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朝ドラを観ていたら、4年前まで働いていた美容室のことを思い出した。

焦っちゃ駄目よ。自分の個性みたいなものはね いつか必ず見つかるから。続けていれば。

でも 続けることが一番大変なんだけどね。

【連続テレビ小説】ブギウギ 第3週「桃色争議や!」(11)
主人公スズ子に声をかける大先輩大和(やまと)の台詞

最近追いつきましたが、みなさんは観ていますか、朝の連続テレビ小説『ブギウギ』!

ご存じの方も多いですが、「朝ドラ」は月曜日から金曜日の朝15分間、半年間放映されるNHKのテレビドラマ。

実在した著名な人物、作品をモチーフに描かれた物語は、1週ごとにテーマがあり、様々な人間模様が見られ、主人公の幼少期から晩年までを追う壮大な作品。

携わっている方々の忍耐力たるや、いかがなものなのだろうか。俳優さんたちは役を演じているとどんな気持ちになっていくのだろうか。そんなことを妄想することも含めて、長期間撮影をしているドラマが楽しくてしょうがない。(もちろん題材の好みはありますよ)

ああ、ついドラマ愛が溢れてしまいましたが、わたしが今回話したかったのは、冒頭の台詞を聞いて思い出した「続けることの難しさ」、そして「気づかないうちに続いていること」について

ダンスが上手くなりたくて懸命に練習に励むスズ子や大ベテランだけど努力を続ける大和を観て、あの頃のわたしを思い出し感傷に浸る肌寒い秋の夜なのでした。


続けられないのはかっこ悪いのかな

小学生の頃、興味のあることは基本的に何でも挑戦させてもらえる環境にあり、習字、スイミング、ピアノの教室に通っていました。どれも同級生に影響されはじめたのだけど、どれも続けたのは3年ぐらい。

親は毎回辞め時をわたしに決めさせてくれましたし、辞めることに対して「ああ、そう」という感じでとくだん責めたりはしませんでした。申し訳ないなと思いつつ、その反応に救われていました。

中学に進むと軟式テニス、高校では吹奏楽、大学ではダンスやバスケ(マネージャー)の世界に。「好奇心旺盛」と言えば聞こえはいいですが、「熱しやすく冷めやすい」とも言いますよね。あともう少し続けていたら、もっとうまくなっただろうなと負け惜しみを言う器用貧乏人間です。

「やってみたい」を叶えて、ある程度できるようになると別の世界も見たくなる。自分自身そういう性分だと認めていたし、なんなら「なんでもチャレンジしてすごいね」と周りから言われたりして、誇らしい気持ちにもなっていました。

そんな好奇心旺盛な自分が嫌いになったのは、大学を卒業し就職したとき。

わたしは縁あって美容室を経営する会社に入社し、お店の受付で接客をしたり、ヘアケア製品の販売促進などに携わっていました。大学で学んだこととは全く関係のない、そして当時の自分が一番無頓着であった美容という世界を選んだ理由の一つは、そこが「未知の世界」だったからというのは大いにあるかもしれません。

しかし、美容業界は圧倒的に「継続は力なり」の世界でした。技術職の同期達は、早朝から夜遅くまで技術を磨く日々。日を追うごとに目に見えて成長し、お客様の施術に携わる機会が増えていきました。

そんな世界を毎日のように見ていたら、これまでわたしがやってきたことで何か身についたことはあったのだろうか、という虚無感に襲われました。

「今までの自分ではだめだ。これからはひとつの世界にどっぷり浸かることが必要だ。この仕事を続けていくためにわたしも何か技術を習得しなくては」と躍起になり、自社の着付けのレッスンに通いはじめたり、仕事の傍らメイクの専門学校に通ったり、とにかく何かを身に着けるために必死になりました。

わたしも周りのみんなに役に立てる技術がほしい。そうすることで自分の存在の価値や意味を見出したい。この苦しい状況を考える暇もないほど、何かに打ち込みたいという思いで色々と行動を起こしました。

振り返るといつの間にか身についているものもある

みーたんは、いてくれるだけでいいんだよ。あなたのその役割に、救われてる人はたくさんいるんだよ。

先輩からの手紙

入社3年目。そんなもやもやを感じ取っていたのか、退社を控え次のステージに進む先輩が、手紙越しにあたたかい言葉をかけてくれました。何度も何度も読んで、読む度に目頭が熱くなりました。そのくらい追い込まれていたし、ふいにこの手紙を読んでも、当時のことをありありと思い出します。

基本的にわたしの仕事は売り上げを生み出せないので、実のところ技術職の人たちに引け目を感じていました。あんなに頑張ってお客様と対面して働いている人たちと同じように、お給料をもらう資格がわたしにはあるのだろうかと。

美容業というのは、接客業の中でも特に様々な力が必要で、本当にやり甲斐のある奥深い世界ですが、この業界で続けていくことはずっとずっと大変なことだと思います。

美容室の話で言うと、まず技術を身に着けることにとても時間がかかります。新人の頃は練習に明け暮れて睡眠時間も少ないし、薬剤で手荒れしたり、先輩と上手くいかなかったり、まだお給料も少なかったり。自分でお客様の担当ができるまでに、辞めてしまう人も少なくありません。

練習だけではありません。通常の営業では、幅広い年齢層のお客様たちとのコミュニケーションはもちろん、常にフロアがどういう状態にあるか把握する力も必要になります。技術だけでなく言葉遣いや心配りも本当に大切で、心身ともにエネルギーを使う仕事です。

この舞台で働く人たちは、本当に強くてかっこいいです。お客様の前では嫌な顔はしない、という努力がすごい。常にお客様のことが一番に考えて動き、まるで舞台俳優のよう。だからこそ舞台袖にはけると、落ち込むし、愚痴るし、怒ってしまう。

そんな舞台袖にいるわたしは、自分ができることはなんだろうとずっと探していました。足りないものを補おうと俯瞰し、お店がスムーズに回るように段取りを考える。すると、スタッフの感情の波やお客様の施術状況を把握できるようになり、技術面以外のフォローはほとんどできるようになっていきました。

気づかないうちに、これがわたしの仕事になっていたのです。

言語化するのは結構難しいけど、技術がなくても役に立てる仕事がありました。「いてくれるだけでいい」だなんて恐れ多いけど、この仕事があるから働きやすくなる人もいるなら、と自分を認めることができるようになり、肩の力を抜いて仕事ができるようになりました。

「続けられない」からこそ新しいことに挑戦できる

美容業は新卒から5年半従事し、とにかくたくさんのお客様やスタッフたちと一緒に過ごしてきたと思います。濃いエピソードがありすぎて、それだけでビールが何杯でも飲めます。

そんなわたしの現在の仕事は不動産仲介業。またもや異業種じゃん!と言われてしまいそうですが、こちらも巡り巡って辿り着いたところです。(こちらも近いうちに話したいですね。)

なぜこんなにも色々な分野に挑戦できるのか考えてみました。

出た答えは、「続けてきたことをやめる勇気」と「再び新しいことをはじめる勇気」があるからかな?と。

続けていける人は本当にすごい。だけど、続けられない自分のことは今は嫌いじゃない。むしろ「続けられない」を続けている自分はすごい。

そして、一度区切りをつけたことでも、ふとした瞬間に役に立つときが来るんです。不思議なんですよね、これが。

きっと、ちゃんとはじめて、ちゃんと終われたら、またどこかで巡り合えるんです。

続けるのも、はじめるのも、同じくらい難しいはず!だったらわたしは「『はじめる』を続ける人」になりたいと思います。

次は何をはじめようかな。そろそろやりたいことリスト2024年バージョンを作ったりしようかな。一緒に何かやりませんか?

はじめようとすると、誰かに声をかけたくなりますよね。

まあ、声をかけることも勇気いるんですけどね。

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