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なぜ仮想通貨・ブロックチェーンは他のフィンテック領域に比べて理解が難しいのか

フィンテックという「金融×テクノロジー」によって生まれた造語は、ビットコインが世間に認知されるもっと前から存在した。その時から海外と比べた時の日本人の金融そしてITリテラシーの低さは問題視されていたが、仮想通貨・ブロックチェーン業界ではそれがより顕著に表れている気がする。フィンテック領域が様々ある中で、なぜ仮想通貨・ブロックチェーンは世間の人にとって特に理解が難しいのか。

 第一に、イメージのしづらさが挙げられる。テクノロジーに関して全く無知な人が「AI」と聞くと、おそらく多くの人が人工ロボットを思い浮かべるだろう。映画になるくらいにその印象は強い。では、「IoT」の場合はどうか。Internet of Thingsと聞けば、おそらく大半の人が何かモノがインターネットと繋がっている状態を想像する。そして、これらはイメージと実際の乖離が小さい。しかし、「仮想通貨」「ブロックチェーン」の場合は、言葉を聞いても一体それが何なのかがまるでわからない。仮想空間の通貨?何かブロックが繋がっているの?周りの友人からよく言われるフレーズだが、どちらも的外れだ。

 第二に、ブロックチェーン技術そのものが金融的側面を持つということだ。上述したAIやIoTの他にも、決済分野におけるNFCやQRコード、個人間取引を実現するP2Pなど金融に応用される技術は様々あるが、共通することとして、これらはあくまで既存のお金を使ったアクトを効率化する為の補完技術にすぎない。つまり、お金ありきの技術であり、技術の上で価値の変動が起きることがない。一方で、ブロックチェーン技術はあらゆる価値の保存・移転を可能にするだけでなく、その上では価値の変動までもがプログラムに従って起きる。つまり、誇張すれば技術そのものが金融色を帯びていると言える。

 第三に、仮想通貨を決済通貨あるいは金融商品といった金融物として捉えようにも、テクノロジーを無視して考えることができないことだ。仮想通貨の発行量や発行上限、発行条件、取引ルールは全てプログラムによって規定されている。今やそのルール変更プロセスまでもがプログラム化されようとしている時代だ。一部の限られた人間の判断によって変更が加えられる伝統的金融の視座では、仮想通貨を正しく理解することができないのは言うまでもない。確かに市場で取引される仮想通貨は需給に応じて価格が変動し、金融物であると言えるかもしれない。しかし、それは人ではなくテクノロジーによって支えられている。

 第二、第三の理由は表裏一体である。ここで言いたかったことは、仮想通貨・ブロックチェーンはこれまでのフィンテックと違って真の意味で金融とIT知識が求められるということだ。冷静に考えて、どちらの素養も持ち合わせる人材はそう多くはない。ITに興味ある金融人か金融に興味あるギーク、そして最も潜在層が多いと思われるのがITへの抵抗が薄いデジタルネイティブ世代である。この業界で多くの若手が活躍しているのが納得できる。これから先、既存の金融市場に接続する形で業界は発展していくだろうが、それによって日本もテクノロジーフレンドリーな社会になることを願っている。アメリカや欧州と違って規制先行型であるところを見ると、やはり日本はまだまだ古い金融文化的か。

#仮想通貨 #ブロックチェーン #フィンテック

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