服と暮らし表紙

テレビを観ないで年を越すこと、バッグブランドが作るレインコート、田中さんのニット、メリヤスの伝統が生む機能性インナー、難しい「宙吹き」という技法を用いたベース...2018.12.28(18)


年に1回、テレビを買っている。

それはなにも買い替えている訳ではなくて、毎年正月にだけテレビを観る僕は、正月が終わった頃には飽きて売ってしまって、またその年の年末に正月を過ごすためにテレビを買う。

一見無駄なことに見えるけど、1年間スペースを取る大きな機械が家にあるくらいなら、年末に買ってはすぐに売ってしまう方が僕にとってはストレスがないのだ。


そんな僕が、昨年末はテレビを買わないことに決めて年越しを過ごした。

テレビがないから、スマートフォンの画面に映る数字が1/1 0:00になった瞬間はただ数字が変わっただけで、それを祝う声も映像もない。

もちろんカウントダウンも。

多くの人にとって一大イベントである年越しも、それを伝えてくれる人、盛り上がる人がいなければただ時計の針が0を指す一瞬の出来事にすぎない。

でも、それを経験した時、なぜだかすごく虚しい気持ちになった。

そして、テレビを観ることで得られるのは「映像を通して社会とつながっている安心感」なんだ、「人は社会と関わっているからこそ正気を保てる生き物なんだ」と思い知らされた。


人と共通の祝い事があるからこそお祝いをし、話を聞かれているからこそ話し、見られているからこそおしゃれをする。

逆に言えば、他者の存在を意識しなくなった時に人は魅力を失ってしまうのかもしれない。

だからこそ、ひとりの時間は大切だけど、できるだけ精神的に孤独な時間は過ごさない方がいい。

人が人といるべき時、ちゃんと人といることにどれほど救われているのか、改めて人と過ごすことの大切さに気づいた年末だった。


そして、今年僕はテレビを買った。紅白を観て、ガキ使を観て、NHKの除夜の鐘を聴いて、カウントダウンの声とともに年明けを迎えようと思う。

今年の年越しは誰かと過ごしますか?

『服と暮らし』を読んでくださる皆さんが良いお年を迎えられるよう祈っています。


それでは、ここからは今年最後の『服と暮らし』です。

この記事が皆さんのよりよい暮らしの参考になれば幸いです。


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