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5年ぶりに見るフォビオンの凄味

というタイトルを付けたが、長らくLeicaのM8をずっと使っていた。
僕にとってM8は、写真を通じて自分の世界を切り拓いてくれたとても大切なカメラだけど、2018年当時はM8に、いやレンジファインダーというカメラに不自由さを感じていて、自分の写真に対して何か変化を求めていた気がする。

そもそもレンジファインダーのカメラは、近いものは撮れないし、オートフォーカスも無いし、厳密なフレーミングも難しい。
当時の僕は、そんなレンジファインダーの特性がことごとく裏目に感じられ、新しいカメラを探していた。
そんな時、ある写真家の作例による、あるカメラの存在を知ることになる。
それがSIGMAのdp3 Quattroだった。

SIGMA dp3 Quattro

フォビオンセンサーから叩き出される、圧倒的かつ精緻で繊細な解像感・色表現は唯一無二で、僕はその独自の画作りとカメラらしくない奇抜なデザインにすっかり魅せられてしまい、M8を手放して早々にdp3 Quattroを手に入れるのである。

SIGMA dp3 Quattro

実際に使ってみてたまげた。
ライカを使った時もカルチャーショックだったが、シグマもまた全く異なるカルチャーショックがあった。
それを体感するには実際に使うことでしか得られないので、是非一度味わってみることをオススメする。

SIGMA dp3 Quattro

しかしその圧倒的な表現力と引き換えに、フォビオンにはまだまだ課題が多い。
高感度には滅法弱く、ISOは使えて400まで、データが大きいために書き込みに時間がかかり、AFもなかなかに遅い。
また、その特殊なデザインのためバッグに入りづらく、撮影時でもそのデザインが裏目に出て目を引いてしまう。

SIGMA dp3 Quattro + LCDファインダー

何よりも僕にとっての最大のマイナスは、SIGMAが用意している編集ソフト「SIGMA Photo Pro」(以後、SPP)の使いづらさだった。
SIGMA独自のRAWデータであるX3Fを編集するには、もっと言うならフォビオンを活かしきるにはSPPを使うしかないわけなんだけど、それがとんでもなく動作が遅い。
画像の一覧表示から1枚を表示させるだけでも待たされるし、ひとつひとつのアクションにいちいち時間がかかり、全くもってやってられない。
フォビオンの超絶画質と天秤にかけて、結局SPPの使い勝手の悪さとカメラ自体の使いづらさに耐えられなくなり、手離してしまった。
その後はまたM8を買い戻したり、FUJIFILMのX100Fを使ったりしたが、それらも手元を離れ、PENTAX645DとRICOHのGRiiixで今のところは落ち着いている。

Leica M8

そんなこんなで自分にとっては、フォビオンは過去のものなんだけど、ちょっとしたきっかけがあって、dp3 Quattroで撮ったものを見返して感じたことが今回の投稿に繋がるのである。

やっぱりフォビオンは凄い。
改めて視て、自分で撮って記憶しているのにも関わらず新鮮な驚きがあった。
SPPの絶望的な処理の遅さやカメラ本体の使いにくさを差し引いても、フォビオンの表現力には、他メーカーでは感じられない凄味を感じてしまう。
そして、やっぱりフォビオン良いなぁと思いながら、懲りずに某カメラショップのオンラインストアで出物がないか物色していたりするのである。



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