中崎実

古のスペオペとファンタジーとハードSFを愛するしがない内科医。 モットーは安全第一日々…

中崎実

古のスペオペとファンタジーとハードSFを愛するしがない内科医。 モットーは安全第一日々是平穏人畜無害、制服の色は白時々迷彩です。 専門は電子工学と社会医学と内科(総合診療系)ですが、専門の話はほとんどしないはずです。

マガジン

  • 考証裏話

    「異世界薬局」医療考証に際し、表に出てこなかった詳細な解説や本筋に関係ないので省いて頂いた事項など、こぼれ話をぽつりぽつりと。

  • おはなしのタネの探し方

    考証協力等の際に用いた手法などのご紹介。 資料紹介も含みます。

最近の記事

ネタの探し方:PubMedで遊ぼう

医療系ネタで何か書こうとしてる方向けの記事です。 ネタを探したい方向けのコラム。 医療ネタを探す方法は色々ありますが、「無料で使えるインターネット上の資料」の探し方の一つとしてご紹介します。 ■ まず、PubMedってなに? アメリカ国立医学図書館のオンラインデータベース検索サイトです。 1946年以降の文献を収録するMEDLINEというデータベースに作られたものですが、現在はOLDMEDLINEという古い文献のデータベースも加わっており、かなりの文献を検索することができま

    • 持ち込まないリアル ~「異世界薬局」考証裏話(4)医師法の話~

      まだまだ続く14話ネタ。 いやけっこう有るんですよこの回は。 今回も骨折治療の話にしようかなと思いましたが、それより先に「原作に準拠させたらまずいと判断して、かなり強く変更を求めた」点についてお話しようと思います。 原作を読んでいると判ると思いますが、薬谷というキャラクター、異世界にいってもなぜか日本の医師法を気にします。 コミック第14話についても、原作では医師法を理由に治療をためらいます。 ネームの段階でも、医師法を理由に治療をためらうと言うストーリーになっていました。

      • 創作では順番が逆。~「異世界薬局」考証裏話(3)治療可能な範囲の決定~

        さて、だいぶん間が空きましたがまだ14話の話が続きます。 ネタが多いんですよね、この回は。 ……なお、本来なら整形外科でカバーする範囲の話で、私が内科医であることはどっかに行ってる気がしますが、気にしないでください。 田舎で二次救急をやってますと、外傷初療や小外科(ちょっと縫う程度の傷の処置などですね)はできないと話になりませんから、内科医でもやることはあるということで。やんない奴おるけど。 それはさておき、本題に入りましょうか。 症例の概要の決め方 前回、「薬谷の経験値

        • 見えるもの、見るべきもの ~「異世界薬局」考証裏話(2)外傷のおはなし~

          WEB版、書籍版をお読みの方は気付かれたと思いますが、「異世界薬局」コミック版にはちょっとずつ修正が加わっています。 特に第14話はかなり変更があり、作画の高野さんがずいぶん苦労しておられました。 ご覧になった方は是非、原作と比較して見て下さい。 さて問題の第14話。 怪我人は馬から振り落とされたサロモンさん(年齢不詳男性)。 いきなりですが、症例を整理してみましょう。 症例は推定30代男性、戦闘中に落馬し左下腿に開放骨折をきたしたもの。 脛骨骨幹部近位および腓骨骨幹部近

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        • 持ち込まないリアル ~「異世界薬局」考証裏話(4)医師法の話~

        • 創作では順番が逆。~「異世界薬局」考証裏話(3)治療可能な範囲の決定~

        • 見えるもの、見るべきもの ~「異世界薬局」考証裏話(2)外傷のおはなし~

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        • 考証裏話
          4本
        • おはなしのタネの探し方
          1本

        記事

          その糸は使えるか?~「異世界薬局」設定裏話、あるいは縫合糸について~

          「異世界薬局」の設定考証をなぜかお手伝いしている中崎です。 なんでお手伝いしてるのか本人にも謎なんですが、気にしないことにしてください。私もよく判ってないので。 第一回ということでまずは自己紹介。 良くいる救急・総合診療系の医師です。本来は総合診療および病棟管理を主業務とするはずなんですが、救命センターや僻地の二次救急、人工透析導入や維持透析、ちょっとした外傷などの治療などもやりますので、まあ何でも屋の医者ですね(外傷は初療のみで、本格的な治療は他科に引き継いでおります)。

          その糸は使えるか?~「異世界薬局」設定裏話、あるいは縫合糸について~