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UX的なプロジェクトでUXデザイナーにしかできないこと

UXデザイナーなどと名乗っていると、一緒に仕事をする事業側の方から「手に職があるっていいですね」と言われることが良くあります。機能組織のUXデザイナーってそういうふうに見えることもあるようです。

でも、UXデザイナーの手に職とはいったい?

ここではこの問いに答えることを試みます。私の身の回りのプロジェクトをベースに考えているので一般論ではありませんが、参考になればと思います。

先に言ってしまうと、私は以下リストのほとんどを業務として担当しています。このエントリを書いていくうちに私がやるべきこととやらなくてもよいものに気づくことができたので感謝しています。

それでは見てみましょう

UX的なプロジェクトてUXデザイナーにしかできないこと
・プロジェクトを起案すること
・プロジェクトのプロセスを設計すること
・課題を分析すること
・ユーザーリサーチをすること
・解決策を検討してプロダクトに落とし込むこと
・制作開発ディレクションをすること

プロジェクトを起案すること

結論:別にUXデザイナーでなくても良い

私は事業会社の機能組織に勤めています。そのせいか、お仕事は自分でつくらないといけないことがよくあります。担当事業プロダクトの課題設定をして打ち手と成長のロードマップを書く。その実行のための予算を取りに行く。

このお仕事は、別にUXデザイナーである必要はありません。私がこの手の業務をする時は、UXデザイナーではない別の人格でこなします。

プロジェクトのプロセスを設計すること

結論:UXデザイナーがやるべき

起案のうち、特に私に求めれているのはここの部分であることに最近気が付きました。どのように既存プロダクトの課題を抉り出すのか。

ユーザーや事業の要望ベースで改善してしまい、全体の使い勝手が考慮されていない。なんていうのはどこにでも転がっている話です。このような改善を私はパッチワークと呼んでいます。

このようなやり方を変えて、本質的に良いプロダクトにする。その結果として事業指標もアップリフトする。そのために歩むべき道は、UXデザイナーの方が描きやすいでしょう。

ただここで気をつけないといけないのは、そのための型はある程度世間に転がっているということと、ちゃんと事業指標も改善できる気配のある分析ステップを踏まないといけない、ということです。

ここでの私は、過去事例も含めどういうプロセスがありうるのか。そのうち目の前のプロダクトやプロジェクトの状況にフィットする手法は何か。これらをまさにUXデザイナーとしてプランしています。

ただ、それがデザイナーのエゴになっていないか?つまりそのやり方で事業成長も果たすことができるか?この点も厳しく自問しています。

課題を分析すること

結論:UXデザイナーが周囲を巻き込んでやるべき

ここがいちばん泥臭いところです。問い合わせを読み込んだり関係者ヒアリングをしたりログ分析をしたりユーザーのジャーニーを可視化したり。あれもこれもそれも。

UXデザイナーだけでは物量的に難しいので、是非関係者の力を借りましょう。というか、ここでいかに関係者を巻き込むか?が今後の流れをスムーズにするポイントになります。

デザイナーだけでなく、事業商品企画サポートチーム、いろんな人の知恵を借りて乗り越えましょう。

ここでの私はプロダクトとユーザーに向き合うUXデザイナーとしての顔と、いろんな関係者を繋ぎ合わせるハブの役割を存分にこなします。

ユーザーリサーチをすること

結論:UXデザイナーがやるべき(リサーチャーと一緒に)

真骨頂はここです。こここそ、です。リサーチは外部会社に委託することもできますが、できるだけUXデザイナーがユーザーに向き合う必要があります。

ログや事業の人の想いや問い合わせのテキストデータや、これらのものは、ユーザーに実際に合うときのための助走にすぎません。

ここで思う存分ユーザーの話を聞き、観察し、共感と想像を膨らませて、ユーザーの人生を覗き込みます。ハッキリいってしんどいですが、ここでの見聞を後のフェーズの熱量に変換できるのは、実際にユーザーに向き合った人だけです。

解決策を検討して、プロダクトに落とし込むこと

結論:UXデザイナーがやるべき

このフェーズはUXデザイナー、というかユーザーに向き合った人が主導すべきです。「あの人のこの課題を解決したい!」この熱量がこれまでのプロダクトを変えて前に進める施策に変わります。

もちろん、どの施策を実行するか?を全力で幅出ししてフラットに評価して選択する鉄の意思が必要です。開発や事業観点を俯瞰して制約を洗い出すことも必要です。

そして、どのようなカタチでプロダクトに反映するか?のUIやインタラクションデザインの要素を必要とされます。それゆえ、UXデザイナーには多様なスキルが要求されますが、大事なのはユーザーに向き合っているかどうか?です。

制作や開発のディレクションをすること

結論:UXデザイナーでなくてもよい

協働するデザイナーやエンジニアに、プロダクトを変えるアイデアを伝え、具体を作るフェーズ。ここは別にUXデザイナーではなくても良いかなーと思います。

ただ、自分のアイデアがまさに動くものとして実現されるフェーズですし、プロダクトの現場はまるでお祭りのようで楽しい。ここが好きな人もたくさんいると思います。

このフェーズもガッチリ関与するのか、それともその時間を別のことに充てるのか(例えば別の課題をしたり、ユーザーにもっと会いに行ったり)ここは個人の好みや組織要請などにも依るでしょう。

ちなみに私の場合は複数のサービスを担当しているので、自然とこのフェーズへの関与は低くなります。

さいごに

ざっと私のお仕事の全体感を書いてみたのですが、長くなりました。あと書き出してからの時間も長くなってしまったので、本当に書きたかったことは違ったかもしれないです。

今後の「この仕事、自分でやるべき?」「誰と協力すべき?」などの判断の指針にするぐらいは出来そうなので、運用してみてのフィードバックとか変更点とか出てきたら、また書きます。

追記;Noteで #私の仕事 企画が始まったので乗っかってみる。ちなみに仕事の棚卸しエントリはまた別途書こうと思っているので、そちらでも。

扉絵写真:photo credit: Daniel Kulinski Done and not done via photopin (license)

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