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ペルソナとターゲットを上手いことやって進化の余地を創り出す

マーケットに届けたいターゲットと、プロダクトを届けたいペルソナを上手くズラすことでプロダクトに進化の余地を残す話

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ペルソナとターゲットの違いとその違いが産み出す齟齬

ペルソナという概念が普及してきて、いろんな人がこの言葉を使うようになりました。UXに携わる身としてはありがたい話です。

ただ、最近UXのようなプロダクトに関わる人のいうペルソナと、営業やマーケターの人がいうそれとは少し違うことや、それによりボタンの掛け違いが起きています。その2つを分かりやすく説明しているのがこちらのエントリ。

これまで自分もこの2つをうまく説明できずモヤモヤしていたのですが、このエントリはそのお悩みをズバッと解決してくれています。詳しくは上記を参照していただくとして、自分はこれを「売るためには面が重要、創るには点が重要」と理解しました。

さて、この面(ターゲット)と点(ペルソナ)、どんな位置(?)関係にすれば良いでしょうか?というのが次の疑問です。

ペルソナとターゲットの位置関係は?

論理的に考えるとターゲットの中の1モデルがペルソナであるべき、となります。見込み顧客のゾーンがあり、その中の1人(っぽい人)目指してプロダクトを開発する。実際そちらの方が売りやすく作りやすくペルソナとしてのROI良好。かつチームとして同じものを目指せてプロセスとして自然なので、こちらをチョイスしてしまいそうです。

しかし、上記エントリの中でひっかかった点があります。

以前、日産自動車が新しいスカイラインを出したときに、「年収いくらで〜」とその車に乗る人の“像”を発表して炎上したことがあります。「そんな人はごく少数しかいない。市場がない」という批判が主でした。しかしそれは“ペルソナ”であって、そうした“像”に憧れる、気分を纏いたい人たちが“ターゲット”なのだと考えれば、(略)

ターゲットとペルソナはズラしても良い可能性があります。ということは、ズラしたほうが良いケースもあるかもしれません。ここでターゲットとペルソナについて整理してみます。

ターゲット:売りたい相手。なのでマーケットに実在するセグメント。ここに響きやすくすると売りやすくなる。マーケットには競合もいる場合、激しい削り合い(セグメントの面取り合戦)になる。そうなるとますますプロダクトはターゲットに響きやすいものが求められる。

ペルソナ:プロダクトを届けたい相手。マーケットに実在しないモデル。この人のために創るという的(まと)。メンタルモデルやその人のありたい姿など見えない部分まで設計する。あと誤解されがちだけど、ペルソナは「このペルソナ以外を無視する」というわけではない。この人のために作れば他の人も使いやすくなるハズ、という前提

売りたい相手に寄せすぎてしまうと、既存の課題しか見つからず、特性のセグメントが共通して抱える課題なんてわずか(もしくは抽象度が高すぎる)なため、競合優位にはなりにくい可能性があります。売りたい対象に合わせているので集客や営業はしやすいでしょう。

しかし競合も存在するレッドオーシャンの中で競合との差分を埋めるために必死になったり、価格競争に陥ってしまったり、多種多様な要望に埋もれてしまったり。組織に体力があれば良いのですが、そうでない場合は勝ち切ることは難しそうです。

ペルソナはターゲットと半歩ズラすと良さそう

そこでペルソナはターゲットと半歩ズラした(進んでいる)ユーザーをモデル化すると良いのではないでしょうか。そうすることでプロダクトがターゲットの潜在的な課題に切り込めたり、ターゲットの意識を変容させて一歩進化させたり。そういうのって「プロダクトがマーケットを進化させる」とも言えるかもしれません。ワクワクしますね(その分難易度も高そうですが)

ターゲット=ペルソナはユーザーへの伴走感はありますが、ユーザーの今の課題にアプローチする方法であり体力が必要。半歩ズラすと今は見えない(もしくは未来の)課題にアプローチできプロダクトの進化の余地を残せます。その余地自体がユーザーやマーケットも一歩進めることになります。

ではその半歩ズラしたプロダクトをマーケットに届けるためには?そもそもそんな半歩ズラしたペルソナを発案するには?売りたいものと創りたいものが違うという論理的飛躍をチームとして許容できるか?などいろいろ高難易度なポイントはありそうです。

しかし、プロダクトにブレイクスルーを求めるのであればペルソナ設定する前に一考する価値はありそうです。

Photo by Artur Matosyan on Unsplash

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