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不快、至福そして一体感「案外水に濡れるのも悪くない」

最近なんだか水に濡れることが多い。梅雨の時期に天気予報を確認せず、家を出る時に傘を持ち忘れたら痛い目にあった。ただでさえ雨の日は気分が憂鬱なのに、体が濡れると大失恋したドラマの主人公にでもなったかのようなどん底の気分になる。普段の生活で雨に濡れて「あぁ、俺は水も滴るいい男や」と自己陶酔する人はまさかいないだろう。もしいたとしたら、そんなことは公衆の面前ではなくお風呂上がりの鏡の前でやってくれ。とにかく私は雨でもなんでも服を着たまま水に濡れるのがあまり好きではない。つい数週間前まではそう思っていた。

前に欅坂46のライブに行った話をしたと思うが、懲りずにまた応募して行ってきた。毎年この時期に富士急ハイランドの野外会場で行われる「欅共和国」は、演出上大量の水を使うことで有名だ。今年は昨年の5倍となる約210トンもの水が使われた。欅坂46のメンバーたちが楽曲を披露しながら会場を動き回り、各所に置かれた消防車並みのどでかいホースで水をファン目掛けてぶちまける。そして、ファンは彼女たちに水をかけられ狂喜する。それが自分の推しメンだった時にはその喜びもひとしおだろう。まさしく濡れるとはこのことである。私もこの時ばかりは推しメン鈴もんに水をかけられ全力で濡れていた。

先週には別の水かけライブにも参戦してきた。千葉の幕張海浜公園で行われたWANIMAのライブである。タイの水かけ祭り×音楽をコンセプトとするEDMフェスとのコラボで、この日は欅共和国を遥かに超える約1,000トンの水が会場全体に撒かれた。エリアによっては砂場が深い水たまりになるほどの半端ない水の量で、会場の全員がびしょ濡れになりながら体を寄せ合い踊り狂う。中には一緒になって大声で歌う人もいれば、歌そっちのけでロック特有のモッシュに全力投球する人もいて、ファン一人一人が好みのスタイルでライブを楽しんでいたが、水に濡れるということが自然と会場の一体感を生み出していた。

雨に濡れて嫌気がさす日常とアイドルに水に濡らされて個人が至福を感じる欅共和国、そして無条件に全員が濡れてその場が一体となるWANIMAライブ。「水に濡れる」という行為一つをとってもこれだけ意味合いが大きく違うのだ。この世の万物は文脈によって如何様にも変わりうる。この当たり前のことを忘れてしまっている人が私の周りには多い気がする。「ビットコインは投機目的の資産だ」と各国当局は主張しているが、時としてそれが外国送金や支払いの手段、ご祝儀などの贈り物として使われても良いではないか。何にでも当てはまることだが、考えを固定することはそこに対立を生む。みんなが柔軟な思考を持った平和な世の中になってほしいものである。

#欅坂46 #WANIMA #ビットコイン

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