見出し画像

エストニア滞在日記 華金

10日目。朝会で健勇からメディアの開発進捗について報告があった。ローンチがまもなくとのこと。会社としてメディアをメインにする予定はないが、これでようやくアウトプットの場と他社に見せられるものができる。楽しみだ。

朝会後はマンスリーレポートの続きに取り掛かった。イスラム金融の話は知らないことが多くて調べが大変だったが、国や宗教によってお金の捉え方が違うことを改めて認識した。この業界に入ってからこうやっていろんな角度でお金について考えることが増えた。お金については日常的すぎて何も考えない人がほとんどだろうが、暮らしのレベルを上げる為にも一度は真剣に考えた方がいい。そんなことを思いながら書き上げた。

毎週金曜の仕事終わりはみんなで美味しいものを食べに出かける外食DAYとなった。この日は旧市街地をふらふらして見つけたインド料理屋に入った。カレーが最高に美味しい。エストニアに来てから薄口のものばかり食べてたから余計に美味しく感じた。やっぱり僕は濃口派。

どういう話の流れだったか食事中にマジックザギャザリングの話になり、この後すぐに近くのおもちゃ屋に行くことになった。初めて見る英字のカードゲームはたくさんあったが結局見つからず、健勇が「探して絶対買う。」と言い張っていた。一度と決めたらそれをするまで聞かない男なのだ。

帰宅して部屋に戻ってからは哲誠と「華金、飲み足りんくない?」と無言のコミュニケーションを取り、二人で再び街にくりだすことにした。家から歩いてすぐのところにクラブがあり、向かうと建物の前には若者の人集りができていた。やはり華金のナイトフィーバーは世界共通なのか、と感心しながら、並ぶのは辞めて近くの怪しいガールズバーらしい店に入った。

中に入ると華金というのにお客さんで賑わっている様子はなく、暗がりの中に立ち並ぶ銀色のポールばかりが目立っていた。席に案内され飲み物を注文すると、セクシーな衣装をまとった女性たちが隣に付き、「Where are you from?」と外見から真っ先に思いつくであろう質問をしてきた。僕も拙い英語で回答し、その後もなんとか会話を続けた。そういえば、僕がエストニアに来て初めて英語を話したのはこの時だ。

気づけば目の前はロシア人美女たちで溢れていた。エストニアの夜のお店ではロシアから出稼ぎに来ている人が多く、現地の人の割合は比較的少ないらしい。女性の中でエストニア人は僕の隣に付いた学生の子一人だけだった。そんな社会事情も聞きながら、キャストが続々とアジア人二人の席に集まってきた。彼女たちにドリンクをたかられ、ついには何をするのかもわからないSexy Showを勧められるがままに承諾し、専用の個室へと二人して案内された。

個室に入って始まったのはレズビアンショーのようなものだった。爆音のクラブミュージックの中、怪しいネオンの光が女性たちの身体の妖艶さを際立たせている。密着されることもあったが、僕も哲誠もいまいちどのような反応をして良いのか勝手がわからず、お酒を飲みながら目の前で繰り広げられるショーに見入っていた。女性同士がお尻を叩き合い「フォー!」と声をあげたりとよくわからぬ世界観が妙に面白かった。

ショーが終わると女性たちが「オーマイガー!」と口にしていた。おそらく僕らの盛り上がり方が期待に沿わないものだったのだろう。性的な興奮というよりは未知な体験が楽しかった。若干の申し訳なさを感じるとともに、他の人はどうやってあのショーを楽しむのだろうと気になった。席に戻る頃には僕らはベロベロで、ママさんと思われる人が「drink for everyone!」とさらにたかってきた。このままではキリがないと哲誠が帰宅を決断。「チェック、プリーズ!」

…請求額を見て驚愕した。何がdrink for everyoneや。not for everyoneやわ。ただ、隣に付いてくれた金髪美女も可愛かったし、楽しかったからいいかと開き直った。帰路の記憶はないが、二人で部屋に戻り就寝した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?