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俺とお前とDTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW

立木文彦ショー開幕!

DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOWを観てきました。なんちゅーかその、懲りもせずにまたざっくりとしたくだらない感想を書きました。ネタバレがありますので、まだ未見の方はお気を付けください。


なんだかモッサリとしたオープニング。

やり過ぎるほどのアクションで人気を獲得してきたHiGH&LOWがスピンオフ映画を出す、しかもダン、テッツ、チハルの3人が主役でアクションなしのコメディだと言うことで、正直に言うと、アクション抜きでコメディ主体のハイローに少しばかり不安を感じていました。だからでしょうか、映画が始まってすぐのオープンカーでパーティー会場に向かうシーンに僕はちょっと違和感を感じたのですよ。あのHiGH&LOWのスタッフがドライブシーンを空撮しているにも関わらず、随分ともっさりとしたスピード感で正直なんだかカッコ良くないなぁ、などと思ったのです。いつものHiGH&LOWの豪快でカッコイイオープニング映像を期待していたので、なにか腑に落ちないというか肩透かしを食らった気がしました。今回は人情コメディだからカッコよくしないのかな・・・などと微妙な引っ掛かりを感じつつ、舞台はパーティー会場に移るのですが、何の説明もないまま唐突に始まる歌とダンスに過去作品とキャラクターをちゃんと理解している僕でも話の流れに置いていかれている感じがしてしまったわけです。置いて行かれるも何も、オープニング1分でなんの説明もなく街が爆発してチンピラを満載したダンプが商店街に突っ込んでくる映画のスピンオフなんだから唐突に歌とダンスが始まっても別にいいだろ!と言われたら、それはまあそうなんですが。でもやっぱり不安というか違和感というか、一体何だこれは?という気持ちを引きずったまま、話は少し前まで遡っていくのです。

どうしちまったんだよテッツさん!?

前作のファイナルミッションの後、真面目に檀商店の家業に勤しむダン、閉店した実家の風呂屋で空になった浴槽に寝転がりぼんやりと天井を見上げるテッツ、バイト先で健忘症のおばあさんに優しい配慮を見せるチハルの姿が描かれるのですが、まさか物語がスタートして数年の時を経て、常に何かをやらかす問題児だったチハルがバイトを頑張る心優しい若者となり、悪っぽいドレッドヘアなのに家業を手伝う好青年だったテッツがサッパリした髪型でニートのユーチューバーになるとは思わなかったわけで、時の流れとは感慨深いもんだなーなどと思ったりしたわけです。で、オープニング直後のサウナに唐突に登場した村田雄浩演じる異様な存在感を感じさせる名もなきサラリーマンやたて笛兄弟に感化された3人が旅の準備をするシーン、ここでテッツが「意を決して割った貯金箱に小銭しかないという」という漫画やアニメでの定番ネタをやるのですが、彼の過去の働き者ぶりを知っているがゆえに、テッツに対しての(テッツ、お前ヤベエな・・・)という気持ちがどんどん強くなってくのです。さて、女子大生のグルメ旅行のような男子のイチャイチャを見せつけたり次回作の宣伝やカップヌードルのCMを挟みつつも人情コメディの舞台となる温泉宿にたどり着いたDTCの3人なのですが、なんちゅうかもう、とにかくデリカシーがない。ダンは父親を亡くしたことが心の傷になっている旅館の娘のメグミちゃんに、チハルは恋敵である宮崎さんに割と無粋な感じでそれぞれの事情に立ち入ってしまうのですが、会って2、3日日くらいで「俺バカだから直接聞きますけど」などと雇用主である女将さんに宮崎さんへの恋愛事情をぶっちゃけで聞いてしまうテッツさんに僕はもう震えが止まりませんでしたね。このデリカシーの無さはTVシリーズで入院中のノボルに恋人のミホの話をしたり退院のお祝いの席でミホと別れた話を蒸し返したりした山王連合会が誇るノンデリカシーヘビー級王者のヤマトや、はべらした女たちの前で自殺した姉と母親のそばで焼きそばを食べてた話をするロッキーさんレベル。ノボルといい琥珀さんといい、ハイローは常にどうかしちまう人が出てくるわけなのですが、個人的にはテッツも「どうしちまったんだよ枠」にランクINしてしまいました。

ダンさんの優しい運転。

物語は女将に恋をしたチハルの勘違いを軸に人情コメディにありがちな恋のピエロから恋のキューピッドへ・・・という展開に入るのかと思ったら、チハルは早々に自分の勘違いに気づくのですね。そこから恋の勝負ではなく、この不器用な家族を応援したい、という流れに入ると物語は寄り道もせずにドンドン進んでいきます。方向が定まったら一直線。なんとも分かりやすい。そしてクライマックスは僕が違和感を感じていたオープニングシーンに。カッコよくないなと感じていたあのもっさりとした運転は、実はメグミちゃんを乗せてパーティー会場に向かっているダンの優しい運転だったと分かるのです。ああ、そうか、そうだったんだ・・・、と気づいた瞬間にもうグっと来てしまう。あのモッサリした運転こそが、この映画のオープニングに相応しい運転だったんだなと気づかされるのです。そしてここからオープニングの歌とダンスの詳細をしっかり見せていくことで、あれが全て3人の親子のために登場人物が一丸となって作り上げていたものだったことを改めて実感するのです。全てはあの家族のために。それが分かった瞬間、僕の中でこの映画への愛がググーッと深まっていくのです。

あいつらはマスターにお金は返したのだろうか?

悪人も居ない、妨害もない、ちょっと不器用な家族を応援したいだけの優しい世界。たて笛兄弟も、スナックのママも、女将さんと宮崎さんを送り出した旅館の従業員たちも達磨ベイビーズも、SMGもクラブヘブンの女たちも、立木文彦も、登場人物は誰一人としてDTCの邪魔をしたり足を引っ張ったりはしない。たまたまたどり着いた温泉宿にたまたま縦笛兄弟がやってきて、たまたま達磨ベイビーズとSMGたちがやって来た。みんなが協力的で妬みや嫉みもない。人情コメディだからってこんなのご都合主義だろ、と思う人がいるかもしれないけれど、家族を皆殺しにされたり、親友を車で引き殺されたり、コールタールみたいなごま豆腐を飲まされたり、街が爆破されたり主要登場人物が公害病で死んだりする世界なんだから、たまにはこんな優しい世界があっても良いのではないだろうか。全ては日テレのドラマから始まったのにテレ朝の某討論番組のパロディをやっても大丈夫なの?とか、あのパーティ会場を借りる経費はどのくらいなんだろう?とか、結局カップヌードルの宣伝じゃねえか!とか、そんな無粋なツッコミ話はもうどうでも良いじゃないですか。最後のセリフを照れながら呟いたダン、走っていく3台のバイク、それを空からグーンと追っていくカッコイイ映像。これはまさしくHiGH&LOWだ。本当に楽しくてカッコイイ映画だった。大好き!!!!!!!!!!!!

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