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シャークネード5を観た

 サメとトルネードが合体した映画を観た.この時間をもっと有効に使えるのではという気持ちに襲われる凄まじい映画だった.日曜の朝から放送を1人で観ていて,家族にどうだった?と聞かれて内容を話したら序盤で「もうやめて」と言われたのでnoteに書く.聞いてくれ,頼む.

 別に年に映画を何百本も観ているような映画好きではないし,シャークネードシリーズを観ているわけでもない.誰かに話したくなるような高揚感もないし,ネタバレのような詳細な内容も書く.記事の文章もまとまりがなく冗長だが,これでも映画よりはまとまっている.構わないなら,聞いてくれ.

 簡単な世界観としては,トルネードにサメが巻き込まれたシャークネードがアメリカを中心に全世界で脅威を振るっていて,アメリカ人の主人公,フィン・シェパードとその家族が立ち向かう.この第5作ではシャークネードに巻き込まれた息子を救うため世界各地を回り,映画のスタートはストーンヘンジから始まる.

 ストーンヘンジ近くの地下洞窟で,ノヴァという黒髪の女性とその”姉妹”である秘密結社の女性たちがシャークネードに立ち向かうための謎の石を探していて,彼(フィン)を呼びましょう…という風に始まるのだが,それと同時並行でシェパード一家(主人公・妻・小学校高学年っぽい息子)がイギリスを訪れ,首相と対面しシャークネードの専門家に会えて光栄だよ!と歓迎を受ける.

 この時点ですでに置いてけぼりである.謎の石を探している秘密結社と主人公がつながりがあるというのはよくある設定である.それはいい.だが展開が急で,しかもよくある設定なのに微妙にぎこちない展開なのだ.次へとつなげる設定が雑で,その場で使い捨てていく.

 なぜシェパード一家はイギリス首相と会っているのか.この時点ではシャークネードは起こっていない(気づいていない)はずで,多分,国際会議か何かに出席するためのようなのだが,分からん.とりあえず,フィンは地下洞窟へ行き,残った家族は首相に秘密基地へ案内される.

 地下洞窟はインディージョーンズをイメージしてもらうといい.さくさくっと罠をくぐり抜けてアイテム:ムチを手に入れる.そうして謎の石も簡単に手に入れるが,呪いか封印を解いてしまいシャークネードが発生する.急いで”姉妹”たちと逃げようとするが,ここで”姉妹”たち死亡.使い捨てである.

 一方,秘密基地にいる息子はかなり丈夫な素材でできたヘルメットをゲットする.このときの説明は丈夫でGPS付きぐらいだが,話が進むにつれサメが仲間と認識する・被っていれば何があっても大丈夫と設定がゆらぐ.とりあえず,今後の話の中で息子がシャークネードに巻き込まれるが死なない理由のためのアイテムだと思ってほしい.

 そうこうしてロンドンにシャークネード襲来.逃げ回る政府職員に対し,首相が立ち向かうぞ!と防御装置のコントローラを秘密基地の入り口ボタンの台座の下から取り出す.え,秘密基地は?
 秘密基地は息子にヘルメットを授けるためだけの場所であり,この場所も使い捨て.シャークネードにやられて今後は出てこない.せめて防御装置の起動ぐらい秘密基地でやれよと思うが,これから先もわりと大きめの設定や過去,フラグをポンポンと用意しては捨てていく.初めは過去のシリーズを観ていないから分からないのかと思ったが,過去があるそぶりなだけが大半だった.

 勇んで外に出た首相も片足をサメにやられるが,突然現れた女性秘書が「ずっと好きでした!」と告白し,盛り上がりのないクライマックスをぶち込んでいく.まだ開始20分経つか経たないかでこれである.そして死ぬ.この映画,序盤の”姉妹”もそうだったが,主人公たち以外は登場から5分程度で「そして死ぬ」.首相は長生きしたほうで,国際会議のシーンまで生き残るが,会議場もシャークネードに襲われ各国のお偉いさんたちみんな死ぬ

 しかも,だ.先ほどからシャークネードに襲われ死亡とさらっと流しているが,秘書の死に方は空から降ってきたサメに押しつぶされて圧死である.え,サメをそういう使い方するんか.もちろん首相みたいにシャークネードからサメが飛んできてガブっといかれるというのもある.が,サメが空中を移動できるわけもなく,襲う気満々のサメが勢いで飛んでくるだけなので圧死という死に方もわりとある.

 ただ,人間もやられっぱなしではなく一般人でも飛んでくるサメをパラソルで突いたり,お皿を投げて真っ二つにしたり,わりと攻撃力が高い.素手で殴るというのもある.そんな場面がなんの脈略もなく挿入され,そしてただそれだけである.一般人のバトルシーンを突然入れてくる.なんだったんだ?

 こうしてロンドンでシャークネードに巻き込まれた息子を救うため,主人公・ロボットの妻・ノヴァの3人が世界を回ることになる.シャークネードはトルネード+サメなのでそう簡単には中に入れない.そこでまずは科学者たちも集まっている国際会議へ行こうとなったのだ.しかし,あっというまに飛行船で突っ込むぞ!から車,生身とシャークネードに突っ込む難しさを下げていく.すごい.しかもシャークネード内部に瞬間移動ができる亀裂があって,内部に突っ込んでも息子の救出に失敗するとオーストラリアやブラジルに飛ばされる.

 ブラジルでは,突然現れたフィンと妻に「あんた知ってるぜ!ついて来いよ」と謎の女性のとこまで案内してくれる兄やん,謎の石を「始まりの地へ戻すのです」と謎の女性,そして「石を確認しました.殺しの準備を」という悪の組織っぽい手下,殺しの準備をといったのに石を盗んでただカーチェイスするだけのおじさんなど話の軸を混乱させる設定が追加されていく.
 どうやら謎の石はシャークネードを人為的に起こせるらしい.シャークネードを起こせるやら呼べるやら微妙に揺らぎがあるが,一応この設定は次のイタリアで役に立つ.悪の組織は出てこない.

 イタリアでは”姉妹”という秘密結社の設定があるのにわざわざまったく関係ないことをアピールして法王から武器を賜る.ここは良かった.法王がチェーンソーっぽいゴツめの武器を「有効に使うのですよ」と手渡してくれるのだ.ちなみにレーザ(?)乱射機能付きである.一回しか使われなかった.もったいない.
 この武器はわりとすぐになかったこと(持っている描写がなくなった)になったのに,序盤で手に入れたムチはこの時点までちゃんと持っていた.設定を作っては捨てていくくせにへんにこだわる.

 書いていて思い出した.イタリアで万事休す,トレビの泉に願いをかけてコインを投げ入れる場面がある.その場で何も起こらなくとも普通,伏線としてのちのち回収されると思うが,なかったんだよ.忘れていた.なんで投げ入れた?観光か?

 その後に法王と面会したので,もしかしたらこれが早すぎる回収だったかもしれない.だから結社と関係ないアピールを入れたのか…それは分からないよ.まったく分からない.もし伏線の回収だったら映画内での数少ない回収である.イタリア編は見所.

 ダメだ.本当に話のつながりがないので次にどこへ行ったか分からない.多分東京だと思う.ここでノヴァが死ぬ.よく分からないが,シャークネードに巻き込まれた息子も死んだことになる.ノヴァがそう言った.死ぬのか.ここでアメリカにいるもう一人の息子とおばあちゃんもシャークネードに巻き込まれて死ぬ.そして妻も爆発して死ぬ.主人公以外みんな死んでしまった.ああ.

 何度も中途半端なクライマックス的展開を突っ込んできたが,ここでいよいよ本当のクライマックス.妻の首を持ち,シャークネードで人類が滅んだ街をさまよう主人公.シャークネード,もしくは津波で滅んだはずなのにサメの死骸一つなく,焼け野原みたくなっている街を「誰かー」とさまよっているとそこへ一台の車が.そしてto be continue….

え.

え.

 これだけ脈絡のないストーリーで次回へ続くのか.
 1時間半弱の映画で信じられないぐらい体力を消耗した.今はこうやってツッコミながら振り返れるが,観ている最中は何一つ笑えなかった.誰かに話して振り返ることで笑える映画だったと思える.一人で観るにはしんどすぎる映画だった.

 シリーズを最初から観るべきなのではという気もわかない.気もわかないが,第5作を放送して,次は1作目に戻る.放送する.なら観るべきなのでは.しかもシャークネードシリーズだけではなく,ロボシャークや頭がたくさんあるヘッドジョーズシリーズもやる.生きて残れる気がしない.

強くなります.