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新たな思いをもって「1日1食断食」@浜松・龍雲寺 (その4)

心があたたまるお話し

出典は定かではかったのですが、歌人・穂村弘さんのエピソードとしてご住職が紹介してくれました。(恥ずかしながら僕は初めて穂村弘という名前を聞きました。)

そのお話は要約すると以下の通りです:(太字部分)

ある冬の日のこと。
夕暮時になって大雪になった。
電車も止まり、駅前には家路を急ぐ人たちのタクシー待ちの行列が見る見るうちに伸びていった。
1時間以上も待ってようやく次の次というところまできた。
それからまたしばらく待って、タクシーが来た。
私の前に並んでいたのは白髪のおばあさんだった。
このおばあさんが乗れば、いよいよ次は自分の番だと思っていたその時のこと。
突然そのおばあさんが振り向いて、私の後ろにいる女性に声をかけた。
その女性は妊婦さんだった。
そして、おばあさんは彼女に「どうぞ先にお乗りください」とタクシーを譲った。
譲られた妊婦さんも驚き、遠慮していたが、結局おばあさんに押し切られてその方がタクシーに乗った。

私はハッとした。
電車が止まって、なんて今日は運が悪いんだ。
いつになったらタクシーは来るんだ。
もう1時間以上も待っているじゃないか・・・寒い。
自分のことばかり考えていたのだ。
自分の後ろに妊婦さんがいたなんて、大きなおなかを抱えてずっと
列に並んでいたなんて、全く気付かなかった。
それなのに、このおばあさんは、気づいていた。
そしてご自分も長時間待ってていたにもかかわらず、さっとタクシーを譲った。

ああ、何と自分は自己中心的なんだと自己嫌悪に陥っていたその時のこと。
そのおばあさんは、彼女を見送った後で、今度はさっと私の後ろに並ぼうとしたのだ。
えっ?
私は思わず「いいですよ、どうぞ、どうぞ、次に乗ってください」と言った。
しかしおばあさんは「いえ、これは私が勝手にしたことですから、あなたにご迷惑をおかけすることはできませんから。」と固辞をする。

ご住職は静かに話されました。
「このお話を聞いて何を感じるか、どうか皆さんそれぞれ考えてみてください。」
そして最後まで、何が正しい、どうすべきなのかについては語られませんでした。

「心があたたまるお話」と見出しをつけたものの、実際の僕は、少し鳥肌が立つような感覚になっていました。
それ故に、この話の結末がどうだったかはよく覚えていません。
(おそらく、何とかおばあさんを説得して先に乗って頂いたのだと思うのですが、定かではありません。)

言葉が財産になるような感覚

このお話を聞けただけで、今日1日を充実させようと思いましたし、事実そうできたような気がしました。
さらに言えば、このお話・言葉が僕の財産になったとも感じました。
もちろんおばあさんの行動が素晴らしいのですが、その場面で感じたことを話された歌人・穂村さん、そしてそれを法話の一部としてご紹介いただいたご住職、それぞれの方々の語る言葉が全て大きな意味・価値を持っています。
それ全てに感謝です。

これが、「いい話聞いた」で終わらないように。
一つでも自分の行動・習慣にしていきたいと思いました。

「1日1食断食」も明日で終わりです。
今回は本当に多くのことを吸収できました。
次回は6月です。

ちなみに、腰の曲がってしまった鯉は今日も元気に泳いでいました。

今朝のウォーキングで見つけました
佐鳴湖周辺は本当に素敵なところです

(追記)
穂村弘さんの著作:
『彗星交差点』『シンジケート』『僕の宝物絵本」の3冊を注文しました。GWもあることですから、初めての世界を楽しんでみたいと思います。





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