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元初まりの話6

うなぎ


くもよみのみこと

ツルリツルリとして出入りの自由自在なもの
そこで、飲み食い出入りの道具
胃や腸や腎臓やらの消化および排泄の器官
食べたものをこなし、カスを外へ出す道具

太くて長くて頭を掴まえたらツルッと尾の方へ抜けてしまう。尾を掴まえたら頭の方へツルッと抜けてしまう。
人間は、のらりくらりしていては困ります。けれども、あんまりぎくしゃくしてても困ります。

人間がきっちりしているというのはよいことです。
けれども、あまり、きっちりしていると、胃の調子が悪くなります。だから、うなぎみたいに円転滑脱自由自在が肝心です。
のらりくらりするのは困るけれど、ツルリツルリとして、もつれたりすれたり行き詰まったりしないのは、よいことです。

胃袋
鯛のさしみでも、筋はある。白米のご飯でもカスはある。この筋は嫌いだ、カスは嫌いだ、と言っていたら、鯛のおさしみも白米のご飯も食べられません。
どんな立派な人でも皆、欠点はある。欠点のない人は、おそらくないでしょう。どんなつまらん人だと世間で言われている人でも何か一つくらいよいところがあります。
なんでも、みんなおなかの中へ入れて、それを、そこで、よくこなすわけです。そして、一番よいところは、小腸を通っている間に血や肉となって身につくのです。カスは毎日外へ出ていく。それで、人間の身体は達者に、生命力は一層活発になっていきます。

心遣いも、そのとおりであったら間違いはないのです。ところが心の方は、そうはゆきません。親切にしてもらっても四日目になったら忘れてしまう。ご恩になっても、半年も経ったら忘れてしまう。そのくせ、へんなことを言われて癪にさわったら、五年でも十年でも覚えている

しかるに人間は、よいところをどんどん忘れてしまって、カス方だけを大事にして、心の隅へためておく。そうすると、胃や腸の調子がわるくなってきます。

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