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かばんいっぱいにとれたら#わたしのかばん

いいもの、みつけたわ。
おかあさんてづくりの ようちえんかばんいっぱいに いれて、
おかあさんや おねえちゃんたちに みせよう。 

「こんなにいっぱい とってきたの?」
「ちゃかちゃん、すごーい!!」
「すこし ちょうだい!」
「あ、あたしにもー!」


 
きっと こんなかんじに なるわね。

わたしは、

「おねえちゃんたち だいじょうぶ。ふたりのぶんも ちゃあんとあるから。」


って言って、

おかあさんが おかしをくばるみたいに、わたしがおねえちゃんたちに くばるのよ。

ふふふ、いつもできない おかあさんごっこの おかあさんみたい。
でも、なかなか かばんいっぱいにならないわね。
なぜかしら。
 

「ちゃかちゃん! こんなところにいたの! 探したんだから!」


あ、おかあさん。

「わたしね、とってもいいものをね、みつけてね、おねえちゃんたちのぶんもね、とっていこうと……。かばんがいっぱいになるまで。でも、なかなか いっぱいにならないの。」

お母さんは言う。

「そうね。でもそれはきっと、かばんいっぱいにならないわ。ちゃかちゃん、足、つめたくないの?」


かばんをおいた ふともも。そういえば、つめたい。
おかあさんの携帯が鳴る。

「あー、やっとみつけた! 〇×センターのアプローチの、池のところ。うんうん、水に張っていた氷を、かばんに入れていたみたい。この辺は北国だから、まだ最後の氷が張るのよねー。」

そうよ。でもなかなか いっぱいにならないの。

「取った氷はとけちゃうじゃない? だからずっとやっていたのよ。」

だって、おねえちゃんのぶんも とっていって あげたかったんだもん。

「とにかく、帰るわ。家の中、あったかくしといて。」

ぷつ。

「ちゃかちゃん、こんなに冷たくなっちゃってー!」

おかあさんみたいに、おねえちゃんたちに わたしたかったんだもん。
きゅうにさむくなって、なみだがでてきた。ひーん。ひーん。

「そうだね。いいもの 見つけたから あげたかったんだよね。」


ギュッと抱きしめてくれるおかあさん。わかってくれていた!
でも今、ひーん。ひーん。って声しか出ないの。
ひーん。

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