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「静かな」社会:工事の音がない社会

社会は喧騒に満ちている。適度なものなら安心感さえ感じるものだ。
車の走行音、人の足音、会話している声……こうしたものは街中を散策する分には好ましい。
むしろ静かすぎても不安を感じてしまうくらいだ。
例えば深夜、帰宅途中で近づいてくる足音には警戒せざるを得ない。

話がそれた。
ともあれ状況さえあっていれば、色々な音が雑多に混じり合っても違和感なく過ごせるものだ。
その一方で、端的に言ってうるさいと感じる音もまた存在する。
挙げようと思えばいくらでも挙げられるけれど、音による実害があるものについてはなるべく排除されるべきだろう。

今回取り上げたいのが、工事の音だ。
まず誤解しないでほしいのが、現場で働いている方々を貶める意図はない。
むしろあの作業音をどうにかすることで、よりストレスなく働くことができるのではないかと思っている。

かつて妻の教え子の中に、声がやたらと大きい青年がいたらしい。
定時制に通っていた彼は、普段工事現場で働いていたことが元で音が聞き取りにくくなったのだという。

実際に日常的な騒音への接触は実際に難聴の原因となるようで、以下のようなニュースでも時折話題となっている。

静かに進行する騒音性難聴日常環境での大音量に注意|医療ニュース トピックス|時事メディカル

厚生労働省のガイドラインに背く職場環境についても気になるが、ここでは割愛する。
そもそも機械側で大きな音を出さない仕組みとすることで、こうした出来事を減らすことができると考えられないだろうか。
作業を行う上で耳栓の適切な使用も推奨されているが、耳栓を使わずにいた方が安全な場合もあろう。

近年の車はエンジン音の大幅な低下に成功しており、接触事故防止のためにあえて動いているときは音を出すようにしていると聞く。
もし工事現場で稼働する機械の音を最小限に抑えることができれば、労災自体も防ぎやすくなるだろう。
それに職場環境の大きな改善にも寄与するのではないか。

さらに、夜間の工事などについても問題が出にくくなるはずだ。
かつて私の住んでいた場所は、年末になると決まって夜間に道路工事を行っていた。
工事の期間中は音、振動が夜通し続く。

当然そんな中ではまともに眠れず、何度か苦情を申し立てたこともある。
その際は作業スケジュールを決めている役所に問い合わせたが、交通量の関係で日中はどうしてもできないの一点張りであった。
結局、私たちは夜間工事の音を主たる原因のひとつとしてその住まいから去ることになった。

近所に住む人の子どもは、受験の時期にわざわざホテルを借りて寝起きしていたらしい。
そこまでせざるを得ない状況になったのは、結局その音が大きすぎるという点に尽きる。

今の技術であれば、重機の作業音を極限まで小さくすることも可能なのではないか?
無音となると作業者が気付かず事故が起きる原因ともなりうるが、明らかに従来の機械は音が大きすぎるのだ。

あるいは機械自体の発する音や振動を、別の何かで軽減することはできないのだろうか。
例えば天幕のようなものを利用して、音を外に漏らさない工夫もできるのではないか。

騒音は、上記のように健康被害の原因となる。
精神的苦痛、個人の金銭的な損失にもつながっていく。
これは社会を挙げて対策を進めていくべき課題の一つだと考えている。

「静かな」社会。
今後、社会がそんな風に変わっていってほしいと切に思う。


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