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保護猫フク・闘病最後の三日間【1】

(約3,300文字・画像8枚)

はじめに

一年八ヶ月前に偶然保護し、ずっとうちで世話をしていた猫の「フク」が亡くなりました。

フクは、FIV(猫エイズ)キャリアで、なおかつ腎不全(慢性腎臓病)。
難治性の口内炎や重度の歯周病もあり、介護する側としてはちょっと手がかかりましたが、とても賢く可愛らしい子でした。

猫に限らず、命ある存在と一緒に暮らしていれば、いつかは必ずお別れがやってきます。

その悲しみをしっかりアウトプットするということは、辛さを乗り越えるためにも有効な手段であると私は考えます。
実体験としても、(ある意味周囲の迷惑を顧みず)悲しみを思い切り吐き出したときのほうが、立ち直りまでの時間は短かくてすみましたし、友人知人でも同様のケースを目にしました。

一方で、猫が亡くなる前後の状況を克明に記録しているブログなどは、あまりないように思っていました。
もちろん通常は辛すぎてそんな余裕もないのだろうと思います。
ただ私の場合は、それらの状況を記録することによって客観的になれ、悲しみが軽くなるように感じられたのです。
(もしかしたら私の神経がちょっとおかしいのかもしれません。)

自分の悲しみを克服するために。
そして、ひとつの記録として、保護猫・フクの最期のときを知りたいという方のために。
初めての試みとして、今回note にまとめてみました。

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このパート1(保護猫フク・闘病最後の三日間【1】)はまだ深刻な状況の描写が少ないので、無料公開でどなたでも読めるように設定しています。

臨終前後の描写はやはり、どうしても生理的に受け入れられない方もいらっしゃるでしょう。
そのような方が間違って目にしてしまわないよう、そちらについて書かれているパート2は有料に設定する予定です。
※2018年9月13日に公開しました。⇒ 保護猫フク・闘病最後の三日間【2】

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もくじ

はじめに

1.フクのプロフィール
2.フクの持病と闘病歴
3.フクの晩年の治療内容

4.9/1(土) 曇のち雨【31.5°C/24°C】
 9:00 体温・体重測定・注入
 11:00 注入
 13:30 注入
 17:00 注入
 18:00 トイレ
 19:30 注入
 22:30 皮下点滴・体温測定

5. 9/2(日) 曇のち雨【24°C/21°C】
 7:30 体温測定・体重測定
 9:30 不機嫌
 11:00 注入
 13:30 注入
 14:00 写真撮影
 15:30 注入
 16:00 トイレ・嘔吐
 17:00 息切れ
 17:30 注入
 18:00 体温測定
 19:00 トイレ
 22:00 開口呼吸
 23:30 皮下点滴・投薬

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1.フクのプロフィール

2016年12月28日水曜の午後に保護。

生年不詳。
雑種のオス。(保護当時で推定10才以上)
短いかぎしっぽのキジトラ。
瞳は黄色~金色。
保護当時の体重は2.8kg(その後一時5.0kgまで回復)

一年近く野良生活をしていたが、人懐こさや聞き分けの良さから、もとは確実に飼い猫だったと思われる。

保護直後の名前はシマ。
後にフクに改名。

2018年9月4日火曜未明 没。

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2.フクの持病と闘病歴

FIV陽性。
腎臓病。
黄疸。
貧血。
心雑音。
疥癬(かいせん)。
口腔内や喉全体に重度の口内炎。
歯周病で上あごから鼻腔にかけて穴が貫通。
歯肉炎で歯と歯ぐきの一部が溶解。

保護当初は自力で食事ができず、経鼻カテーテル(鼻チューブ)を使用。(一ヶ月弱)
治療により黄疸、心雑音、疥癬は治癒。

2018年1月
年初より食欲が低下。
シリンジによる補助的な強制給餌開始。

2018年4月
口内炎の悪化で口からの食事が難しくなり、ほぼ強制給餌のみに。

2018年6月
食道カテーテル(食道チューブ)を設置。
嘔吐でチューブを吐き出すトラブルが頻発。

胃腸過敏が判明し、麻酔への過剰反応も懸念されたため、麻酔なしでできる経鼻カテーテルへ変更。
吐き気止めも最大限に使用していくことになる。

チューブ設置後も難治性口内炎に悩まされ続けるが、ステロイドとインターベリーα、きえーるなどで維持。
特に経鼻カテーテルにして以降は口内炎も快方に向かう。

2018年7月
腎機能、肝機能、貧血などの悪化が判明。
吐き気で寝たきりに近い生活になり、ゆるやかに筋力と体重低下。
同時に気圧変動による呼吸困難も始まり、体力を消耗していく。

2018年9月3日
気圧変動による脳神経の異常と思しき症状により凶暴化。
少量の鎮静剤を使用する。

2018年9月4日未明
鎮静から覚めないまま息を引き取る。

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3.フクの晩年の治療内容


皮下点滴を毎日。
 1回250ml

体重測定を1日1回。

体温測定を1日2回。

胃薬・整腸剤を1日2回。
 →プロナミド(胃腸機能改善)、ガスター(胃酸抑制)、ウルソ(肝・胆・消化機能改善)、プリンペラン(消化器機能異常改善)、ビオフェルミン(整腸剤)

リン等吸着剤を1日2回。
 →カリナールコンボ

活性炭製剤を1日2回。
 →ネフガード顆粒、レスキューカーボン

制吐剤を1日1回。
 →セレニア

ステロイドを1日1回。
 口内炎などの炎症改善と、カルシウム値の抑制

降圧剤を1日1回。
 →フォルテコール

緩下剤を1日3回。
 →ピアーレ

使用サプリメント※
 →乳酸菌(JIN)、食物繊維(イージーファイバー少量)、鉄系栄養剤(FCVリキッドごく少量)、シャンピニオンエキス(美ちょう寿少量)

※サプリメントは胃腸過敏への負担を考え、乳酸菌以外は基本的に全面禁止されていましたが、吐き気がほぼおさまってきた後半、ごく少量から試験的に再開し始めていました。

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4.9月1日(土)曇のち雨【31.5℃/24℃】

※おしっこの回数は1日10回以上にもなるため、記録は省きました。


9:00 体温・体重測定、注入 38.9度でやや微熱。
 体重は4.41kgでほぼ維持。

 少し呼吸は速い印象だが、特別苦しそうな様子はない。
 いつもと同じ朝。


9:30 薬、緩下剤、カリナールコンボ、乳酸菌、k/dペーストを注入

 薬はプロナミド、ガスター、ウルソ、プリンペラン、ステロイド、フォルテコール。
 緩下剤(ピアーレ)0.55ml。
 k/dペースト25ml、水28ml注入。

 吐き気などの異変はなし。


11:00 活性炭(ネフガード)、k/dペーストを注入

 k/dペースト25ml、水25mlを注入。

 吐き気などの異変はなし。



13:30 薬、緩下剤、乳酸菌、k/dペーストを注入

 薬はセレニアのみ。
 緩下剤0.55ml。
 k/dペースト25ml、水25mlを注入。

 吐き気などの異変はなし。


17:00 薬、緩下剤、コンボ、乳酸菌、k/dペーストを注入

 薬はプロナミド、ガスター、ウルソ、プリンペラン。
 緩下剤0.55ml。
 k/dペースト25ml、水28mlを注入。

 吐き気などの異変はなし。



18:00 トイレでゆるゆるウンチ


19:30 k/dペースト、活性炭(レスキューカーボン)を注入

 k/dペースト25ml、水25mlを注入。

 吐き気などの異変はなし。



22:30 皮下点滴と体温測定

 38.9度でやや微熱。
 皮下点滴は250ml。

 夜までの間に、特に大きな異変は感じられず。


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5. 9月2日(日)曇のち雨【24℃/21℃】

台風が接近中のため、体調への影響を心配する。


7:30 体温・体重測定
 38.8度でやや微熱。
 体重は4.42kgでほぼ維持。


9:00 薬、緩下剤、カリナールコンボ、乳酸菌、k/dペーストを注入

 薬はプロナミド、ガスター、ウルソ、プリンペラン、ステロイド、フォルテコール。
 緩下剤0.55ml。
 k/dペースト25ml、水28mlを注入。



9:30 少しずつ気がたってくる



11:00 活性炭(ネフガード)、k/dペーストを注入

 k/dペースト25ml、水25mlを注入。


13:30 薬、緩下剤、乳酸菌、k/dペーストを注入

 薬はセレニアのみ。
 緩下剤0.55ml。
 k/dペースト25ml、水23mlを注入。


14:00 いただきものと記念撮影

 気分は落ち着いているようで、暴れることもなくすんなり撮影完了。
 負担がないよう撮影は3枚のみ。

 このときは目立つ悪化も見られず、写真を撮ってもいやがるそぶりはなかった。
 「フクのために」といただいた物だったので、お礼のメールとともに送ろうと撮影をしたもの。
 結局このあと急変し、写真を送ることはできなくなってしまった。




15:30 乳酸菌、k/dペーストを注入

 緩下剤0.55ml。
 k/dペースト25ml、水31mlを注入。


16:00 トイレでおしっこをしたときに胃の中のものを全て嘔吐

 これぐらいの頃より明らかな異変を感じ始める。
 注意しながら、観察と症状の記録を開始する。(病院で説明するため)


17:00 よだれがふえ、呼吸がはやくなってくる

 容態の悪化とともに、ふたたび常時不機嫌状態へ。


17:30 薬、緩下剤、コンボ、乳酸菌、k/dペーストを注入

 薬はプロナミド、ガスター、ウルソ、プリンペラン。
 緩下剤0.55ml。
 k/dペースト25ml、水25mlを注入。

 吐き気がみられなかったため、注入は続行へ。


18:00 体温測定
 38.5度でほぼ平熱。
 (脇の下で測定し数値を補正)


19:00 トイレでゆるゆるウンチ


22:00 開口呼吸の開始を確認

呼吸がさらに荒くなり、苦しそうな様子になってくる。
よだれが流れ出し、止まらなくなる。


23:30 活性炭(レスキューカーボン)を注入、皮下点滴

 皮下点滴は250ml。
 活性炭だけは注入したものの、気がたっていて追加の水を注入できず。
 そのため炭がチューブ部分に留まっており、この時点では完全に胃まで入っていない。

 開口呼吸はおさまる気配なし。
 明らかな悪化を感じ、翌朝病院へつれていくことを決める。
 酸素ハウスのレンタルも決めた。

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⇒ 以下、「保護猫フク・闘病最後の三日間【2】へ続きます。
(近日公開)


フクのこれまでの闘病や、ほかの猫たちの様子にも興味をもたれた方は、ぜひこちらのブログもご覧になってください。
https://blog.kcat.work/



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