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松本潤の下ハモの魅力について。

突然だが、松本潤くんの嵐の楽曲における歌声の素晴らしさについて力説したい。

先日発売された嵐が表紙のTVガイドで「このメンバーといえばこの曲!」というトークテーマでの座談会があったのだが、松本潤専門家の4人は嬉しそうに、潤くんをマニアックな視点で褒めちぎっていた。

最後に相葉ちゃんが切り出してくれたのが、
「松潤は下ハモの天才!」ということ。

そう!!そうなんです!!その話を待っていた!!
とばかり、私は興奮が抑えられなくなり、相葉ちゃんに加勢するため勢いで筆をとっている。
非常に長くなるが、お付き合いいただきたい。



◯CDの最後に入っていたカラオケ音源

私は嵐ファン歴16年、多くのファンがそうであるかもしれないが、ただ「かっこいいな」というだけでなく、人生においてありとあらゆる影響を受けてきた人間だ。

嵐を好きになったきっかけは、小学生の時初めて自分のお小遣いで買った「WISH」だった。当時は花男の主題歌という意識しかなく、潤くん以外の4人は正直目に入っていなかった(笑)

つまり、嵐のビジュアルより先に、彼らの楽曲、歌声に魅了されたのが始まりだったのだ。
そしてこの時、彼らが素敵な曲を歌う限り、私はどんなことがあっても嵐を好きでい続けるだろうと思った。

初めて自分で手に入れたCDを毎日飽きもせず聴きまくっていた頃、学校の仲の良い先輩が音楽室のピアノでさらさらとWISHを弾いてみせたことがあり、興奮した。

習い事のピアノでクラシックしか弾けないことを物足りなく感じていた私は、そこで好きな曲を耳コピして自由に弾ける、という楽しさに目覚めた。

できる限り原曲に忠実に弾くためには、伴奏部分の研究が必要だ。
そこで、嵐のCDは必ず通常盤を購入し、カラオケ音源を貪るように聴くようになった。下で流れているベースラインやストリングス、ドラム、そして、男声コーラスに細かく耳を傾けた。
そのように楽器やコーラスを分解、分析していくと、嵐の楽曲の素晴らしさがさらに深く味わえるようになる。

特に興味を持ったのが、ハモリ部分だった。
ハモリを覚えると、嵐と合唱することができるのも楽しい。

次第に音楽の合唱の授業でも進んでアルトパートを担当するようになったが、裏方に徹してメロディを輝かせ深みを与える、縁の下の力持ちのような役割がとても心地よかった。
音量や歌い方やリズムを主役に瞬時に合わせていく、臨機応変な対応を工夫するのも面白く、どんどんはまっていった。


◯ただの男声コーラスから「松本潤のハモリ」へ

ある時から、嵐のカラオケ音源にハモリの歌声が入らなくなった。

つまり、ハモリをメンバー自身が歌うようになったということだ。

何かのメイキングで潤くんが「俺は年齢と共に声が低くなってきてメロディが出せないから、下ハモ(メロディより低音でハモること)に回る(笑)」と言っていたことを覚えている。

その時は自虐的に聞こえたが、実は下ハモはものすごく難しい。しかも4人が主旋律をそれぞれ個性の際立った声で歌う中、たった1人でつられずに歌わなければならない。

私も、以前に増して注意深く潤くんの声を拾うようになった。
それまではおそらくスタジオミュージシャンの方が入れていたコーラスが影を潜め、嵐5人だけの声になったことで、ぐっと曲に深みと広がりが生まれた。

「嵐の曲だ」という実感がより強くなったのが、嬉しかった。


潤くんは独特の平べったく鼻にかかった声を持っている。甘くセクシーで、彼の素晴らしい個性であることは間違いない。
ただ、高音になると4人に比べてその特徴が目立ってしまい、苦しそうだった。スパーンと透き通るような声を持つリーダーやニノとのユニゾンはなかなか厳しいなと感じる時もあった。

その歌い方が、ガラリと変わった。
低音担当になったことで、潤くんの柔らかく温かな声色が存分に活かされる結果となった。

それだけではないだろう。
潤くんは意識して、歌を変えてきたのではないかと想像する。

2016年に発表したソロ曲の「Baby blue」でも、それまで彼の代名詞だった打ち込み系サウンドから180度カラーを変え、生バンドの豊かなグルーブ感溢れる伴奏のもと、驚くほど魅力的な歌声を披露したのが印象的だ。

「俺様」「ドS」といった強いキャラクターのイメージを乗り越え、"ゴリゴリにカッコつけて歌う"のとはまた段階の異なる表現を見出したように感じられた。
(余談だが、昔はメンバーから「軟体動物」と言われていたくねくねダンスも、この頃から目を見張る変化があったように思う)

それができたのは、本人は言わないが、おそらく多忙の合間を縫ってボイストレーニングに励んできたからだろうし、ジャンルを問わず世界中のエンターテイメントから学ぶ彼のすさまじい吸収の姿勢にも大きな要因があるのだろう。

特筆したいのは、世界的指揮者の佐渡裕さんや、作曲家兼指揮者として活躍する山下康介さんなどと交流を持ち、5×10や5×20のライブでオーケストラを何度も指揮しているということだ。

私も長年オーケストラに所属していた。あれは決して"フリ"ではなく、徹底的に勉強した上で完璧な指揮をしていることは一目瞭然で、ただただ涙を流して感動した。
指揮台に立って堂々と棒を振れる人間は限られている。

松本潤という人はそこまでするのか、そんなことまでできるのかと、私は毎回口をあんぐり開けてしまうのだ。

指揮者のように全体を俯瞰した上で音を聞き分け、バランスを取ることができる彼がハモリを担当するのは、必然であったと考えられる。


◯下ハモの難しさとは

いよいよ、潤くんの下ハモの何がそんなにすごいのか、少し専門的な話も含めながら解説したい。

ハモリにも様々な難易度がある。
メロディの一部に短く重ねたり、音を長く伸ばすのは最も簡単である。

その他は、大抵は主旋律の3度上(ドとミ、レとファなど、聴いていて心地よい和音)でハモるパターンが多い。
主旋律と等間隔で動いていくので、出発点さえ間違えなければその後はなんとなくついていけるものだと思う。
常にデュエット曲を発表するコブクロやゆずのようなアーティストは、2人のパートを平等に聞けることを意識しているのか、この王道パターンであることが多い。

難しいのは、そうした法則性を一切無視したハモリだ。
主旋律と全く関係のない動きをするため、引っ張られやすいし迷子になりやすい。時には曲に意外性や展開を持たせるため、ハモリのみ最後の一音で半音ずらす、という技まである。

さらに、上ハモであれば文字通りメロディの上にそっと乗せるだけで成立するが、下ハモは下から支えなければならないので、メロディがブレた時にもろにダメージを受ける点が厄介だ。
それなのに上ハモよりも圧倒的に地味で、耳をすまさなければ意識すらされない。

ここまで来ると懸命に練習したとしても、相当な音感の持ち主でない限り本番で完璧にハモることは不可能に等しい。
椎名林檎や、最近だと米津玄師など凝った旋律を編み出すアーティストは、ハモリを聴き分け、つられずに歌うのは困難だと感じる。


そこで登場するのが、私が潤くんの下ハモで最も好きな「Find The Answer」だ。
この曲はまさにその最難関をこれでもかと詰め込んだパターンだと思う。
何年も研究し続け、今ではどんな曲も一度聴けば大体ハモれる私でも、何度聴いてもなかなか覚えられない。

曲のテンポも早く、シンコペーションも多く複雑、しかも通常のサビと、間奏後にリーダーと潤くんがデュエットで歌うサビのハモリが異なる。

だからこそ、リーダーの水が流れるような美声と潤くんの柔らかで感情豊かな低音がぴったりと重なった瞬間は芸術的と言えるほどで、全身に鳥肌が立つ。

自らも歌割りの中で間奏後のソロなど印象的な主旋律を歌い、しかも激しく踊りながらそれをやってのけるのだから、途方もないことなのだ。

繰り返すが、4人対1人だ。
相当神経を集中させなければ、4人のメロディにあっという間に飲み込まれてしまうだろう。
私なら、下ハモをやる時は主旋律の方を常に伺い、色々と調整しながら歌うので難しい顔になってしまうと思う。
潤くんは、まるで自分がメインパートを歌っているかのような真正面のキラキラスマイルのままで、完璧な音程と主旋律とのバランスを保ちながら超難関ハモリをさらりとこなす。
途方もない。



◯支えながら、進化する

最後に、今現在の嵐の音楽について触れておこう。

ここ2年ほどの最新曲は、今までにない曲調や英語の歌詞が注目されている。

こと英語に関しては、天性の耳の良さで歌に関して完璧な発音とニュアンスをマスターするリーダー、学生時代から着実に積み重ねてきた知識で"通じる"言葉を話せる翔くんと共に、また口には出さないが血の滲む思いで猛勉強する潤くんの姿が見える。

本当の意味で世界に嵐を巻き起こすには、英語のクオリティは必須だ。素晴らしい楽曲を提供してくれるプロデューサーに嵐の意見をしっかりと伝え良い作品を作るため、何より海外から応援しているファンに自分の言葉で感謝を伝えるための努力なのだろう。

それでもなお、歌を通して伝わるのは
"いつもの嵐"の安心感なのだ。
慣れない言語で"いつもの"ができるということが、どれほどすごいことか。


最近の斬新な歌割りの楽しみも見逃せない。
伸びやかな高音が得意なリーダーやニノに加え、相葉ちゃんのハスキーで美しいファルセットも話題に上ることが多くなった。
常にフラットな声でバランスを取る翔くんも、時折セクシーなハイトーンを爆弾のように仕込んでくるから心臓に悪い。
総じて男性の高音はかっこいいから、思わず注目してしまう。

しかしここでは、職人のようにひたすら地道に、長い間嵐の曲を下ハモで支えてきた潤くんを改めて讃えたい。
潤くんの歌声は、今もなお進化し続けている。

常にキラキラと輝き5人の中心に立って先導していく人が、ライブ演出のみならず楽曲面でも嵐の縁の下の力持ちを兼任し、4人を引き立てているところに大きなロマンがある。

活動を休止しても、嵐の曲を聴けば、歌い踊る姿を見れば、いつも一緒だと感じることができる、と潤くんは祈るように話していた。

嵐がファンに贈り続けてきてくれた素晴らしい楽曲を改めて噛み締めながら、残り1ヶ月、エンターテイナーとしての5人を1秒も漏らさず目に耳に焼き付けたい。



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