ゆるい設備屋さんのIoT事例#0

はじめまして、フルヤ マモルです。
自動車業界で生産技術の仕事をしています。
肩書きとして「IoT推進リーダー」という役職が付いています。

IoT推進と言うからには、国を跨いだグローバルなシステムを構築し、各工場の稼働情報をリアルタイムの監視、勿論製品はトレーサビリティ管理されて出荷日と材料、作業者等の情報が紐づいて云々かんぬん…
と、偉い人達は仰りますが、そんなんいる?というスタンスでやってます。

勿論推進リーダーですから、展示会には積極的に参加しています。
で、「どのようなソリューションをお探しですか?」「そのような事例にはこのソリューションがですね!」とソリューションって言いたいだけの人達ばかりの上、目玉が飛び出る程高額なシステムを紹介されます。

後日、「部長!我が社のソリューションを解決する為のベストプラクティスを見つけました!500万円なんで稟議書に判子押して下さい!」って報告すると「高い!却下!」って言われるんですよね。推進リーダーって何?

実際、色んな人の話を聞くと「IoTは高い」「難しいシステムが必要でメンテナンスが大変そう」という意見をよく聞きます。
でも、僕はそんなに難しい物じゃないからもっと気楽にやればいいと思うのです。
前置きが長くなりましたが、僕が実際に作ったシステムを例に、ゆるくIoTの事例を紹介していきたいと思います。

システムの目的
遠隔地(工場)で稼働する自動機の稼働実績を日報形式にして一日一回、関係者に配信する
システム要件
・自動機は現在15台稼働、3台/年のペースで増設予定
・自動機は全て違う製品の組立/検査を行う
・自動機の内部では日報データ準備済み(一台あたり約1500点)
・工場と事務所はVPNで接続が可能

どうでしょうか?難しいでしょうか?
ネックは一台あたり約1500点と取得データが多い事と、拡張性を持たせないといけないところでしょうか。
ちなみに、システム構築の見積もりを取ってみると200~800万円ぐらいでした。
そんな予算無いので、次のようなシステムを自作しました。

構築したシステム
①監視用に(余っていた)PCを一台設置し、VPNで遠隔操作可能にした
②自動機とPCをハブで繋いだ
③PCから自動機のシーケンサから内部データを抜き出すバッチを作った
④抜き出した内部データを日報に加工するVBAを作った
⑤作成した日報をメール配信するVBAを作った
結果
・タイマーを設定すれば好きな時間に日報を配信出来るようになった
・遠隔操作PCを設置したので自動機のメンテナンスが遠隔で可能になった
かかったコスト
①監視用PC…余っていたPCなので0円
②ハブ…これも余っていたので0円
 シーケンサ用のLAN増設ユニット…約3万円/自動機×15自動機=45万円
③バッチ作成工賃…0.5時間×2,000円/時間=1,000円
④日報加工VBA作成工賃…8時間×2,000円/時間=16,000円
⑤メール配信VBA作成工賃…1時間×2000円/時間=2,000円
合計:46万9,000円

LAN増設ユニットが高いんじゃぁ…
LANに繋げないとそもそもIoTじゃないので仕方ないですけどね。
システム構築費用としては実質2万円ぐらいです。
今回はVPNの仕組みがあったので、ついでに遠隔操作可能にしときました。
(※勝手にやるとシステム管理部に怒られるので許可は取りましょう)

このシステムは上司にも好評だったのですが、IoTの部分が何処かと言うと....
③バッチ作成工賃…0.5時間×2,000円/時間=1,000円
⑤メール配信VBA作成工賃…1時間×2000円/時間=2,000円
この3,000円がIoTの分です。

ちなみに、今回作ったバッチはこれです。
メモ帳で保存した後、ファイル名の最後を.batに変えたら完成です。

Cd C:\稼働情報 '保存場所
Open 192.168.0.1 'シーケンサのIPアドレス
KV 'デフォルトのユーザー名
0000 'デフォルトのパスワード
Cd DEVICE 'PLC内のDEVICEフォルダへ移動
Get DM0_9999.CSV '取得したいデータが入ったファイル名
Close
Bye

※このバッチはキーエンス製PLC専用です。
 他社のシーケンサだとどうなるかは...親切な方教えてください。

あとはVBAが少し出来る人にサクッと帳票加工とメール配信のマクロを作ってもらえば終わりです。
ただし、上記バッチで取り出したシーケンサの内部データは、全て「10進数」に変換されているので、少し加工が必要です。
その辺りは別の記事にて解説します。

大分ザックリでしたが、「IoTって結構簡単なんだな」「自分もやってみよう」と思っていただければ嬉しいです。
今回作ったシステムの詳細は、需要がありそうなら細かく解説していきますので、気軽にお声がけください。
読んでいただいてありがとうございました。

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