稲のかおり 夏のおわり

 9月は夕焼けがきれいでした。久しぶりに見たような気がしました。ふいに友部正人の「一本道」を思い出しました。死んだらぼくを星にじゃなくて夕焼けの一部にさせてくれないかなあ。って誰に頼めばいいのかな。

 スマホが出てきたことでそれまでのケータイが「ガラケー」と呼ばれるようになったの、未だに感慨深い気持ちになります。いとこが結婚して苗字が変わるみたいな、その結婚式で昔の写真が映し出されるみたいな、一歩前に踏み出したことでついさっきまでの事が懐かしく感じられるような、そんな気持ちになります。

 「金が欲しくて働いて眠るだけ」と歌った忌野清志郎は一体どんな気持ちだったのかなあと仕事している時や寝る前にふと思います。ロックンロールからもっともかけ離れた言葉のようで、これこそ本当のロックンロールなのではないかとも思います。

 「あんな大人にはなりたくない」と高校時代によく思ったものです。いまのぼくはあんな大人以下なのではないかしら。成虫になりそびれた虫みたいに、アリ地獄にはまったアリみたいに、ただ死んでいくのを待つばかりではないかしら。マイマイズの「くずのうた」を聴く。ぼくはあの歌の中の「くず」よりくずなのではないかしら。

 小学生の頃から「ドラえもん」が好きです。のび太が自分のことのように思えてなりません。アニメも好きでしたが、父が買ってくれたドラえもんの漫画がぎっしりつまった雑誌を読んでさらに好きになりました。今もまた図書館から借りて読んでいます。「ジャイアンズをぶっとばせ」の回がすごく好きです。最後のコマの、思うように事が運ばず結果的に仲間外れにされたのび太と、なにもかもを分かってそばにいるドラえもんの姿がほほえましくて、おかしくて、じーんときました。


 そうそう、今日人生で初めて犬に噛まれました。

 夏はもうすぐおわりです。

 

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松下能太郎

しょうせつについてのあれやこれやそのたもろもろ
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