがないかを探してみた。
これ以外には何も入っていなかった。
どうしよう、捨ててもいいのかな。
でも、もしシホちゃんのだったらどうしよう。
それに、このぬいぐるみバッグの飾りの部品とかだったら?
考えたけれど、結局元の場所に戻した。
ジッパーは無理やり閉めた。
(続く)
↑更新通知と内緒話をするアカウント↑