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【無料】使用歴一週間のアミュレットタイタンでプロツアーの権利を取るまで(デッキ解説付き)

はじめに

はじめまして、あるいはお久しぶりです。もりもん(Xアカウント)です。
今回、2月11‐12日に横浜で行われたチャンピオンズカップファイナルにおいて【アミュレットタイタン】を使用してTOP8という成績を収め、幸運にもプロツアーの権利を得ることができました。

短い調整期間で上々の結果を残すことができたため、詳細なデッキ解説を書くことも考えましたが、タイトルの通りデッキの使用経験が浅い上に、アミュレットタイタンにはすでに偉大な先人たちのデッキ解説が複数存在することから、主にファイナルに向けての取り組みの過程について書かせていただくことにしました。

とはいえ、「うるせえ!自分語りはいいからデッキの話を聞かせろ!」という方も多いと思いますので、後半では簡単なデッキ解説もつけさせていただきました。目次から好きなところに飛べるので、読みたい部分だけでも読んでいただけるとありがたいです。


1.デッキ決定まで

1月に行われたエリア予選では以前解説記事を書いたものとほぼ同一の【オルゾフハンマー】を使用してCCFの権利を獲得しました。リストは以下。

無事エリア予選は突破したものの、【ハンマー】への印象はひどく悪いものでした。理由としては、

  • 有利マッチだった【カスケードクラッシュ】で定番化した《ティシャーナの潮縛り》と《アノールの焔》や、サイドの《兄弟仲の終焉》がきつく、有利とは言えなくなった。

  • 《激情》禁止で弱体化した【ラクドス想起】とは互角に戦えるものの、《溶鉄の崩壊》の追加もあり、リストによっては苦戦を強いられる。

  • 【カスクラ】対策として複数枚の《仕組まれた爆薬》がそこら中から飛んでくるようになった。

  • 【ラクドス】に有利な【ヨーグモス】と【カスクラ】に有利な【リビングエンド】がそれぞれ増加しており、【ハンマー】はどちらに対してもかなり不利。

  • 有利マッチの【URマークタイド】や【トロン】が環境での立ち位置の悪さから減少傾向。

など、枚挙にいとまがなく、ポジティブな要素といえば、《豆の木をのぼれ》の禁止以後【5cオムナス】が減少していることや、エリア予選の結果から一定数存在することが予想された【バーン】に有利なことくらい。
それでもなんとか使えないかとあらゆる構築を試して【ラクドス】【カスクラ】相手に壁打ちを繰り返しましたが、ところどころ光るものがある構築はあったものの、ファイナルでの使用に耐えるレベルのものは見つかりませんでした。

竹槍になってしまった

この時点ですでにファイナルまでおよそ二週間強。大事なところで愛機が沈没。筆者はモダンの大海原に放り出されてしまいました。

その後の1週間はあらゆるデッキを試しました。
以前から知見のあった【鱗親和】を筆頭に、【グリクシスシャドウ】【ヘリオッドカンパニー】【ジェスカイブリーチ】などの、現在のtierは低いものの比較的ポピュラーなデッキや、海外の地域CSやMO、エリア予選等で結果を残した【御霊リアニ】【ホワイトサンド】【アサルトローム】【青赤ストーム】といったデッキのほか、《タッサの神託者》を使いたい一心から【ディミーアインバーター】【選り抜きの記憶】といった冗談みたいなデッキも試しましたが、(当然ながら)あまりにもデッキパワーが足りておらずボツという結果に。
(試したデッキの一部は最後に載せておきます)

2.デッキ決定&練習

1.デッキ決定の決め手

ファイナル約2週間前までの(無駄な)調整を経て、筆者はふざけたメタ外のデッキを使うことは諦め、【カスクラ】と【ラクドス】を中心に構築を練ることに。
【カスクラ】の諜報ランドと《変わり谷》の枚数は~とか、【ラクドス】の土地は21枚のほうが良さそう~とか、世の中で1万回くらい議論されてそうなことを考えながら、珍しくとてもまともな調整期間を過ごしていました。
そして、大会まで間もなく1週間となる2月2日深夜、いつものように大会の入賞レシピをチェックしていると、気になるリストを発見。

MO上ではKanisterの名前でお馴染みのHareruya Pros所属プレイヤー、Piotr Glogowskiによる【アミュレット】のリストです。
注目すべきはサイドボードで、《血染めの月》や《月の大魔術師》の影響下でもプレイ可能なカードを大量に詰め込んであります。
気になってkanisterの配信アーカイブ(タイトルは”Amulet with Random Red SB Cards”でした笑)を見に行くと、個別のカードの採択はさておき、【カスクラ】に対してプラン自体は非常に有効に機能している様子でした。

そもそも、非常に高い押しつけ性能を誇り、雑多なデッキを蹴散らすパワーを持つ【アミュレット】が現環境においてtier2に甘んじている理由は、環境のtop2である【カスクラ】と【ラクドス】に対して不利だからです。
そして、その相性には言うまでもなくサイド後の《血染めの月》と《月の大魔術師》の存在が大きく影響しています。
つまり、このサイドプランによって《月》への耐性を上げることができれば、理論上【アミュレット】は現環境へのソリューションになり得ると考えました。

サイを許すな

Kanister謹製の【アミュレット】に非常に魅力を感じた筆者でしたが、大きな問題が一つありました。それは、【アミュレット】を回した経験がまったくないということです。
【アミュレット】といえば熟練者がひたすら擦っているデッキという印象もあったため、ファイナルまで残り10日を切った段階から回し始めて果たして間に合うのかという疑問は大いにありました。
しかし、自分のような一般プレイヤーが強豪ばかりのファイナルでPT権利を獲得するためには、特大ホームランを打つことが必要です。
となれば守りに入っていてはいけないと考え、一念発起して【アミュレット】を使うことを決意しました。(正直なところ、【カスクラ】の調整がある程度形になっていたため、最悪そっちに逃げられるという考えもありました)


2.練習&調整

というわけで、【アミュレット】の練習に着手。
この時点でファイナルまでに残された時間はわずか9日ですが、まずはメインの基本的な動き方をマスターしない限りは話になりません。
時間があれば「とりあえずMO(orアリーナ)で回してみて死に覚えするか~」となるところですが、今回は時間がないため偉大な先人の知恵を拝借。

googleで”Amulet titan guide”と検索するだけでこれだけの良質な記事や動画がヒットするなんて、いい時代になったものです。
上記の記事を穴が空くほど読み込んだ後は、ひたすら一人回し&主要デッキを相手にメイン戦の壁打ちの繰り返し。これを丸二日、食事と睡眠の時間を除いたすべての時間を費やして行いました。(幸いにも春休み&バイトもちょうど暇な時期だったので時間だけはありました)

その後はKanisterのアーカイブを可能な限り多く視聴してプレイングの修正&サイドプランの確認を行い、今度はサイド後に組み替えて主要デッキを相手に再度壁打ちを繰り返しました。
そんなことをしているうちにもKanisterは元のリストを回し続けており、構築もどんどんブラッシュアップされていたので配信があるたびにその都度確認。お察しの通り、1から10までKanisterにおんぶにだっこです。サンキューカニキ。

そして概ね基本が固まってきたところで、週末には秋葉原に出向いて信頼できる調整相手のnameconと実戦形式で練習。
【カスクラ】【ラクドス】【ヨーグモス】という環境の3トップと対戦させた結果かなり感触が良かったため、この時点で使用を確定させ、通販で足りないカードを注文しました。

しかし、このタイミングでモダン環境に思わぬ爆弾が投下されます。そう、《ギルドパクトの力線》です。

黒船来航

テーブルトップで新弾のカードが使用可能になるプレリリース前後のタイミングから、《ギルドパクトの力線》と《ドラコの末裔》を採用した【トライバルZoo】が強いのではないかとにわかに囁かれ始め、実際の大会での目撃情報もチラホラと出始めました。

突如投下された爆弾にファイナル参加者たちは阿鼻叫喚でしたが、筆者個人としてはこの環境の変化は【アミュレット】にとってはむしろプラスに働くのではないかと考えました。
そもそも、【トライバルZoo】は《頑固な否認》や《力線の束縛》といったインタラクションも最低限備えているものの、基本的にまっすぐライフを削りに来るデッキであり、そういったデッキに対して一般的に【アミュレット】は有利とされているからです。
また同時に試され始めていた、【カスクラ】に《ギルドパクトの力線》パッケージを搭載した【ドメインライノ】に対しても、《ティシャーナの潮縛り》や《アノールの焔》、サイドボードの《月》の枚数が減っているため、【カスクラ】より与し易いです。

残りの数日間はtier2以下の気になるマッチアップ相手と壁打ちをしつつ、カードが届いたら直前に少し大会に出る予定でしたが、まさかの大雪による配送の大幅遅延でカードが届かず

ファイナル翌日に届きました

不足カード自体はなんとか借りられた(戦闘民族さん、ありがとうございました)ものの、大会には出られず、大会経験0でファイナルに臨むことに。
それでも前日に【ドメインZoo】と【ドメインライノ】の両方とスパーリングをこなすことができたので、主要な仮想敵に対するプランとデータは十分に揃った状態で当日を迎えることができました。


3.当日

当日のリストと結果は以下の通り。

リストの解説は後ほど

1日目
R1 鱗親和 ◯◯
R2 ドラコ力線なし5cライノ ◯×◯
R3 ドメインライノ ◯×◯
R4 ドメインライノ ◯×◯
R5 エスパー御霊(市川ユウキさん) ◯×◯ (フィーチャー)
R6 ドメインZoo(佐藤レイさん) ◯◯
R7 リビエン ◯×◯
R8 カスクラ(中島さん) ◯××
7勝1敗の2位

2日目
R1 URマークタイド(JS2さん) ××
R2 ラクドス(小坂さん) ◯×◯
R3 ラクドス(松浦さん) ◯××
R4 リビエン(行弘さん) ×〇〇 (フィーチャー)
2勝2敗 トータル9勝3敗の8位
SE1 カスクラ(中島さん) ×× (フィーチャー)

元MPL、世界選手権出場者、グランプリ覇者といった超強豪プレイヤーたちに当たりまくって気絶しそうになるも、なんとかギリギリ踏みとどまってtop8入賞&プロツアー権利獲得!
最後はプロツアーの権利を獲得できたことで気が抜けてミスをしてしまい、不甲斐ない姿を晒してしまいましたが、自分の実力を考えればtop8に残れたことだけでも出来すぎです。

初日メタゲーム

当日のメタゲームについては、【リビエン】が想定よりやや多く、【ラクドス】がやや少なかったこと以外は概ね予想通りでした。
当たった相手も、【エスパー御霊】以外はすべて事前に練習したマッチアップで、全体的に運が良かったことは間違いないですが、期間が短いなりに事前準備をしっかりと行った結果、幸運を掴むことができたとも言えると思います。


4.リスト解説

ここからは、ファイナルで使用したリストの解説と、サイドボードプランなどについての簡単なガイドになります。
なお、基本的な回し方や固定スロットのカードの役割、マナや打点の計算方法等については割愛させていただきますので、それらがわからないという方は、この記事の前半部分で紹介した他の方々の記事を読んでからこの後を読み進めることをおすすめします。

使用リスト

1.土地

サイド後の赤マナを捻出するためにお帰りランドを《グルールの芝地》に寄せ、《気前のよいエント》によるサーチ用に《踏み鳴らされる地》を入れている以外はごく普通の構成です。
基本土地の《森》の枚数は、実質《森》カウントできる《気前のよいエント》をサイドに3枚取っているため必要最低限の2枚に。

フィニッシュ手段については、Kanisterは《ハンウィアーの城塞》+《ケッシグの狼の地》を好んでいますが、個人的には《処刑者の要塞》+《軍の要塞、サンホーム》のほうが好みですし、優れていると感じています。
練習段階では《ハンウィアーの城塞》も試しましたが、【カスクラ】のサイトークン×2相手にタイタンを6/6のまま突っ込ませなければならない展開が多く、非常にストレスフルでした。

警戒とパワー修正が偉い

もちろん、《ハンウィアーの城塞》型にもメリットはあり、デッキ全体で白マナが不要になるため、《ボロスの駐屯地》をカットすることができ、そのスペースに《鏡の池》(もしくは《リトヤラの鏡湖》)を採用することで、《精力の護符》2枚置きの場合に浮きマナなしから《原始のタイタン》を2体展開する動きが可能になります。
《鏡の池》自体は展開パターンが広がる非常に優秀なカードなので、《処刑者の要塞》型でもスペースを見つけて採用してみてもいいかもしれません。

2.スペル

本当に言うことが少ないです。フリースロットは《迷える探求者、梓》と《探検》の2枚だけ
どうやらKanisterは《梓》のアンチのようですが、このカードがあるだけで《召喚士の契約》のサーチからの展開パターンがかなり広がるため、個人的には採用するのが無難に感じます。とはいえ、スタッツがあまりにも貧弱な上にサイドアウト候補筆頭のカードなので、嫌うのも納得ではあります。

よわよわボディ

《探検》も《梓》と同じくマナ加速として機能するカードですが、このカードはマッチアップによっては《一つの指輪》や《イリーシアの木立のドライアド》と併せることで、《護符》なしでのキープが可能になる点が強力です。
同じくキャントリップを持つマナ加速としては、擬似的な《護符》としても機能する《洞窟探検》が存在しますが、個人的には3ターン目の《一つの指輪》プレイに貢献する《探検》のほうが好みです。
また、サイド後も2ターン目に打つことができれば、【カスクラ】の先手3ターン目の続唱や、【ヨーグモス】のマナ加速→先手3ターン目の《スランの医師、ヨーグモス》着地の返しに《嵐の怒り》を打つことが可能になります。

3.サイドボード

今回最も時間をかけて調整した部分です。
そもそも、【アミュレット】というデッキ自体、メインボードの勝率が非常に高い反面、その全身弱点ともいえるデッキ構造の都合上、サイド後にはほとんどのデッキに対して苦戦を強いられます。
そのため、サイドボードの構成こそがこのデッキの勝率を最も左右する部分であると考えています。
また、今回採用したカードには比較的新しくサイドに定着したものも多く、過去の解説記事には説明がないものもあるため、それぞれのカードについて個別に取り上げながら解説します。

《気前のよいエント》 3枚
主な用途としては《月》対策と赤マナの確保の両方を行える、擬似的なフェッチランドとしての運用。サイド後は赤マナと基本《森》確保のどちらも非常に大事なため、たっぷり3枚採用しています。
それだけでなく、【カスクラ】【ラクドス】【UR】という、現環境で《月》を運用してくる主要な3デッキに対しては本体のスペックが優秀で、全体除去と組み合わせたり、複数枚展開したりできればそれだけでゲームに勝つこともあります。
また、【リビエン】に対しても、序盤にサイクリングして墓地に置いておくことで、安易な《死せる生》からの早仕掛けを牽制し、こちらの墓地対策を間に合わせることができます。

気前がよすぎる

本戦でも、ほぼすべての対戦でサイドインし、不利マッチの【リビエン】に対しての勝利にも貢献してくれたことから、TOP8プロフィールでは今回のMVPカードとして選ばせていただきました。

《忍耐》 1枚
【リビエン】に対して《召喚士の契約》からサーチできる墓地対策として1枚は採用したいカードです。
【UR】系デッキにも非常に有効なのでサイドインしますが、それらに対しては《召喚士の契約》を数枚サイドアウトすることが多いため、【UR】系デッキを重く見るなら素引き前提で複数枚採用したいところです。
今回はエリア予選の結果から【URマークタイド】も【URブリーチ】も少ないと読んでいたため、最低限の【リビエン】対策としての1枚採用にとどめました。

《嵐の怒り》 2枚
【カスクラ】と【ヨーグモス】に対してクリティカルな全体除去。《ドラコの末裔》をプレイしてくるデッキが増えたことで、より強く使える場面が増えた印象です。
【ラクドス】に対しては後述の《炎渦竜巻》のほうが有効ですが、こちらも悪くないカードなので、環境を広く浅く見る場合には《炎渦竜巻》を減らしてこちらを増やすのもありです。
赤ダブルが足を引っ張ることもありますが、それ以上に通った時のリターンがあまりにも大きいため、サイの群れが無限に押し寄せてくる現環境で2枚以下に減らすことは考えられないカードです。

《炎渦竜巻》 2枚
対【ラクドス】と【UR】用の全体除去。
このカードの存在意義は、【ラクドス】が3ターン目にタップアウトで《月の大魔術師》をプレイした返しに盤面を一掃できる点にあります。
全体除去を《嵐の怒り》しか取っていない場合、全体除去のターンに《まだ死んでいない》や《黙示録、シェオルドレッド》が間に合ってしまい、思ったような効果を挙げられないことも多いです。
また、こちらが先手であれば《ラガバン》からの2ターン目《月の大魔術師》のパターンにすら間に合います。
今回はリスト公開、かつ日本の競技イベントは特に【ラクドス】が多い印象があったため2枚採用としましたが、【ラクドス】が少ないフィールドでは追加の《嵐の怒り》などに枠を譲る事も考えられます。

《四肢切断》 1枚
万能除去。《嵐の怒り》で撃ち漏らす、《黙示録、シェオルドレッド》や《縄張り持ちのカヴー》などに対処するために採用。もちろん、それ以外にも幅広く使えるので1枚あると何かと便利です。
このリストではサイド後は全体除去入りのランプデッキに寄ったプランを取っているため1枚採用ですが、ヘイトパーマネントをピンポイントで弾いて本来の自分の動きを通すようなプランを取るのであれば、複数枚採用してもいいと思いますし、全体除去にオールインする場合は全く採用しないことも考えられます。

《防御の光網》 3枚
現在の【アミュレット】の定番サイドで、主な対クリーチャーのカウンターが《対抗呪文》から《緻密》へと変化したことで《魂の洞窟》に代わって採用されるようになりました。(Kanisterの記事の受け売り)
対カウンターとして有効な他、こちらのターンでの《暴力的な突発》+続唱スペルの仕掛けに対して計6マナの追加コストを要求できるため、【カスクラ】と【リビエン】に対して特に有効な1枚です。
《活性の力》でまとめて割られてしまうという弱点はあるものの、その《活性の力》に対しても自分のターンで4マナ支払って打つか、こちらのターンで3マナ+ピッチで打つかという不自由な択を迫ることができます。
2種の続唱デッキが幅を利かせている現環境ではぜひとも複数枚採用したいカードです。

《仕組まれた爆薬》 1枚
《トレイリア西部》の変成でサーチ可能な【カスクラ】対策カードです。
他にも【鱗親和】【ハンマータイム】【アスモフード】などの、《ウルザの物語》デッキや、【不屈の独創力】などにも有効なため、1枚は確実に採用しておきたいカードです。
このデッキは理論上すべての色を出すことが可能なので、X=0に固執せず、柔軟にXの値を調整して使いましょう(ただし、《護符》の巻き込みには注意)

《ボジューカの沼》 1枚
各種土地サーチで持ってこれる墓地対策です。
《忍耐》同様サーチが効くため1枚入れておくことの費用対効果が高いです。腐っても土地なので、サイドボードのスペースを空けたければメインから採用することも考えられます。
また、このデッキではお帰りランドや《ヴェズーヴァ》によって複数回効果を使えるため、他のデッキ以上に強力な墓地対策として機能します。

《光輝の泉》 1枚
回復土地。《ボジューカの沼》同様お帰りランドや《ヴェズーヴァ》で使い回すことで大量のライフを得ることができます。
直線的にライフを削ってくる【バーン】や【トライバルZoo】などに有効なのはもちろんですが、【カスクラ】や【ラクドス】に対してもかなりいい仕事をします。
サイド後に多発する《護符》なしのゲーム展開で、《タイタン》を出した後に殴るまでの1ターンを稼いでくれるこのカードは、個人的には必須カードだと考えています。
また、腐ってもアンタップイン土地なので、こちらも枠が許せばメインボードからの採用が考えられるカードです。

4.マリガン指針

マリガンについては、はっきり言えば対面によるとしか言いようがないです。そもそも、筆者はリスト公開でしかこのデッキを使った経験がなく、練習もリスト公開前提で行いましたので、デッキが不明な場合のキープ基準については全く詳しくないです。
対面が不明な場合のマリガン基準については前述のDom Harvey氏の記事に詳細に書かれています。(個人的には氏よりやや緩くマリガンしても問題ないとは思いますが)

5.マッチアップ&サイドボードガイド

主要マッチアップの大まかなゲームプランとサイドボードについて書いていきます。当然ですが、サイドボードは相手の構築やプランに合わせて柔軟に変更するので、毎回ここに書いたものを行うわけではありません。

カスケードクラッシュ/ドメインライノ

ティムール:メイン微有利、サイド不利 トータル微不利
ドメイン:メイン微有利、サイド微不利 トータル五分
メイン戦はひたすら目を瞑って脅威を連打していくだけの作業です。相手が3t続唱+2妨害持っていると厳しく、1妨害ならば勝つ印象です。《緻密》or《否定の力》対《一つの指輪》or《原始のタイタン》の噛み合いの要素も大きいです。
また、こちらの先手3ターン目の脅威に対してはピッチスペルでしか対応できないため、3ターン目に仕掛けられる手札は値千金です。

サイドボード
out
4×《ウルザの物語》
1×《探検の地図》
3×《召喚士の契約》
1×《樹上の草食獣》
1×《迷える探求者、梓》
1×《耕作する巨躯》
in
3×《気前のよいエント》
2×《嵐の怒り》
1×《四肢切断》
1×《仕組まれた爆薬》
3×《防御の光網》
1×《光輝の泉》

この後も頻出のためここでまとめて説明しますが、《月》か《活性の力》(場合によっては《摩耗//損耗》も)がある相手には《サーガ》は減らす、もしくは全抜きしましょう。ノーガードで突っ込んでセルフランデスされるのは愚の骨頂です。
また、《原始のタイタン》をカウンターできる相手には《召喚士の契約》は最大3枚まで減らします。6マナの《タイタン》をカウンターされた上に《契約》の4マナまで払っていては勝てるはずがありません。

サイド後のゲームプランとしては、《護符》に固執せずにランプデッキのように振る舞うことが多いです。(もちろん、《護符》があるに越したことはないですが)
サイド後も《緻密》or《否定の力》とこちらの脅威が噛み合うかの運ゲーになりがちです。《防御の光網》はどちらに対しても強いですが、《月》に対しては弱いため、ここでも噛み合い運ゲーが発生します。祈りましょう

ラクドス想起

メイン有利 サイド微不利 トータル五分

先後が非常に重要なマッチアップ。先手を取れればハンデスを受けずに1ターン目に《護符》を置けるためかなり有利になります。
もちろん1tに出した《ラガバン》や《悲嘆》が通り続けてしまうといった展開で負けることもありますが、こちらが《サーガ》を固め引く展開や、《樹上の草食獣》や《イリーシアの木立のドライアド》で盤面がビタ止まりする展開、トップデックした《指輪》が暴れる展開など、こちらに有利な噛み合いが比較的多く、メインは有利な印象です。

サイドボード
out
4×《ウルザの物語》
1×《トレイリア西部》
1×《耕作する巨躯》
1×《迷える探求者、梓》
1×《探検の地図》
in
3×《気前のよいエント》
2×《炎渦竜巻》
1×《嵐の怒り》
1×《四肢切断》
1×《光輝の泉》

比較的カード1枚毎のスケールが小さいデッキのため、サイド後は《護符》なしのランププランが比較的通りやすいです。《指輪》の大量ドローから全体除去を撃ち、《エント》本体で殴り切るような展開も頻出です。

ヨーグモス

メイン有利 サイド不利 トータル五分

メインはこちらのほうがコンボスピードが早く、妨害も《母聖樹》程度しか無いためかなり有利です。
しっかりとマリガンして3-4キルのハンドを探しましょう。

サイドボード
out
4×《ウルザの物語》
1×《探検の地図》
in
2×《嵐の怒り》
1×《四肢切断》
1×《炎渦竜巻》
1×《忍耐》

サイド後は《大爆発の魔道士》《機能不全ダニ》《再利用の賢者》《活性の力》などがサイドインされるため、一転して不利になります。

本当にきつい

しかし、相手目線でも、対策カードのサーチに《召喚の調べ》を使わざるを得ない展開も多く、《ヨーグモス》が欠損してしまうパターンもあります。
そうなると《アガサの魂の大釜》がない限り向こうはジリ貧になっていくので、その隙に土地を並べてタイタンを走らせましょう。
もちろん、《嵐の怒り》は引いたら遠慮なくパナしましょう。相手が椅子から転げ落ちて爆発する様子が見られるはずです。

リビングエンド

メイン不利 サイド微不利 トータル不利

きついです。メインはこちらから干渉できないため、基本的には普段通り少しでも速いハンドをキープしてまっすぐ攻めるだけです。
クリンナップで《タイタン》や《巨躯》をディスカードするテクニックについては、後手2tにバウンスランドを置いて自然に行えるときのみ実行するのがいいように感じました。基本的には、無理なディスカード等は考えずに相手が《緻密》や《暴力的な突発》を持っていないことに賭けて自分の動きを優先すべきです。

サイドボード
out
4×《ウルザの物語》
1×《迷える探求者、梓》
3×《樹上の草食獣》
in
3×《気前のよいエント》
3×《防御の光網》
1×《忍耐》
1×《ボジューカの沼》

サイド後の理想的なプランとしては、《エント》サイクリングや《タイタン》《巨躯》のナチュラルディスカードで相手の《死せる生》のキャストをためらわせている間に、《探検の地図》や《トレイリア西部》で《ボジューカの沼》をサーチし、バウンスランドで使いまわしながら戦っていくというものになります。
また、インスタントタイミングで使える除去が《暴力的な突発》からの《死せる生》以外にほとんど存在しないため、《防御の光網》を通すことができれば基本的に裏目なく《タイタン》を走らせることができます。

URマークタイド

メイン微有利 サイド微不利 トータル微不利

メインは先後が非常に重要なマッチアップです。
こちらが後手だと、1tの《護符》に《呪文貫き》が当たるうえ、2tでマナを使ってこちらが3t目に展開する脅威に対する回答を探されたり、2tの《帳簿裂き》のプレイを許してしまったりします。
いずれにせよ、こちらにできることは脅威を突きつけ続けることだけです。最低限の《呪文貫き》くらいはケアしながらやれることをやりましょう。

サイドボード
out
4×《ウルザの物語》
3×《召喚士の契約》
1×《探検の地図》
1×《探検》
1×《トレイリア西部》
1×《耕作する巨躯》
1×《迷える探求者、梓》
in
3×《気前のよいエント》
2×《炎渦竜巻》
1×《四肢切断》
1×《忍耐》
3×《防御の光網》
1×《光輝の泉》
1×《ボジューカの沼》

サイド後も基本は変わりません。《忍耐》は変に欲張ってコンバットをシャクろうとせず、《濁浪の執政》を出させないように事前にキャストしておきましょう。相手のアップキープ等にキャストし、タップアウトを誘うテクニックも有効です。
このマッチでも、《エント》は非常に強力です。成長した《濁浪》以外のすべてのクリーチャーをブロックでき、《邪悪な熱気》1枚でも倒されません。

ミラー

(当然)五分

経験が浅いのでそこまで詳しくないですが、先手がまあ勝ちます。ただし、お互いに母聖樹が3枚入っているため、意外と捲ることもあります。
母聖樹で何を壊すかはケースバイケースですが、《サーガ》《護符》お帰りランドの3つが一番多いでしょうか。
一応、こちらは《踏み鳴らされる地》が入っているので、《護符》が2枚以上ある状態で《母聖樹》を打たれると、タップインを選択することでマナが増えます。

サイドボード
out
1×《一つの指輪》
in
1×《四肢切断》

サイド後も変わりません。《四肢切断》の枚数が少ない分、ミラーは不利かもしれませんが、誤差の範囲内です。
《活性の力》を入れているヤツは紳士協定違反です。打たれたら暴れましょう。

トライバルZoo

ジェガンサなし:メイン有利 サイド微不利 トータル微有利
ジェガンサ:メイン有利 サイド微有利 トータル有利

メインは相手の妨害が《力線の束縛》と《頑固な否認》くらいしかなく、こちらがしっかり動ければそのまま押し切れてしまうことが多いです。
相手が先手1tに構えてきた場合は、《頑固な否認》をケアして《護符》を置くターンは遅らせましょう。

サイドボード
out
x×《ウルザの物語》
x×《探検の地図》
1×《迷える探求者、梓》
1×《耕作する巨躯》
in
x×《気前のよいエント》
2×《嵐の怒り》
1×《四肢切断》
1×《光輝の泉》

《サーガ》を何枚抜くかは相手の置物破壊の枚数と相談しましょう。《ジェガンサ》型の場合《活性の力》がない分かなり楽なゲームになります。

鱗親和

メイン有利 サイド有利 トータル有利

環境でも屈指の相性差が偏ったマッチアップです。特にメインは本当に負けません。しっかりマリガンして速いハンドをキープしましょう。
とはいえ、向こうもミスを咎めるのが得意なデッキなので、しっかり相手のデッキの知識をつけ、頓死しないように立ち回りましょう。
一度の《タイタン》の攻撃で倒しきれない場合は《タイタン》の攻撃誘発で《母聖樹》をサーチして構えておけば、大体は死にません。

サイドボード
out
1×《耕作する巨躯》
1×《迷える探求者、梓》
in
1×《四肢切断》
1×《仕組まれた爆薬》

サイド後もお互いあまり構成が変わらないため、ほとんどやることは変わりません。
グリーンカウントの都合上《活性の力》はあまり採用されないデッキですが、頭の片隅では意識しておいていいかもしれません。

4c/5cオムナス

メイン微有利 サイド五分 トータル微有利

現在はメインにカウンターが入っていない型が主流なため、基本的に《タイタン》も《指輪》も素通りします。殆どの場合《孤独》や《力線の束縛》で除去されてしまいますが、愚直に連打して相手のリソースを削りましょう。《指輪》が無い限り相手が先にリソース切れします
《指輪》が定着し相手のリソースが切れなくなってしまった場合は、こちらも《耕作する巨躯》の爆発的アドバンテージからの勝利を目指すことになります。しかし、長期戦になると《レンと6番》+《母聖樹》のハーフロックが決まってしまうこともあるため、できれば短期決戦を挑みたいです。
《機械の母、エリシュ・ノーン》は出されたら泣きながら爆発するほかありません。諦めましょう。
ファイナルでは数が多くないと予想したため、現在のリストでは比較的ガードを下げています。ガードを上げるのであれば追加の《巨躯》、《世界魂の憤怒》、《鏡の池》などを取りましょう。

基本弱いが、このマッチは強い

サイドボード
out
3×《樹上の草食獣》
1×《迷える探求者、梓》
in
1×《ボジューカの沼》
1×《四肢切断》
2×《防御の光網》

カウンターの殆ど無い除去コン相手に《防御の光網》を入れるのは気持ち悪いですが、《力線の束縛》や《孤独》が重くなるだけで効果的なのでサイドインします。
また、《活性の力》が入ってくる相手ですが、PWにプレッシャーをかけるために《ウルザの物語》は残します。

その他練習していないマッチアップ

以下は練習していないマッチアップなので、脳内で考えたサイドプランだけ置いておきます。参考までに。

バーン
out

1×《迷える探求者、梓》
1×《耕作する巨躯》
1×《一つの指輪》
in
1×《光輝の泉》
2×《炎渦竜巻》

独創力
out
1×《迷える探求者、梓》
x×《耕作する巨躯》
x×《召喚士の契約》
in
1×《仕組まれた爆薬》
x×《四肢切断》
x×《防御の光網》

ハンマー
out

1×《耕作する巨躯》
1×《迷える探求者、梓》
in
1×《四肢切断》
1×《仕組まれた爆薬》

トロン
変更なし

黒単
変更なし


おわりに

デッキ解説は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。もし少しでも面白かった、もしくはためになった、と思っていただけたら、フォローと「スキ」、Xのフォローの方をよろしくお願いします。
次の記事については未定ですが、4月のプロツアー後には必ずプロツアー参戦記を書こうと思っていますので、その際にはまたお読みいただけるとありがたいです。


おまけ がらくた置き場

購入者の方向けのおまけには、例のごとく調整中に生み出された意欲作()のデッキを置いておきます。興味のある方はぜひ調整して使ってみてください。

青白《選り抜きの記憶》

冗談みたいな見た目のデッキ

2種の土地サイクリングで2枚の《神聖なる泉》を抜き、《選り抜きの記憶》でデッキを《タッサの信託者》1枚に固定し、次のターン勝利する。《ゴブリンの放火砲》のサブプランもあり。
最速4キルで、ピッチスペルが大量に入っている上に《テフェリー》も強いので見た目よりはやれる。ちゃんと調整すればリーグ5-0くらいなら狙えそう?

エスパードメインフラッシュ

入ってるカード”は”強そう

《孤独》も《緻密》も《ティシャーナ》も《オーク》も《力線の束縛》も瞬速付いてるし、《エラントとジアーダ》と相性良くね?ドメイン要素も入れるなら《ドラコの末裔》と《ギルドパクトの力線》も入れられるじゃん!後引きはピッチの種にできて相性ヨシ!と思って組んだデッキ。
実際入っているカードは強いため回ったときは凄まじい動きをするうえ、諜報ランドも強く使えるデッキなので面白い。他のデッキでも使うパーツばかりで無駄なカードを買わなくて済むのもいいところ。

フランフコンボ

みんなが忘れたデッキランキング1位

指輪物語発売後に一瞬だけ話題になったコンボ。《オーク》ってカード自体は強いしいけないか?と思ったがいけるはずもなく解体。
相手のオークキツすぎ&弱いコンボパーツ入りすぎなのが難点。

ガチョウハンマー

指輪に脳を焼かれた

アーティファクトカウント用の1マナ域である《エスパーの歩哨》と《スレイベンの検査官》があまりに弱すぎることから、1マナでカウントになるクリーチャーを探した結果、《金のガチョウ》にたどり着いたのが始まり。
そこそこマナ伸びるし《指輪》もいけるやろ!って感じでこのような構築になった。
腐ってもハンマーなので弱くはないが、ここまでするならハンマーなんて使わないほうがいい。


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