ダイスゲーム分類事始め

 この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2018、12/19(水)の記事として作成しています。前日はPower 9 Games主催であり、Power 9 radioパーソナリティ、ナインさん(@power_nine )の【アナログゲームデザインについてのノウハウ断片「かもしれない」】でした。

 こんにちは、ダイスだいすきマーチヘアゲームスの中村です。これまでに「DICE WIDE SHUT」「地獄Queue部」「ダイ公望」といったダイスゲームをゲームマーケットにて製作・販売してまいりました。
「DICE WIDE SHUT」「地獄Queue部」はイエローサブマリン様、ロール&ロールステーション様にて委託販売中、商業出版された「ダイ公望」はすごろくや様にて販売中です。(自己紹介と宣伝は以上です!)

本日のお題は「ダイスゲーム分類事始め」です。

 ダイスゲームを好んで作っておりますので、常々ダイスゲームのシステムに興味関心を持っています。双六からワーカープレイスメントまで、十把一絡げに「ダイスゲーム」と呼称されますが、もう少し細かい階層があってもいいのでは、というのが本稿を書き表わそうと思ったきっかけです。同人とはいえボードゲームを作っていながら、ぼんやりとしか差異を捉えておらず、明確化していないことに危機感を覚えたという面もあります。

 ただ、この分類は試みであり、結果としてはあまり上手くまとまっているとは思っていません。提起するようなこともなければ、結論も出てません。
そういった、結論の無い話がお嫌いな方、結論の無い話に親兄弟を殺されたという方、火の鳥にお前はこの先ずっと結論の無い話に生まれ変わるのです人間には生まれ変わりませんホホホホ!と宣言された方には閲覧をお勧めいたしません。

与太はさておき。この試みではシステム面、とくにプレイヤーの取りうる選択にダイスがどのようにかかわるのかという視点からダイスゲームを分類していきます。
この分類では、時系列の要素を無視しています。つまり発売(あるいは発明)された順序は考慮していません。

ではやっていきましょう。

まずは、これを「ダイスゲーム」と呼んでいいのかな?というものから。

・インジケーター
 ランダマイザーではなく、インジケーターとして、数字のみに意味を持たせているものです。

 「ビブリオス」の勝利点価値表示、近しい所では「テオティワカン」のようにワーカーとして使いつつも、そのワーカーのステータスを表示しているものなど。平たく言うと、ダイスは入ってるけど振らないものです。分類されるゲームはさほど多くなく、そもそもダイスゲームと呼ばれることはまれです。

一応、分類はしてみたものの「ダイスゲーム」と呼ぶのははばかられます。「ダイスゲーム」と呼んで差し支えないのは、次項からではないでしょうか。

・強さ比べ
 出目の値を比較して大きい/小さい方が勝つ、特定の目を多く出した方が勝つ、などとといった「判定」に使用します。

 BGGランキングで長らく上位に君臨し続ける「トワイライトストラグル」や、「RISK」「Star Wars: Rebellion」など。「T.I.M.E Stories」も、イベント判定にダイスを用いますね。ウォーゲームやTRPG、ゲームブックなどでもおなじみです。

 他のシステムがゲームの主体であり、ゲーム総体の中では、ダイスが占める要素は限定的であるという印象です。
・決定的な行動選択
 プレイヤーの取りうる行動をランダムに「決定」するものです。「双六」や「人生ゲーム」が卑近な例で、プレイヤーの意思反映範囲が一番狭いものです。というより、ほぼ無いので「決定的」と題しています。
(余談:人生ゲームで使うのはルーレットですが、実質10面体と同義ですので引き合いに出しました)

選択の余地が少なく、いわば決定論的なゲームとなり、内容は単調になりがちです。

システム全体からみると補助的な立ち位置であったり、ダイスを振った後にユーザーが選択する余地がないようなものです。ダイスゲームに分類するには違和感がある、という方もいらっしゃるかと思います。

プレイヤーに行動選択の幅を与えて「自身の意思で決定した」という楽しさと喜びを与えるものは、明確にダイスゲームと分類できるのではないでしょうか。そんな視点で分類した次項からは、「ダイスゲーム」と断言してもよさそうです。

・広い範囲の行動選択 -間接的な確率干渉-
 先述の通り、あまりに決定的すぎるとゲームとして面白みに欠けます。そこで、出目の範囲である程度の行動選択ができ、プレイヤーの意思決定がはっきりと介在するようになると、ゲームは途端に面白くなります。

 ゲームの核は双六ながら出目によるコマの移動に多彩な選択がある「バックギャモン」「勝利への道」。

 用紙のどこに記入していくかの選択と見極めが楽しい「Qwixx」「ローリングジャパン」、ダイス選択が他プレイヤーに大きく影響を及ぼしてドラマを生む「アンコール!/ Noch mal!」「ダイス・スター」などなど。

 出目はそのまま使って、ダイス以外の場所に選択肢を設けるゲームも多いです。出目により得られる利益を最適化出来るように、そして交渉が有利になるようにに行動(建築)を選択する「カタン」。ダイスをワーカーに見立て、生じるコストとにらめっこしながら有利な行動を選択する「マルコポーロの旅路」。働きバチダイスでマジョリティ確保と、早い者勝ちワーカープレイスメントのジレンマが苦しくも楽しい「Waggle dance」。

 実に多様なジャンルが属することがわかります。軽いものから重いものまで属するゲームが多いですが、共通するのは、「プレイヤーが取りうる選択肢をランダムに、一定の範囲内に狭める」「ダイス以外の部分で選択の幅を広げ、確率に干渉している」という点です。

 一般的にゲーム中に振れるダイスの量は、数個から、多くても数十個です。ということは必ず出目は偏ります。偏ったままでは先述した「決定的な行動選択」と差がありませんが、取りうる選択肢を出目によってある程度狭めつつ、ダイス以外の部分で選択肢を多く設けることで、偏る確率に干渉し一定の範囲で選択肢を付与、プレイヤーに選択の余地を与えることでゲームを奥深く、面白くしています。

ダイス以外の部分で行われる取捨選択の幅が比較的「広く」、確率への干渉という視点で「間接的」と表現しましたが、取捨選択がダイスに集中していて「狭く」、確率に対してより「直接的」にアプローチするものもあります。

・狭い範囲の行動選択 -直接的な確率干渉-
 先ほどの、偏るダイス目に対して周辺システムから間接的に干渉するものとは対照的に、ダイス目に直接干渉することで選択肢を増やす操作を行うものです。それはもう直接的に、ダイスを振りなおしたり、ダイスの目を変えたりします。

 どこまで役を成立させるか、あるいは引くのか、緊張感が楽しい「GREED」「ヤッツィー」「ヘックメック」。役を成立させるため、振りなおしだけでなく出目をプラス/マイナスしたり、出目の天地をひっくり返したりの操作で万能感が得られる「王への請願」とその続編「ファラオの寵愛」。
 振りなおして有利な行動をとりたいが、エピデミックのリスクが恐ろしくも楽しい協力ゲーム「パンデミック: 完全治療」などなど。

 ゲーム総体としては、ダイスがシステムの中核を担っていて、それ以外のシステムは補助的な位置づけにあります。
既存の分類ではPress your luck / Push your luck(あまり適切な日本語訳がないですが…「ばくち的運試し」のようなニュアンス)と呼ばれるものが多い印象です。


いかがでしたでしょうか。
いささか「広い範囲の行動決定」に属するゲームが多い印象です。

今回の裏テーマとして「BGGのカテゴライズから離れてカテゴリーを再構築する」というものがあったのですが、あまり成功しているとは言えません。
この分類に当てはまらないゲームがあったり、複数の分類にまたがるゲームも存在します。

完全に100%パーペキに言い訳ですが、タイトルに「事始め」といれたのはそれが理由です。ただ、考えの端緒になったのではないかなと思っています。
また機会があれば、どこかでこれをブラッシュアップしたいなと思います。

こんなことを考える契機を与えて頂いたカレー / I was gameさん ( @dbs_curry )に感謝いたします。(また握手させてください!)

 明日のBoard Game Design Advent Calendar 2018は、サークル テレフダ、ゐぬゐぬゑ(@inui_nue) ‏さんの「印刷で失敗した話―正体隠匿系カードを例に添えて」です。
製作に携わったことがある人ならあるあると首肯し、これからの人には参考になりそうなお話ですね。

それではメリー・クリスマス / よいお年を!

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