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#エッセイ
「マルタン・マルジェラ」の幕引きと沈黙のエンドロール
無音のまま流れていくエンドロールが、2人への黙祷のように思えたこの文章は『We Margiela マルジェラと私たち』を観てから数週間のあいだ、まるでタンスと壁の間に落ちてしまったアルバムのように下書きの中で眠っていたものだ。取りだしたいけれど、手を伸ばしてもなかなか届かない。いっそ忘れてしまおうとも思ったけれど、そこには大切な写真が入っていたような気がしてそうもいかない。
端的に言ってしまうと
大切な人との関係が終わっていくのを、悲しむことも、怖がることもない
はじめて出会った人と少し言葉を交わしただけで「この人とは気が合いそうだ」と直感的に思えることがある。
そして、「相手もきっとそう思っている」という、確信に近いものを感じとれる瞬間がある。
毎年冬になると彼のことを思い出すから、僕は今もこの街から出られないんだろう。
これまでも数え切れないほどの相手が僕の前にあらわれ、立ち止まり、少しのあいだ同じ時間を過ごしては、多くの場合、なんとなく連絡をと
当たり前のことを言葉にして話す意味。
先日、ある著名なデザイナーの方にお話を伺う機会があった。
デザインの仕事につくことになったきっかけや背景、素材や手法への探究心、メンバーへの畏敬の気持ち。時々言葉に詰まる男性が不器用そうに、でも明らかに心を込めて話されていて、終わる頃にはその場にいる全員がすっかり彼のファンになっていた。
もちろん、その人自身が魅力的であることは大前提だけど、それを聞いていて僕は、これは大なり小なり、仕事