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雨の匂いに包まれて

正直、外に出る気分じゃなかった。
曇天だし…何となく朝からスッキリしない。

でもこのままウチに居たら、ますます沈んでしまいそう。
お気に入りの場所を占領されているせいか、携帯ゲームに没頭する夫の姿に気持ちが…萎む。

よくある休日の光景なのに、今日は何となく居心地が悪い。
冷蔵庫の中も充実してないし、何か調達してくるにはちょうどいいかも…

仕方ない。
外に出よう。

「ねぇ〜天満宮に行ってみない?」


期待するような返事が返ってくるとは思ってなかった。
ちょっと戸惑った様子だったが、夫の反応は悪くない。

洗濯機の合図も聞き逃さず、
頼んだわけでもないのに
化粧をしている間にキッチンの洗い物まで済ませておいてくれた。
外出前のルーティンが無事完了。


相変わらず雲は厚い。
雨粒がいつ降ってきてもおかしくない空模様。
にもかかわらず、気持ちの赴くまま行動できることが、段々ご機嫌へと導いてくれる。
晴雨兼用の傘を持って助手席へ。

目的地まで渋滞覚悟で臨んだのに
拍子抜けするくらいスムーズ。


数年ぶりに訪れた参道には、観光客が溢れ、人気の店には列をなしていた。
それを横目にスイスイ抜けていくと…


出迎えてくれたのは色鮮やかな花手水。


見事な花手水紫陽花


子どもたちの受験祈願に必ず訪れていた場所だが、この時期に夫と二人で来るのは初めて。
期間限定の花手水にもお目にかかれて気分は最高に晴れやか。


御本殿の改修工事で仮殿の姿が目の前に現れた瞬間、ここは…
と、言葉を失った。
違う空間に来たような錯覚。
観光客の波の向こうに広がる仮殿がとても新鮮だ。


森を載せた仮殿



天満宮の奥にある稲荷神社にも足を運ぶことに…

と、その前にお石茶屋でひと休み。


お抹茶と梅ヶ枝餅のセット



この場所で、子どもたちと焼きたての梅ヶ枝餅をいただいた記憶が蘇る。




おそらくこの瞬間も、懐かしく振り返る日が来るのだろう。
空は何となくスッキリしないが、それを上手い具合に木々の緑が囲う。
差し色には鮮やかな紫陽花。



奥の院でパワーをいただき、ヒンヤリした空気に包まれながら、来た道とは違う道を歩く。
途中、パラパラと雨が落ちてきたが、傘をさすほどでもなく、むしろ直接雨を感じる方が心地良かった。
降ったり止んだり…まるでリズムを刻んでいるよう。


国内外からの観光客に混じり、活気が戻った風景に一瞬でも溶け込めて良かった…
夫もおそらく同じ事を思ったのだろう。


「来て良かったな…。」


ハンドルを握りながら夫がつぶやく。


こんな日のお出かけも悪くない。
きっと紫陽花と雨の匂いが、しっくりきたからだろう。





ここまで読んでいただき、ありがとうございます😊











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