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群馬から関東へ!関東リーグ1年生、チャレンジャーズの戦い

編集サイドの事情もあり、掲載されなかった関東サッカーリーグ2部、後期第2節 桐蔭横浜大学FC vs ザスパ草津チャレンジャーズの試合レポートを、大幅に加筆して、こちらに掲載しておきます。

関東サッカーリーグは現状、無観客での開催となっていますが、試合だけではなく、トレーニングマッチや普段のトレーニングすら目にする機会が少ない今シーズンにおいては、例年以上に「(チームの状況は)どうなんだろう?」が見えてこないと思いますので、今回は写真もそれなりに踏まえながら紹介していきます。

なお、こちらの記事と連動しながら読んでいただければ幸いです。

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若い力の前に沈黙し2試合連続の無得点
改め浮き彫りになったチャレンジャーズの課題とは?

関東サッカーリーグ2部後期第2節
ザスパ草津チャレンジャーズ 0−1 桐蔭横浜大学F C

【スタメン】
GK 32 後藤聡志
DF 6 関口蓮
DF 2 仙葉秀一
DF 8 吉原隼加
DF 20 藤井惇
MF 22 大澤靖信
MF 7 荻谷嵩人
MF 23 吹田諒
MF 9 高橋優人
FW 18 渡辺悠太
FW 28 清水大士

【控え】
GK 24 岩﨑勇希
DF 5 田沼和樹
DF 15 小寺薫
DF 16 末田翔
DF 30 木村直樹
MF 19 畠山友志
FW 10 操将真

※交代はナシ

【戦評】
両者とも開幕戦と全く同じスタメンで挑んだ後期第二節。前節の社会人チーム(横浜猛蹴)とは全くタイプが違う大学生チーム(桐蔭横浜大学のセカンドチーム)であり、運動量も豊富であることから「序盤の主導権争い」でどちらが勝るのか?が大きなポイントになると予想されたが、またもチャレは流れを掴めないまま試合に入ってしまう。

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桐蔭横浜大のキックオフで始まった試合は、開始直後から素早く縦に入れてくる相手の展開と、4バック+2ボランチの固い守りの前に後手を踏んでしまう。前半15分を迎える前に、早くも3本のシュートを浴びてしまったチャレは、準備段階で描いていた「攻撃的な姿勢」を出せないまま時間が過ぎていってしまう。だがしかし、仙葉秀一と吉原隼加の『本職ではないCBコンビ』が、抜群の速さとカバーリングの良さをみせ、流れこそ良くないものの、決定的な形でシュートを打たせず粘り強く対応していく。すると最初の給水タイム(前半17分)を境目に、左サイドの関口蓮と吹田諒の連携が、徐々に相手陣内で脅威を与えるようになり、開いた中盤のスペースにボランチの荻谷嵩人が顔を出せるようにもなり、試合の流れを五分五分まで持ち直し始めていく。

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コロナ禍の中での試合ということもあり、給水が「選手それぞれのタイミング」で取れないこともあり、前後半それぞれ2度の給水タイムを設けているが、今回はこの給水タイムが修正を図る良いタイミングとなったが、これはチャレだけの話しではなかった。1回目の給水以降、完全に流れを取り戻したチャレに対し、桐蔭横浜大も2度目の給水を経て、守備部分の修正をきっちり行なって来た。チャレの攻撃の起点は最終ラインからのビルドアップであり、そこから左右に展開していくパターンがほとんどだが、相手はボールが動き出したタイミングに合わせ、供給先をしっかり封じる形に切り替えて来たのだ。するとボールを前に入れるタイミングが減り始め、なかなか展開が広がっていかない時間が増え出し、43分には、中盤からFWへのパスをカットされ大ピンチを迎えてしまう。速いカウンターから相手F Wの左部 開斗(2年生)が抜け出しシュート。一度はG K後藤聡志が素晴らしい反応を見せセーブするも、こぼれ球を再び詰められてついに失点。

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1点のビハインドを背負ったチャレンジャーズだが、本来は交代枠を使って状況を打開していきたいところであったが、開幕戦同様、まだケガ人、コンディション不良の選手が戻って来ていないこともあり、カードを切りたくても切れないままだった。そんなチャレに対して、相手は次々とフレッシュな選手を投入し、試合の流れをより盤石なものにしていく。チャレもなんとか反撃を試みたいところだったが、前半以上に「ビルドアップ対策」を徹底する桐蔭横浜大の前に、完全にラインが間延びてしまい、清水大士と渡辺悠太の2トップが時間を追うごとに孤立してしまう。また2トップにボールが入っても、相手4バックが臨機応変することで数的優位の状況を作られ、まったくと言っていいほど形が作れない。確かに後半は桐蔭横浜大もチャンスらしいチャンスをそれほど作れなかったが、それ以上にチャレは吹田諒の突破を除けば、攻撃の形すら見出せないまま、シュート2本に抑え込まれてしまい、痛い敗戦を喫することとなってしまった。

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必然だった敗戦と、「インターバル」でやるべきこと

スコアだけ見れば最小失点での敗戦でもあったが、「チームの完成度」という部分で見てしまうと、大きな差があったことは否めないのだが、それはチャレンジャーズに「交代カード」の存在があったとしても変わらなかったであろう。一度は給水タイムというインターバルで対策を考え、その上で流れを取り戻したところまでは良かったが、チャレのビルドアップに対して、しっかり修正することで「相手の良さ」を消し去った桐蔭横浜大の方が1枚も2枚も上手だった。しかし別の見方をすれば、今回の敗戦は「チャレの自滅だった」とも言えるのだ。

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試合後の選手たちは、どの顔も「不完全燃焼」を表すかのように、なんとも複雑な表情をしていたし、前線の選手と、ディフェンスラインの選手たちの言葉にそれぞれの考え方の違いが溢れ出ていた。4バックの真ん中でプレーした吉原にしても、右サイドバックの藤井にしても「苦しい時間帯であっても、繋いで前に出ていくのがチームの基本」と話したが、ラインが間延びしてしまった中で、F Wは長いボールでもなんでもいいから「欲しい」と要求していたが、状況が悪くなればなるほど意思疎通が取れなくなってしまったのも事実。だがこうなることは、普段の練習の内容から考えても予測されるものであった。

そして試合後の木村直樹監督に、まずは試合の感想を語ってもらったが、最初に出てきたのはこの一言だった。

『もう、(今日の試合の結果を受けて)もっと練習するしかないですよね…』

ーー確かに相手との完成度というか、連携面の成熟度が違いましたね。

『はい、その辺は本当に差があったと思います。ただ、うちのチームはメンバーが少ないから、チーム内で紅白戦は出来ないし、全員が連動する練習も出来ていません。結局は、攻撃の選手vs守備の選手という形でのハーフコートでの練習が中心になってしまうため、後ろから前に繋ぐ全体連動などに関しては、トレーニングマッチをこなしながら確認していくしかないのですが、今年はコロナの影響もあり、(4〜6月は)トレーニングマッチを思うように組めなかったので、その影響が出て来てしまっていると思います。まあ確かに、コロナのおかげで開幕が伸びたことで、準備が遅れていたチームをある程度の段階まで仕上げることはできましたが、今日みたいにしっかり対応できる相手に対してはまだまだだなあ…と感じました』

ーー選手個々の力に大差はなかったと思いますが、チームで見た場合の総合力は大きな差はありましたね。しかし、ここで4週間のインターバルとなりますが、この結果を受けてこの期間でどうチームを変えていきたいでしょうか?

『おっしゃるとおり、来週の試合(全国社会人サッカー大会関東予選1回戦)というか、全社(10月に三重県で開催される全国大会)自体がコロナウイルス感染防止の観点から中止になってしまい、結果的に7/23から3週に渡って予定されていた関東予選も中止になってしまったので、次の公式戦は8月(19日、さいたまS C戦)まで無くなりました。だだ、2戦続けて交代なしの90分間同じメンバーだけで戦いましたが、これは今のチーム状況から考えて"変えないほうが良い”と私は判断しましたが、選手の疲労はかなりあると思います。しかし、ショウマ(操)とか、コンディション不良の選手が来週の試合で戻ってこれるかはまだ微妙なので、ここで時間を与えられたことを「めぐみの時」かな?とも思いました。まあせっかく巡ってきた貴重な時間ですので、出ていない選手はコンディションを上げるように準備させますし、何より今日みたいな試合にならないように、チーム全体をもっと仕上げていくつもりです』

開幕が延期されたことで、仕上げが遅れていたチームを、なんとか形にすることは出来た。昨年までの群馬県リーグ時代であれば、今の状況でも問題なかったであろう。だが今チャレンジャーズのいるカテゴリーは「なんとか間に合いました」で勝てるほど甘くはないのである。それが露呈した今だからこそ、もう一度戦術徹底を行いながら、チームとしてより成長度を高める必要があるのだが、幸いなことにそこに時間を掛けられる機会が再び与えられたのである。

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目標に辿り着くために必要な「頭の良さ」

チャレには「関東1部昇格」と「トップチーム昇格」という、チームと個人、それぞれの目標が存在しているが、やはり『関東で結果を残す』ということが一つの指標にもなってくる。だからこそ、この苦い経験を糧として、これから続く8連戦に向かってほしいのだが、それとは別にチャレの選手たちには「3つのポイント」もぜひ頭に入れておいて欲しいのだ。

・トップの試合がほぼ週2の過密日程になっている点
・選手の新規登録が11月6日まとで拡大している点
・ほぼ週2での試合消化のためトレーニングマッチはほぼない

過密日程であればあるほど、ケガや出場停止などでの「選手補充」の必要性が生じるてくるものだし、例年は移籍ではない新規(追加)登録に関しては9月末がリミットであったが、今年は特例的に11月6日まで登録が可能なため、チャレの選手には例年以上に「昇格のチャンス」があるとも言える。だがしかし、ほぼ週2ペースで消化していく今年のリーグ日程から考えると、その合間にトレーニングマッチを挟んでいくことは考えづらく、トップ昇格に向けて貴重なアピール機会がほぼないのでは?というデメリットも考えられる。そうなると、トップのチーム事情によって「急遽招集される」という形の方が可能性的には「ありえる」ともいえるし、事実、2009年にはGKの寺田一太がトップチームの選手のケガなどもあり、急遽トップ登録されたパターンもあるのだ。

だからこそ、自分の得意なプレーで認められていくことも大事だが、それと同時に、与えられた役割をスマートにこなせる「順応性」を養うことも重要であると言えるのだが、そこで肝になるのが「サッカー頭の良さ」ということになるだろう。技術や体力をアップさせることは、プロを目指す上では当然のことだが、「頭の良さ」がなければ、その環境にすぐに溶け込めるものではない。また、前節の桐蔭横浜大学FC戦でチームがうまくかみ合わなかった部分も、戦術的部分の未熟さも当然のことながら、選手それぞれが持つ「サッカー頭」という部分でも足りていなかった証ではないだろうか?

現時点では「まだまだ」という立ち位置の露呈したチャレンジャーズだが、この急遽湧いて出て来たインターバルをどう活かし、どう過ごすのか? チーム全体としての改善(意思統一)だけではなく、個人それぞれが持つ”柔軟な発想(サッカー頭)”が開花していくのか? 4週というインターバルを経て、チャレンジャーズはさいたまSC戦という「大事な試験」を迎えることとなる。

なお、関東リーグ2部開幕戦(vs 横浜猛蹴)レポートは、コチラをご参照ください。

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