■はじめに

　こんにちは。花倉みだれです。
　就活的にも職歴にも汚点でしかなく、得るものが何もなかったと言ってもよく、できればトリミングする方向で詐称したくなる私の職務経歴にタクシードライバーというものがあります。

でも許してはくれないらしい……。嘘でっちあげるわけじゃないのに……。バイトってことにすればいいのか……？　それもやっぱり嘘だしなぁ……。（ソース：https://www.chibacari.com/career/useful/004544/）

　せめて少しでも誰かの役に立つ情報を提供できれば、この悲しい期間に何かしらの意味をもたせることができるのでは。
　そう思い立ち、色々書かせていただこうかなと考えています。
　特に、こういうタクシーを避けたほうが安全、ということであれば身近に活かしやすく、私が恥ずかしくて恥ずかしくて仕方のない業界特有のクソ体質の改善も遠巻きながら進むのでは……？　という欲望もあります。
　社会的意義がある業態・業界なわけで、よりよくお仕事してほしいものです。

　全面的にディスるのもあれなので一応、東京でまともだと思える会社もここで紹介することで相殺します。
・日本交通
・三和交通
　武三23区であれば前者、多摩地区であれば日本交通と提携もしている三和交通。
　もし迷うのであればこの2社が最もまともです。元同業としても、普通のユーザーとして乗り比べた肌感覚としても間違い有りません。
　何か問題があったとしても、素直にエコーカードなどで報告すれば組織的に対応をしてもらえると思います。比較的に、会社として機能しているのが外からも見えるというのが共通点です。
　なぜこの2社がまともだと思われるのか、についてはそのうち書きます。
（ちなみに私はこの2社出身ではありません）

　前置き長くなりました。まず最初は空港編です。

■空港で乗るタクシーはどれがいい？　結論

クレイジーなタクシーに乗ると命が危ないことをゲーマーであればよくご存知のはずです。

　最初に結論を申し上げます。

　命が惜しいのであれば、空港でタクシーに乗るのは避けましょう。

　空港につけているタクシードライバーにまともな人はまずいません。
　タクシードライバーの多くの人間の人間性がそもそも、多くの人が想像するであろう「ステレオタイプ的なろくでもないオッサン」よりも輪をかけて断然ろくでもない（全員とは言わないので、俺は違うぞ、という人がいたらあなたは例外ってことでいいです。私も例外でした）のですが、空港につけているドライバーはその中でも更にろくでもない人たちの吹き溜まりです。

まともなタクシードライバーが全くいない、というわけではありません。でもかなりレアです。画像は暴力団関係者であることを隠し、偽名を用いて身分詐称してタクシードライバーをしている鈴木太一さん（龍が如く5）

　荷物が重い、少しでも楽に移動したい。そういう気持ちはお察しします。
　でも少しでも元気があるのであれば、蒲田でも品川でも平和島でもどこでもいいので、とりあえず空港からは自力、ないし公共交通機関を利用しての脱出をおすすめします。同じお金を出すなら知り合いを召喚するほうが1000倍幸せになれると思います。

　ちなみに、私が想定しているのは主に羽田空港のお話です。羽田以外の現地については直接見たことはありませんが、成田や関空など都市型空港全般で大筋同じ理屈が成り立つのではと思います。地方空港は知りません。

■空港につけているドライバーはなぜろくでもないのか。

●前提①長距離運行の効率性の高さ

　利用者としてもお察しかと思いますが、タクシードライバーの賃金は各社微妙に異なるものの基本は歩合制です。
　そして悲しいことに、長距離営業数本と短距離営業数十本であれば、同じ時間働いたとしたら前者のほうが圧倒的に効率よく稼げます。
　色々な縛りや前提を抜きにドライバーの理屈だけで言うのであれば「長い距離乗る客だけ捕まえていたい」というのは偽り難い気持ちです。
　（だからといってお客様は遠慮する必要ないですし、お客様によって態度を変えることを実質容認している現存する多くのタクシー会社、及び所属ドライバーは最低だと思います）

例）短距離（駅→住宅間を繰り返し運行する場合）
　10分に1本電車が止まる駅を担当し、片道10分で総額1000円程度の住宅地に届けるのがルーチンだとすると、
　1時間に3回、1時間あたり3千円の売上があがることになります。
　これをこつこつ16時間愚直にこなせたとして、
　3*16=48営業、売上4万8千円です。
（実際の初乗りは1000円に満たず、コンスタントに営業できるわけではないのでこれよりかなり下になりますが、わかりやすくするために例示しています）

例）長距離（空港→地方都市等の場合）
　例えば羽田から立川や大宮まで運行するとして、1万円はくだらないです。
　時間も長くても１時間程度でしょう。
　それを5回繰り返すだけで売上5万円です。
　1/3の労力で、真面目にやっている人の売上を超えることができることがおわかりいただけるかと思います。

●前提②空港のタクシー待機列が非常に長いものであること

タクシーセンターが公開している羽田空港の待ち時間のサイト（http://www.tokyo-tc.or.jp/hnd/）メチャクチャ長いことはおわかりいただけるかと思います。

　空港のタクシー待機場はものすごく大きなスペースがあり、そこに壮絶に滞留したタクシーの吹き溜まりができます。
　待機場に到着してから順番を消化してお客様にたどり着くまで、3時間程度かかると考えていいです。
　この3時間の間ドライバーの皆さんが何をしているかと言えば、空車表示のまま外に出て（これは本来やってはならないことです。道歩いて見つけたらタクシーセンターなどに通報しましょう）、喫煙しながら近くのドライバーと雑談です。　

羽田の待機場は実際はもっとごちゃごちゃしてるので、画像はggって出てきたイメージです。羽田に限らずこういうドライバーはとてもとても多いものの、営業所や経営者目線では走らせてくれればよいというのが意識として大きく改善する気概はありません。同僚目線だとこれに付き合えない（お客様やマナーやルールと同僚で同僚を優先しない）と営業所ぐるみでイジメられることになります。

　そうしていない空港タクシードライバーの中で比較的意識の高い人であっても、ラジオをぼーっと聞いてるか、Youtubeを見ているかpornhubやXvideoやDMMを見ているか、そんなもんです。
　空港規模の待機列だと顔なじみとのエンカウント率もやや下がると思われるので、話題は間違いなくこんなものでしょう。

「俺がさっき乗せた客はワンメーターで糞だったぜまったく。空港でタクシー乗ってワンメーターとかふざけてんのか」
「俺は静岡まで行けたからラッキーだったぜ。へへっ」

●前提③武三23区がそもそも頑張れば普通に稼げる地域であること

ハイヤー・タクシー協会HPより（http://www.taxi-tokyo.or.jp/qa/role.html）

　これは本格的に羽田空港の話になりますが、羽田空港が入る営業圏は「武三23区交通圏」と呼ばれるエリアです。
　武蔵野市、三鷹市と東京23区を包括したエリアですね。

　東京はその他、「南多摩交通圏」「北多摩交通圏」「西多摩交通圏」の大きく4つ（正確には島しょも含めた5つ）の営業圏に分かれています。
　営業所があるエリアのみ営業でき、基本的に越境しての営業はできません。（例外は往復どちらかが営業圏内であること）
　立川や青梅、奥多摩や町田や八王子の営業所の車が羽田→品川間の営業をすることはできないということです。

　青梅・福生（西多摩）、八王子・町田（南多摩）、立川・府中（北多摩）と歌舞伎町（武三23区）について、それぞれ足を運んだ方はイメージしてみてください。
　言うまでもなく、タクシー利用者は武三23区が多く、ドライバーの手取り額も概ねこの「イメージした人口密度」と比例するものと考えてそう間違いはありません。

　各ドライバー、各営業所の月間営業成績については公開されているので暇なときに見たりしていたのですが、
　多摩地区のトップクラスの人が手取り換算で30万円以上程度、武三23区のトップクラスの人は60万円以上程度の収入であると思われます。

　更に、どちらかというと都会のほうがチップの文化も根強く、裕福な方も多いのでチップ収入も高いと思われます。

●前提をつなぎ合わせて浮かび上がる人物像は……！？

　この前提①②③を合わせて浮かび上がる人材像はというと
「頑張れば普通に稼げる環境にいながら、ギャンブルに全ツッパしてまともに仕事をしない上で人を金でしか判断せず文句ばかりつけるクソオヤジ」
です。
　フィクションも含めて、最もリアルに想像できるクソみたいなギャンブル狂、ないしガチャ廃人を思い浮かべてください。
　その人があなたを乗せて道を走ります。
　空港でタクシー乗るとはそういうことです。

　私がイメージする空港タクシードライバーはこれです。この瞬間のこの人達の車には乗りたくありません。（画像はマキバオーより）

　3時間自堕落に生きることで1回チャレンジできるガチャ。
　報酬は410円から青天井。
　排出キャラはリアルな人生を送る人間。
　まさしく「羽田ガチャ」です。
　意識一つで真面目に働けば普通のサラリーマンと遜色なく稼げる場所にいながら、こんな不確定なものに熱中するドライバー、
　それが空港タクシードライバーの実態です。
　私がタクシードライバーの中でも空港タクシードライバーがさらにろくでもない人たちだと断言するのはそういう事情からです。

　あなたが空港から短距離の客だとしたら、そのギャンブル狂が大ハマり、大爆死したときの原因があなたです。
　暗刻で持たれていた大三元に早い手順で振り込んだ時の三元牌、7図柄リーチで外れた時の6、初期から実装されている環境的に使い道のないクソレア、見るのも恥ずかしいクソダサアバター、ルーレットで黒に全ツッパした時の赤や0や00、ストレートで勝負したら相手がロイヤルストレートフラッシュだった時の手札、……なんでもいいですが、つまるところあなたそのものがそういう存在になります。
　そんな存在相手に真っ当な接客をする人は最初から羽田ガチャをしません。
　ドライバーの多さ、空港を使う人の種類の多さからリピーターなども期待できないことも雑な接客を後押しすることでしょう。
　あなたは「ハズレ」そのものなので、こういう時のギャンブル狂はもはや次のことに夢中です。視野は狭くなり、注意も雑になるでしょう。
　雑な接客で不愉快になったくらいで済めば幸運です。いち早く待機場に戻るための雑な運転は事故を誘発しかねません。
　乗り物酔いしやすい方であればそのリスクも通常の車よりはるかに高くなると思われます。
　繰り返しますが、命が惜しければ空港でタクシーには乗らないことです。

　あなたが長距離の客だとしたら、その人が猛烈に勝ちまくった時のメンタリティの車に乗ることになります。
　ご機嫌でサービスもたくさんしてくれるかもしれません。
　ただ、ギャンブルで勝ったときの人間は冷静ではありません。
　ギャンブルやガチャで大勝した瞬間の人が車を運転して、注意力を発揮し丁寧な安全運転を行ってくれるでしょうか。
　決してそうは思えませんね。事故のリスクは高いと考えて間違いないでしょう。
　安定したいい人ならいざしらず、あなたが利益をくれるから（チップまで視野に入れられているでしょう）と媚を売るような人です。
　対外的な視点で善悪やレイヤーに差のない人に対して、露骨に態度を変える人でろくな人はいません。
　そもそも、浮かれている人と一緒にいるのは結構落ち着かないものです。意外とよくあるのが、あなたを持ち上げるが故に短距離客を目の前でディスることです。あなただって短距離で乗ることはあるでしょうし、そもそも空車は寂しいので業界全体で言えば410円だろうが貴重なお客様です。電車なら新宿から高尾行ってお釣り来るような高額を安い安いと文句言うドライバーはさぞ浮世離れしていて腹立たしいことでしょう。同僚としても客としてもコレは本当に腹立ちます。
　なので意外と、メンタル的に不愉快になる可能性が高いと思います。安全も怪しい。
　繰り返しますが、命が惜しければ空港でタクシーには乗らないことです。

■最後に少しだけ前向きな話

　そういうわけで、基本的に空港にいるタクシードライバーはろくでもありません。ご利用なさらないことをおすすめします。
　原因は安全を担保しなければならないのに歩合制を採用している業界基準、
　ドライバー目線だとあまりに長距離が得すぎる料金体系。
　ろくでもない人でも採用しなければらならないような人材難、
　現状タクシードライバーはろくでもない人たちのセーフティネットとして機能してしまっている（他にあまりそういう仕事がない）という社会的な問題、
　武三23区は無料で駐車できるスペースが少ない（実質休憩所として使われている可能性がある）、
　日中と夜間で需給が全く異なるのに、ほぼ全ての企業で1ドライバーの勤務時間が朝～深夜まで20時間前後の拘束時間になっており日中が供給過多気味である構造問題、
　バブルの感覚が抜けないおじいちゃんたちが未だに現役で幅を利かせていること、
　空港の待機場のキャパが広すぎるのに何の規制もないことなどなど、

　軽く想像するだけででも意外と一言では語りつくせない事情が背景にあります。

　さすがに、タクシー会社がこの問題を知らないというのは嘘です。
　本来であれば今頃オリンピックでしたし、来年の今頃開催されている可能性もあります。
　国によってはタクシーのクオリティや地位は高いもので、玄関口でこの水準の人達がファーストコンタクトになりかねないと、その落差で日本そのものの悪い思い出となりかねません。（余談ですが、他の国のタクシーに乗って感動することは非常に多いです。ボッタクリ気質などよりひどい国もあり、殊更日本を悪く言う気もないですが……）
　ユニバーサルデザインの導入、初乗り料金の値下げなどハード面の調整も大変よろしいですが、
　ソフト面で、国内の元同業から潜在的なお客様に対して「絶対使うな」などと言わせないような体質改善を内側から行うことを少しだけ期待したいところです。