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ふつうの暮らし

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#投げ銭

「食べる」というくりかえしを、どんなうつわでよそおうか。

「ライフスタイルショップ」というお店のジャンルがある。最近は専門店のほうが人気がでてきたからか、あんまり特集を組まれたりすることもなくなった。ぱっと思い浮かぶようなところだと、CIBONEやTHE CONRAN SHOP、IDEEなんかだろうか。

そういったお店に行くと、インテリアはもちろん、カトラリーやうつわがかならずある。どこどこの作家がてづくりしたものだとか、海外のデザイナーがデザインしま

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「相手のよろこぶ言葉」ってなんだろう?

ふと口をついてでる言葉こそ、気をつけたい。急だったり・心の準備ができていないときに話しかけられると、自分でも思いもよらない言葉が口からとびだしてしまうことがある。

テンポのいい会話というか、いわゆる「はやいキャッチボール」というのが昔から苦手で、かつ相手の話すスピードと無意識に自分もあわせてしまう癖もあり、とくに早口な人と話したりしたあとは「あの言いかたはちょっと良くなかったよなぁ」「言い回しが

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愛してやまないカツ丼という料理について。

カツ丼という料理が好きだ。「いつから好きだったか」なんてことはもう覚えてないけど、中学生のときに部活で大事な試合があったりする前の日に母親が買ってきてくれた「かつや」のカツ丼がおいしかったことなら、今でも思い出せる。

しかし、そのときから「私はカツ丼が好きです」と表明していたわけではないし、むしろわざわざ食べに行くほどのものでもない。好きな料理を順番にあげていっても、人に言われないと思い出せない

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「気分のあがるもの」と暮らしたい。

単純な自分の気分なんてものは、簡単にコントロールすることができる。タイトなシャツを着れば緊張感がでるし、ゆとりのあるカットソーを着れば、リラックスできるように。だからこそ、気分のあがるものを身のまわりにおいて生活することはなにより大切なことだと思う。

生活を楽しむには、普段自分が触れるすべてのものを「気分のあがるもの」でどれだけ揃えられるかにつきる。なにも、高価なものがいいわけじゃない。安くても

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何かをやめるタイミング。

電車で隣に座った男性が、ノートパソコンを広げている。パソコンの画面がふと目に入ると、真っ黒な画面に英単語や記号が羅列が表示されている。おそらくプログラミングのようなことをしているんだろう。以前ホームページを自分でつくったときに、少しそうゆう勉強をしたことがあった。その時は、ただ散らかった意味の分からない言葉の波に飲まれてしまったけど、いかにシンプルで美しい文章を機能させるか、という行為はきっと自分

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君の名は。

流行りの映画の話ではない。「名前を知らない人と話す」ことがよくある。たとえば、たくさん人が集まるパーティーでも、デパートのエレベーターの中でも、バーで一杯やってるときでも、なんでもいい。トイレに並ぶ行列の待ち時間でもいい。ふと宙ぶらりんになった時間に、たまたま隣にいた相手と一言二言言葉をかわす。定型化された質問をしあうなかで、たいていは何か共通のことが見つかる。ふたりのたゆまぬ努力によって、思いが

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へそから握りこぶしひとつぶん。

大きな道を歩いていると、さまざまな人とすれちがう。「外見だけでひとを判断してはいけないです」とはよく言われているけど、表情・姿勢・歩きかたには、そのひとの大部分があらわれると思う。そして、たいていのひとはそのどれかが歪んでいる。しかめた表情をした人、自信がなさそうに腰が丸まっている人、パタパタと音を立てながら歩く人。そういう人を横目に見ながら、ハッとして、僕も背すじを伸ばす。

へそから握りこぶし

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ハレとケ。

日本の伝統的な世界観のひとつに「ハレとケ」というのがある。ハレ(晴れ、霽れ)は儀式や祭り、年間行事などの「非日常」、ケ(褻)はふだんの生活である「日常」を、それぞれあらわしている。

たまたま降りた駅の前で、小さな祭りがやっていた。といっても、仮設のステージに祭壇をつくって、そのまわりをフランクフルトやかき氷を売る露店が囲ったような、こじんまりとしたものだ。それでも、ちかくに住んでいるであろう家族

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白いシャツを着る日。

最近は朝早く活動をはじめることが多いから、よく晴れた日には、外出する前にベッドシーツを干す。

幸い、急な雨におそわれることもなく、とりこむことができた。

今日は初めて会う人が多かったので、パリッと糊づけをした白いシャツに黒のスラックスをロールアップ、足元はネイビーのニューバランス1400にした。

よく知らない初対面の相手に会うときは、白いシャツがいい。相手がどんな価値観をもっていたとしても、

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この街の時間の流れについていけているだろうか。

僕は髪を切るのはちょうど2ヶ月に1度と決めている。もともと面倒くさがりな性格だから、一定のペースでやってくる出来事にはできる限り、頭をつかわずに決めたいと思ってしまう。

東京に来てから4年間、ずっと小林さんという女性にカットをお願いしていたけど、今回はタイミングが合わなくて、彼女が以前働いていた美容室を久しぶりに訪れることにした。もともと彼女はここで働いていて、2年前に独立して東京女子大学の隣に

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