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【サイコブレイク/サイコブレイク2】における【STEM】に想うこと

サイコブレイク/サイコブレイク2というホラーゲームがあります。バイオハザードの生みの親、三上真司氏が手掛けたサバイバルホラーゲームなのですが、このゲーム、そのほとんどが『STEM』と言うシステム内で起きる事をゲームの舞台としています。

このゲームの"キモ"でもあり、サイコブレイクの”狂気の受け皿”ともいえるSTEMについて、少し話したいと思います。

STEMとは何か

STEMとは、簡単に言うと「ホスト」となる人間の脳をベースにSTEM内で精神世界を構築、そこに他人の脳を接続することで、STEMで構築した精神世界を「共有」するシステム。コンピューター上で作る「仮想現実」と極めて酷似してますね。映画「マトリックス」の仮想現実世界のようなもの。

ただし、こちらはあくまでベースは人間の脳。いわば人間の脳とコンピューターによるハイブリットの仮想世界と言えます。

このゲームでは、STEM内で構築された仮想世界が、ホストの精神状態の影響(恐らく潜在意識)により、繋げられた人々が次々にホーンテッド化(いわゆるゾンビ化)し、あっという間に地獄絵図のような世界になってしまった。

ホーンテッド

悪夢の中で闘うセバスチャン

ゲームの主人公セバスチャンは、何も状況が掴めぬまま、この仮想世界で生き抜き、STEM世界の崩壊を食い止めるために奔走する。ゲーム自体もガチのホラーゲームであり、難易度も高め。プレイヤーを色んな意味で苦しませる仕様となっている。

そのせいもあってか、サイコブレイク1作目はプレイヤーからやや不評な作品となってしまった。ゲーム難易度が高いうえに、いわゆる一撃死も多く、ストーリーの分かりにくさが更にプレイヤーを混乱させてしまった。

分かりにくいストーリー展開

全般的に説明不足感が強く、状況が掴めぬままゲームだけが進行していく。クリアしても、STEMというモノが何だったのか分からぬままゲームを終えた方も多かったのかも知れない。

そのためか、続編であるサイコブレイク2では、徹底的に前作で不評であった部分を修正してきた。ストーリーも分かり易く難易度も低め。前作のように一本道だけではなく、オープンワールド的な要素があり探索する楽しさも加わった。そうして打って変わってプレイヤーから好評なゲームに生まれ変わったのである。

もう一人

前作では謎の存在であった、「ジュリ・キッドマン」がはっきり味方と分かったのも良かった。

STEMが秘めた可能性

さて、このゲームには常に「STEM」というシステムが中心にある。どちらの作品でも、このSTEMというシステムを「完成させる」と言うのが思惑としてあった。良い悪いかは別として、STEMの中の仮想世界と言うのは、とても興味をそそられるものであるように思う。

作中でも、現実世界からの「逃避先」として、STEMの中の街「ユニオン」に「移住」する人間を募集していた。現実世界で行き場を失った人、病気や事故で体の自由を失った人。そういう人間にとって、ユニオンは魅力ある場所であったのかも知れない。

その後、ある程度までユニオンも順調に大きくなり、更なる拡大の計画までされていたのですが、結果的に計画は失敗に終わります。

ある男が介在したことにより、人々が「ロスト化」し(前作のホーンテッド化と同じようなもの)、ユニオンの街全体が前作同様の地獄絵図になってしまう。

ロスト化

STEMは救世主になり得るのか

こんな世界はもちろんご免なのですが、例えば現実世界で「ガンや不治の病に侵され余命わずな人」が死を免れ、STEM内で穏やかに余生を過ごせるとしたら?また「下半身不随」や「全身不随」の人が、STEM内で何不自由なく暮らせるとしたら?目が見えない、耳が悪い人が、STEM内でその病を克服できるとしたら?使い方によって、STEMは誰かの救いになるような気がします。

もちろん、作中で登場する組織『メビウス』が管理するSTEMは御免ですが、然るべき組織がきちんと管理・運営するなら、自身の状況によっては選択肢としてアリなのかな・・・と思ってしまった。

実は、これと似たような発想の海外ドラマがあります。『ブラック・ミラー』というシリーズの中の1作で、『サン・ジュニペロ』と言う作品。

サン・ジュニペロ

これ、是非観て欲しい傑作ドラマ。1話完結で、60分くらいのドラマ。短いが、かなり奥深い。「人間の意識をコンピュータ上に構築する」という類の話で、人間の精神とは何なのか?を考えさせられました。

技術的にこんな事が可能なのか?いや、今後の技術の進歩では可能になるのでは?と思ってしまう、絶妙な具合のSFドラマ。詳しい話はネタバレになるので止めてきますが、人生を考えてしまうだけの題材とも言えます。高齢な方ほど、もしかすると心に響くものがあるかも知れない。

永遠の命(意識)を取るか、儚い命を散らす運命を受け入れるか。』賛否が分かれそうなテーマですね。

ブラック・ミラーについては、別の記事をアップしているので、興味がありましたら、そちらも併せて読んでみてください!

話が逸れましたが、サイコブレイクとサイコブレイク2は、このSTEMを中心ししつつ、『サン・ジュニペロ』とは全く事なる方向で話が進みます。どんな内容かは、実際にプレイしていただくのが一番ですが、もしご自身でプレイするのが面倒なら、YouTube上にプレイ動画と考察動画をアップしているため、良かったら、そちらをご覧になってください!


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