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Japan Customer Success Community(JCSC) #10 に行ってきた!

『「勉強になった!」は運営の負け』のJCSC。目下、自分が業務として取り組んでいるオンボーディングプロセスの企画・実行に取り入れるべく、参加しました!

■概要
日時:2019/08/09 (金) 18:30 - 21:30
会場:株式会社SmartHR セミナールーム(六本木グランドタワー 8F)
詳細:https://jcsc10.peatix.com/view

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CSイベントで隔週でこのビルを訪れてる気がします。SmartHRさんのセミナー用スペースだそうで、執務スペースとは別フロアの会場!なんて贅沢な!

■登壇者
株式会社SmartHR 執行役員・VPカスタマーサクセス 高橋 昌臣氏
■パネリスト
HENNGE株式会社 customer success division engagement lead & customer success manager 渋江 良彦 氏
■モデレーター
ベルフェイス株式会社 カスタマーサクセスマーケティングチーム マネージャー 小林 泰己 氏

オンボーディング戦略2019夏 SmartHR 高橋氏

1年前に話したこと
オンボーディングの完了状態の定義:課題設定→活用→効果を実感する
オンボーディングフローを設計、やりたいことを決めた。

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”COS”の立上げ
2018年9月から、オンボーディング専門チーム、”COS”(Customer OnBoarding Specialist)を設立。

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COSがやってきたこと
事前ヒアリングの運用、キックオフ内容の標準化、お客様側のToDoをコンテンツ化・拡充、オンボーディング状況の確認・監視方法、クロージング及び担当者へのCSMへの引き継ぎ標準化、営業へのフィードバック、などなど。

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COSをやった結果、顧客の状況がわかってきた。うまく立ち上がらない要因、成功する顧客のパターンなど。
マテリアル、コンテンツ(顧客の利用を促すツール)が出てきた。

良くないかも?な点
人手がかかり、オンボーディングが順調じゃない顧客の対応が後手に。また、機能追加の度にプロセスを変更する必要がある。

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さらなるセルフオンボーディングを目指して
オンボーディングのアップデート&標準化。より短期間に顧客のやりたいことを実現するため。
タッチポイントも増やしていく。常にアクセスできるオンライン、オフラインのセミナーを実施。機能や目的に応じてコンテンツを増やす。
コーチング。セミナーやラーニングの受講状況、機能の利用状況から手を差し伸べるような施策を実施。
オンボーディングフローやサクセスフローなどを常に見直している。

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現状はまだまだ四苦八苦中。

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組織体制の見直し
COSを見直し、全員がCSMの体制に変更。
Enterprise CSM →担当制&アソシエイト。オンボーディング、定着、アップセル・クロスセル、更新を担当
SMB CSM→ n:n でのサクセスに取り組む。オンボーディング管理、定着、アップセル・クロスセル、更新を担当
CS OPS→データの可視化、オペレーションの整備、ホワイトスペースへのアプローチなどを担う。

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新しい組織体制
全てのクライアントに対してオンラインでトレーニングプログラムを実施。全てのプロダクトでのオンボーディング〜定着までをフォロー。リード〜クロージング期間の短縮も見込む。
セルフオンボードへのさらなる投資、オンボーディングマネジメントへの挑戦も行っていきたい。

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まとめ
SmartHRとして引き続きオンボーディングはとても大事。リスクが計れ、ポテンシャルの予測も出来るため。

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メッセージ
オンボーディングに完成はなく、色々やってから形を整えるのが良い。製品の状態や会社のフェーズによってオンボーディングの形は色々ありうるため、プログラム化や体系化を目的と考えず、あくまで効率化のための手段と考えるべき。組織変更も単なる手段。

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補足
SmartHRで追っている指標は「継続率」と「NRR(Net Retention Rate)」
なぜNRRなのか?
→サクセスしている状態をわかりやすく表してくれる
→事業成長に大事な指標だから
現在のSmartHRのNRR=約125%
既存顧客からの売上が増え続け、かつ、新たな顧客が増え続けている状態。

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パネルディスカッション

CSとSaleS、開発など他部署とのコミュニケーション不足は我々も課題と考えていますが、SmartHRさんではどのようにそれを解消しようと考えていますでしょうか?
高橋
他部署とCSとの連携のためにPMMという部署・ポジションを作った。開発が作ったものに対して、どうやって売っていくのか、どういったところを攻めるべきか、を考える組織。海外では広まりつつある職種。
藤江
コミュニケーション不足=関係性を意識。セールスに対してはサーベイの情報を元にコミュニケーション不足を解消。開発とは運用支援を検討する場を設けている。

セールスからCSMへの引き継ぎの方法を知りたい
高橋
全体的に引き継ぎフローがある。ティアによって異なるが、セールスフォース上のセールスステータスとチェックリストを元に事前に情報のすり合わせを行っている。チェックリストの内容は、業種業態や、従業員のメアドを収集できているかどうか、など。最近の非正規雇用、若い人はメアドを持っていない事が多く、その場合はメアド以外のアカウント登録方法を案内する必要がある。
藤江
セールスフォース上の受注をトリガーに、CSに引き継ぎ要請の通知が行く。引き継ぎ用のフォームにサービス導入決定の理由など、いくつかの情報を入力して貰った上で引き継ぎを行い、キックオフに臨む。以前はメールやテキストベースで引き継ぎを行っていたが、実際にキックオフをやって温度感を確かめないと伝わらないこともある。結果、あとから炎上する案件はなくなった。

SmartHRのお客様にとってのサクセス(成功)とは何ですか?それにあたっての第一歩であるオンボーディングの定義の1つとして挙げていた「サービスの価値を感じる」の価値とは何ですか?
高橋
決めていない。製品のレベル、内容によってかわるため、決めていない。一つ言えるとすれば、SmartHRを使うことで時間が空き、それによって担当者が評価され、新しいことに取り組むことができ、キャリアアップが出来る、ということが、ある種サクセスと言えるかもしれない。SmartHRの導入に載ると辞めるというジンクスがある。労務担当者は目立たないため?SmartHRの事例に載ると目立てるのかもしれない。担当者が辞める場合、引き継ぎがされないなどリスクが生まれるため、
藤江
サクセスの定義は以下の4つ。利用が促進されていること、費用対効果を感じられていること、自走していること、ロイヤリティが上がっていること。
費用対効果はROIレポートを年1回顧客に提出することができれば、費用対効果が上がっているとみなしている。

チェックリストについて、もう少し詳しく知りたいです

高橋
顧客がいつまでにどの機能を使いたいかをヒアリングすることが目的。顧客に書いてもらう、宣言してもらうことが目的。日々変わっていて、デザイナーに作ってもらっている。

オンボーディングで①上手く立ち上がるお客さん、②そうでないお客さんの違いは何ですか?②を①にするためにはどうすればいいですか?涙涙涙
高橋
営業とのギャップはどこかにはある。営業は納得してもらって導入してもらっていると思っているはず。そのへんの温度感みたいなところにギャップがある。仮説を持って取り組んでいく予定。
藤江
パートナーに販売してもらうことが多いため、ほかプロダクトとセットで売られるケースがあり、そういった場合に立ち上がっていないケースが多い。そういった場合、リニューアルセールスが再立ち上げに注力している。
小林
一度オンボーディングに失敗すると再立ち上げはなかなか難しい。でも、一定数、オンボーディングの時点で全く連絡が取れず立ち上がらないケースはある。そういった顧客をどうにかしようとすることは諦めている。どうやってもどうにもならないため、その時間を他の顧客に充てるようにしている。

オンボーディングフローにおいてSFDCをどう活用したか具体的に知りたいです。(項目作成、顧客のヘルススコアの管理等)
高橋
オンボーディングは一つの商談として扱っている。その中にフェーズを作って管理。オンボーディングのフェーズは6フェーズ。ヘルススコアはBIツールを使って見ている。

オンボーディングの時にお客様側の優先度が上がらず、先に進まないお客様がいて苦労しています。どのような工夫をされてますか?
藤江
長期的に持っても余り意味がない。連絡が取れなくなってから○ヶ月、のようなしきい値を設けてオンボーディング担当からCS担当に引き継いでしまう。
高橋
連絡取れない等の場合は営業に戻していた。新規の熱意ある顧客を優先したいため、営業にフォローしてもらっていた。こういった顧客が一定数存在するのはSaaSあるあるだと思う。
小林
ベルフェイスでもオンボーディングが進まない場合は営業に戻している。営業=担当だと思っている顧客がいるのと、営業が接点を持っている決裁者から再度アプローチするとやり直しやすいため。それでもダメな場合は死亡フラグ。

キックオフで確認していることはなにか?
高橋
何がしたいのか、の再確認は大事にしていた。現在はチェックシートの入力がその役割を担っている。
小林
ベルフェイスでも何をしたいかを握り直していた。そこが握れていれば、顧客が目指していることを引き継ぎやすい。それに対して効果が足りていれば次の目標に進めるし、足りていないのであれば何をする必要があるのかをすり合わせれば良い。

セルフオンボーディングを進めるやり方はあるか?
高橋
営業の段階でセルフオンボーディング用のコンテンツは紹介するようにしている。サービスを使いだすタイミングでそのコンテンツの存在を認識しているのが大事だとは思う。が、なかなか難しい。勉強しろ!って言われてもしない人がいるのと一緒。
小林
プロダクトによって違いはあると思う。セルフオンボーディングだけでやりきれるプロダクトと、セルフオンボーディングはあくまで補助であるべきプロダクトがあるはず。Salesforceのゲーミフィケーションはうまい仕組みだとは思う。

オンボーディングフローの改変を行なっていて、さらにハイタッチに変えています。リソースが追いついていませんが、それでもやり切った方がいいでしょうか?
高橋
何か優先することを決めてやったほうが良い、優先順位をつけた上で、それでも落ちるようなら考える。
藤江
状況がわからないとなんとも言えない。フェーズや状況次第。

オンボーディング6フェーズ具体的に知りたいです!
高橋
オンボーディングを組み立てる(キックオフ)
運用を決定する(やることを決める)
展開の準備を行う(メアドの回収など)
従業員に展開する(ユーザーにログインしてもらう)
クロージング(次のステップを握る)
オンボーディング完了

まとめ、感想その他

『これまでのオンボーディング手法をぶち壊せ!』という刺激的なタイトルだったのでどんな話かとちょっとドキドキしたが、SmartHR社が直近一年で取り組んできたオンボーディングの取り組みの共有で、壊されたのはオンボーディング専門組織であって、オンボーディング自体はこれまで以上にCS組織全体でしっかりと行われている、というお話。
セルフオンボーディングを強化する、という話は、プロダクトや顧客がEnterpriseなのかSMBなのか、等によってそのまま横展開出来るものではないとは思うが、ロータッチ・テックタッチで賄うということではなく、顧客が自走できる環境を予め用意しておくことでよりオンボーディングがスムーズに進められるように思う。
細かい話ではあるけれど、オンボーディングを”商談”としてSalesforceで6つのフェーズに分けてパイプライン管理している、というの話はすぐにでも導入できそうなので、自社でもフェーズを整えたうえで、盆休み明けからやってみようと思います。


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