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欅坂3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE東京で目にした“ハードフォーク”

2019年5月11日、私は日本武道館で行われた欅坂46の3周年記念ライブの千秋楽に参加した。2月に参加した乃木坂46に続いて2度目となる“アイドル”のライブ参加だ。また前回のようにサイリウムを持って会場全体で盛り上がりながら、欅坂46らしいカッコいいパフォーマンスを見ることができるのだろう、くらいに当日を迎えるまでは思っていた。しかし、そこで目にしたものは欅坂46としてのこれからを示す“ハードフォーク”であった。

「以上、欅坂46でした!」

オープニングにふさわしいアップテンポの曲が終わると彼女たちは退場した。あれ、と一瞬戸惑ったが、すぐさま会場内ではアンコールが始まった。どうやら、その曲は先月に行われた大阪公演での最終楽曲で、東京公演と繋ぐ意味での演出だったらしい。しばらくすると本編開始を告げる「Overture」が流れ始め、みんなが大きな歓声を上げた。「オー」のかけ声と欅カラーである緑のライトが会場を埋め尽くし、待ちわびた瞬間がもうすぐ訪れる興奮に私は襲われた。

本編が始まってからは会場全体が欅坂46の世界観に徐々に引き込まれていった。序盤はファンの間でもアイドルのステージという認識がまだ強かったのだろう。カッコいい歌・ダンスをステージ上で繰り広げる彼女たちに対し、アイドル特有のコールで貢献しようとする人たちが多く存在した。要所要所で「オイ!」あるいは「フー!」の声が沸き上がる。乃木坂46のライブでも見た光景だ。私も最初はお手本通り周りに合わせて恥ずかしげもなく声を出していた。

しかし、ライブの終盤にかけて声の数は自然と減っていった。欅坂46のライブにコールなんて必要ない、彼女たちが作り出す一曲一曲の世界感に私たちは没頭しなければならない。あの時会場にいたほとんど全ての人がステージを見てそう思っただろう。世界で活躍するダンサーTAKAHIROによる独創的な振り付けもあってか、楽曲が伝える「自分らしくあれ」「既成概念からの脱却」などといったメッセージ性がステージ上では見事に表現され、まさにアートと呼ぶにふさわしいパフォーマンスであった。会場内のコンセンサスがとれると、気づけばみんながコールではなく拍手で彼女たちを称えるようになっていた。

今回のライブで欅坂46は通念的なアイドルから完全に“ハードフォーク”したように思う。彼女たちをアイドルとして支持する“マイナー”によって“アイドルチェーン”はしばらく稼働するかもしれないが、すぐに“マイナー”の移行が進み、今回新しく生まれた“欅坂46チェーン”がメインになるに違いない。メンバー自身もライブで口にしていたが、グループとしてのアイデンティティを全面にファンに知らしめた3周年記念ライブであった。

#欅坂46 #欅坂3rdYEARANNIVERSARYLIVE

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