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捨てない生き方: 断捨離とはちょっと違うとらえ方

著者 五木寛之、2022年1月27日第1刷 株式会社マガジンハウス社発行で、2022年3月10日ですでに4刷となっています。 短い期間での増刷はこのテーマに関して関心を持っておられる方が多いことが感じられます。

書店の本棚で自分の注意を引いてきたこの書籍にもうすでに手を伸ばして目次などを見ている自分がいました。 何、今はやりの断捨離ではないのか? どちらかというと捨てきれない、断捨離出来きれない自分に合う、または参考になるようなことが書いてあるのではないかと思い入手しました。

断捨離が流行しているなかでこの本を出すのに抵抗があったと著者は述べておられますが、読むと非常に自分にとってしっくりする内容です。捨てるか捨てないかという両極端の考え方になるか、よく考えてみるとモノであれば捨てることは可能ですが、そのモノを入手したときの時代や背景、気持ちを思い出すことがあります。それらも全部捨てたいと思うときとここは残しておきたいとか、物は捨てるけれどその時の記憶心情は残しておきたいとかいろいろなことがあると思います。 断捨離が今の時代で伝えていることは二つあると思います。一つは物であふれてしまった自分の周りを整理(取捨選択)してすっきりさせること、その結果、あふれた物の整理もできて気持ちも整理されて新たな一歩を踏み出せるという状況になれる事。 もう一つは心の整理のほうになりますが、こちらはなかなかむつかしいと思います。 自分の記憶の中に残ったいろいろな出来事すなわち、うれしかったこと、悲しかったこと、病気のこと、人に言えないようなことから、元から引きずっていること、などなどで、これらを断捨離することは苦難の技というかできないことも多々あります。 表面的に思い出さないとか、忘れようとする行為や気持ちにさせようとしてもさらに鮮明に思い出したり、記憶から消えないこともいっぱいあります。 これらのことをこの著書では表していると思いますが、それらは断捨離せずに捨てずにこれからの人生と一緒に引き続き持っていくことでいいのではないでしょうかということだと思います。 うれしいことだけは残しておきたい、つらいことや、苦難のことは忘れてしまいたい、捨てたいという気持ちになってもなかなか捨てられるものではありません。

自分が選択してきた結果で、いろいろな偶然の出来事、運やその他、タイミングもあって今の自分があります。 あるいは自分が認識したときにいわゆるまわりの人と違った状況(先天的なこと、そのとき自分ではコントロールできない状況)あったということがあるかもしれません。しかし自分が物心ついてからの今までの状態の中で、断捨離(モノと記憶)はしてもいいし、捨てない生き方もあるということ、あってもよいということになります。 断捨離と捨てない生き方を共存していくことがバランスの取れた人生の生き方のように思ったりします。 歴史はすべて捨ててこなかった結果の連続の賜物です。 人生においても歩んできた道は捨てようがありません。 新たな道を模索していくうえで断捨離(モノと気持ち)して、残すものは残して持ったまま並行して歩んでいくことが今回の投稿テーマで得た自分の回答になります。

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