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新卒採用の「就活」に対して言いたいこと

皆さん、こんにちは。神村です。

前回は、久々に三浦さんに登場していただき、リモートワークにおける効率・生産性や管理職視点の難しさについて話しました。
今回は新卒採用、就活面の話を再度クローズアップします。ただし、面接に特化したハウツーを取り上げるのではなく、就活や転職をする方に向けて面接を受ける側、する側の両方の観点を話せればと思います。

(本稿は「Off the pitch talk 」第249~251回の放送内容のまとめです。今回はゲスト&文責:神田さんでお届けします)

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#249 : 採用面接の際に意識していたことを話します
#250 : 若いうちから、面接時の質問について考える
#251 : 一括採用とラベリングの注意点を考えてみました

採用面接の際に意識していたこと

(神村):今回は採用面接の際に、僕自身が意識していたことを話そうと思う。自分が経営者になって新卒採用に携わったのがちょうど2000年の頃だったのですが、その頃から一貫していることがあるんです。

(神田):それは一体どんなことなのでしょうか?

(神村):一般的には必ずと言っていいほど聞かれる質問の上位にくる「志望動機」を僕は一度も聞いたことがありません。これは新卒に限らず、中途採用でも同様です。

(神田):それは驚きです!鉄板ネタだと思うのに、なぜ聞かないのでしょうか?

(神村):学生たちの準備してきた回答に対して「なるほど」とか「よく考えられている」とは思えないからなんだよね。その会社に入ること前提だとしても、同時に他の会社も受けているのは暗黙知な訳です。つまり、自社以外に対しても志望動機を用意している筈なのです。むしろ、学生の目線では正直「よくわからない」けれども、本音では給料やネームバリュー、あるいは先輩に勧められた程度の理由で受けているケースが大半だと。それなのに、あたかも建前のように「私は御社の○○といった事業内容や、企業理念に魅力を感じ・・・・」などと話されても全く響かないから。この質問すること自体が馬鹿馬鹿しいと思えてならないんだよね。

(神田):たしかに、学生が事前に用意した建前の回答ばかりでは、その時間自体が不毛になってしまいますよね。

(神村):まさにそう。あとは、「学生時代に力を入れて取り組んできたこと」って鉄板ネタもあるじゃない?あれも、結局はアルバイト、ゼミ、部活(サークル)のどれかに当てはまりますよね。もっと言えば、各学生のエピソードの中身、工夫した点もほぼ同じで、差別化できないのです。会社の人事も、この鉄板ネタを見直すことを真剣に考えるべきだと思います。

(神田):僕が就活生だった時の話です。新卒の就活の鉄板ネタに「自己PR」がありますが、たった400文字で自分の個性や強みを全てアピールするのは難しいし、字面で人間性・価値観まで判断されるのは納得いかないと当時は思っていました。(苦笑)

(神村):履歴書の中身を読んだら結局どれも同じ内容だし、今じゃ書くべきポイントを説明したマニュアル本が流通しているから当然だよね。本音と建前を分けて物事をやる、ある種の日本の商習慣の始まりが新卒採用にあるとおもえてならない。僕はこの部分に一番違和感を覚えるし、将来の日本のためにも変わるべきなんじゃないかと常に考えています。

(神田):僕も全く同意です。

面接時の質問についてさらに考える

(神村):僕がしない質問がもう一つあるんだよね。笑

(神田):ズバリ、どんな質問ですか?

(神村):「うちの会社に入ったら何やりたい?」って質問です。これ、学生にとってみたらイジメに近い質問だよね。そもそも仕事ってどんなものかも分からないのに、 HP でみたり先輩の話を聞いたりして上辺だけの回答を用意して、いかに面接官に刺さるように話せるかが勝負のポイントになっています。これほどの苦痛はありません。会社の企業研究をすれば、ある程度は知れるのかもしれないけど、コロナ禍であれば尚更、企業を一つずつ見ていくのは無理難題ですよね。

(神田):ご尤もです。笑 僕が就活生の時にこの質問を聞かれたら「僕が御社のサイトを調べた限りでは、、」とか「先輩から色々とお話しを伺った中では、、」と枕詞を使っていました。

(神村):そうせざるを得ないよね。しかも、新卒サイトでは輝かしい仕事や優秀な社員の情報しか載ってないもんね。ごく限られた情報の中で取捨選択して、志望企業を絞らないといけないのは就活生にとっても酷です。

(神田):はい。極め付けは、せっかくやりたい仕事を話して入社できたのに、いざ配属された時には全然違う仕事をさせられることですよね。「組織だから仕方ない」とか「いきなりやりたい仕事ができることは稀だ」なんてその時に言われたら、あの面接の時間は何だったんだと思うでしょう。

(神村):学生が抱いている夢に対して、時に現実は違うんだという側面を伝えないといけない。でも、それをしっかり伝えない面接官もいる。これは新卒採用だけじゃなく第二新卒などの場面でも、しばしば見られること。

(神田):僕も第二新卒として転職経験がありますが、中には応募数を増やしていくために”甘い蜜に寄ってこさせる”会社もあった記憶があります。

(神村):自分の会社の採用担当には、もっと学生の人間性・価値観が知れる質問をして欲しいですね。例えば、「今までの人生で一番辛かったことは?」とか「これからどんな風に生きていきたいの?」とか。そして、質問と答えじゃなくて、そのことについて語り合う、つまり「大人同士が、人生について語る」くらいのコミュニケーションを面接時にやってもらいたい。

(神田):価値観を深ぼる質問の方が、その学生らしさや本質が見えてくると思います。

(神村):企業の人事担当・面接担当者自身がこの問題について、危機感を持って現状改革していかないといけないと思っています。採用権限を持っている人事が変わらないと、そのうちに「採用市場」で見向きもされなくなってしまうことに気付かないといけない。

一括採用とラベリングの注意点を考える

(神村):ここまでは僕が思ってることを勝手に話してきましたが、人事や企業に対する提言というか問いかけという形でもう少しだけ話させて欲しいです。

(神田):はい、今回もよろしくお願いします。

(神村):まず申し上げておきたいのは、就活で新卒の一括採用を止めませんか?ということです。この一回でまとめて採用するプロセスがあるから、個々の学生たちを深く面接で知ることが難しくなるし、通り一遍、ありきたりの面接で選考しなければならない状況なのだと思います。

(神田):ある意味、画一的な就活になっているということですね。

(神村):その通りです。新卒採用で4月にまとめて入る方が負担が減るのかもしれないけど、バラバラ入社しても良いじゃないですか。一括採用は本当にやめた方がいい。外国人(留学生)の採用を受け入れる、ある種の多様性の観点でも大事ですが、まずこれを企業の人事に投げかけたいです。
もう、ずっと前から言われていることだけどね。

(神田):これは僕も同意ですね。一括採用が故に、内定の承諾期限を短く設定されて、それが学生にとってプレッシャーになったりもしますからね。

(神村):そうなんだよね。二つ目の提言は、「選考に落ちた理由をきちんと伝える」ということです。中途採用は、ある程度、志望者側も分かるから敢えてそれをしなくてもいいと思うんですね。これも一括採用であるが故に、個々の学生に対してフィードバックするのが非常に難しい構造になっているんですね。

(神田):これも当時からすごく感じていました。俗にいう”お祈りメール”が送られてくるだけでは、何で落ちたのか分からないし、今後の面接でどう改善すれば良いのかも分からないですからね。

(神村):せっかく社会に出る前に数多ある企業の中から受けて頂いたんだから、「あなたにはこんな企業が向いていると思う」とか「弊社の求めるスキルセットのxxの部分が足りないと判断しました」と伝えることが、学生に対するせめてもの御礼になるんじゃないかな。

(神田):そうですね。

(神村):母集団を増やせば、そこから確率論で優秀な人材が集まるという発想は辞めた方がいいよね。そして最後は学生さんに提言したいと思います。それは、自己PRの元になる「自己分析」や「適性検査」で「私はどんなタイプで、どんな職種に向いている」という結果が出ますが、これを過信しないで欲しいです。

(神田):自己分析で客観的に自身の強み・弱みなどを把握するのは大切だと思う反面、だからと言って適性検査の結果を気にしすぎたら、自らの可能性を狭めてしまいかねないですからね。

(神村):そうそう。参考ツールとして活用するのはいいけど、それでラベリングする「私はこういう人間です」とか「私はこういうタイプです」と決めつけるのは良くないよね、という話です。適性検査の通知がもし正しくて正確だと言えるなら、全部それを元にして入社すれば3年以内に仕事を辞めるなんてことは起きないでしょう。

まとめ

(神田):最後に、就職活動に取り組む、あるいは取り組んでいる学生たちにメッセージをお願いします。

(神村):今まさに就職活動中の学生さんは、企業に落とされた時にショックを受けたり、自分を否定されている気分になることもあると思います。ですが、悶々として動けない時間が一番もったいないので、前を向いて自分の可能性を信じて頑張って欲しいです採用側も「うちの会社にはこんな学生が欲しい」という点を重視し、一人ひとりの学生に真剣に向き合う選考を実施して欲しいと思います。

(神田):まとめていただきありがとうございます。また次回もよろしくお願いします!

文責:神田



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