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俺とお前とHiGH&LOW THE MOVIE3


喉の奥に注げ!マズそうなスムージー!(味は美味しい)

 HiGH&LOW THE MOVIE3の完成試写会を観たらお気持ちを表明したくなりましたので、適当なことを適当な感じで書き散らして広大なインターネッツの海へお米のとぎ汁のようにどんどん垂れ流したいと思います。この幼稚な文章にはネタバレや誇大妄想、大きくなった僕へ、元気にしてますか?きっと今頃は立派に成功して大音量でヒップホップを流しながら新車のハマーで海沿いの街を走ってるんでしょうね・・・などという未来の自分に宛てた悲しいメッセージなどを含みますので、物語の核心的な情報を知りたくない方や病的な妄言などを読みたくないという方は今すぐページを閉じるなり、お手持ちのスマートフォンやパソコンなどの電子機器を電子レンジに入れて30時間くらい加熱し続けるなり、各テレビ局にやくみつるの顔がとても気に入らないのでテレビには二度と出さないでください、という苦情電話などをかけるなどして各自で何とかください。よろしくお願いします。

 遂にシリーズの最終章ということですが、前作と今作の短期間での連続リリースという何をどう考えても完全にどうかしちゃってる状況で一体どうなることかと不安を感じつつもスクリーンをネットリと凝視してきたのですが、映画を見終わった後は、なんちゅーかその、困惑の気持ちがかなりありました。だってテッツの親父が渡辺裕之だなんて思わなかったから…。映画の前情報を出来るだけ遮断してたのでキャストの名前も見てなかったから完全に油断してて、山及湯のドアが開いて渡辺裕之が出てきたときにえ?あれ?え?渡辺裕之???と動揺してしまい、え、じゃあスクラッパーズとの喧嘩や鬼邪高のチハル狩り、ラスカルズのITOKAN強襲や達磨の殴り込み、無名街大爆破や琥珀とマイティとダウトのSWORD地区総攻撃の間、山及湯の番台には実写版クロマティ高校のフレディみたいな感じで渡辺裕之が座ってたの…?もしかして鬼邪高=クロマティ高校?みたいなどうでもいいことを考えてしまってそのあとのテッツの親父が何を言ってるの頭に入らず集中も切れてしまって本当に大変でしたよね。

 いやまあ真面目な話、初見のときは色々な出来事が起こりすぎて脳内でうまく処理が出来なくて本当に困ってしまいました。散りばめられてた伏線(というか恐らく方向性が固まって無かったTVシリーズの頃に出して投げっぱなしだった設定)を回収しようとする姿勢は立派だと思いますが、スモーキーとシオンと二階堂の設定はそれこそTVシリーズでやっておくべきだったと思いますし、シオン抜きで話を畳むのも非常にモヤモヤしてしまいました。また、今作で主人公サイドへの協力者であることが判明した西郷に関しても、以前からそれらしき動きがあったとはいえ、狙撃された広斗を身を挺してまで庇うほどの職業意識の強い男であるならば、昼行燈として主人公サイドに接触していた頃のバックストーリーというか、事情なり理由なりを映像で提示してほしいと思うわけですよね。その辺は本当に残念に感じました。で、一番の不満は間違いなくスモーキーの最期ですよね。試写会での窪田正孝さんによる話の内容からも何らかの大人の事情があったのは分かりましたが、それにして前作のエンディングで流れた映像がほぼ全てって、それはどうなんだろうかと。公開直前に公式から提示された情報(流石にスモーキーの墓を見せるのはあんまりだと思いますが)からも大体の予想はできていましたが、色々事情があるにせよ、キリンジ&家村ズと二階堂によるサンドイッチ特攻→暗転→コブラ到着・安らかな死に顔、みたいなのは流石にあんまりではないかなと。せめて二階堂さんやキリンジたちがどうなったのか教えてほしいです。あと九龍総帥である久世会長が「我々はいつから奪う立場になったのか」みたいなことを言いだすのも正直どうなんだろうと思ったわけです。暗殺部隊や死体の後始末専門部隊を持ちSWORDの終わりを指示していた凶悪な犯罪組織の長が自分たちの過去の行いに疑問を持つようなことを言い出すと、見ているこっちが困惑します。家康みたいな風体なのに今頃になって何言ってやがんだこの野郎!葵三代の秀忠(西田敏行)と殴り合ってた頃のガッツを思い出せ!とか思ったりしましたね。そして前回唐突に起きた山王の分裂がこれまた唐突に出てきたテッツの親父のありがたいお言葉でなんとかなる流れも、渡辺裕之のインパクトがデカすぎて頭に入らない。チーム内の対立を引き金にリーダーの重責に焦れたコブラが単身で克也会長襲撃を行うも失敗し監禁、その失踪により仲間が動揺するという流れは良いのですが、不在期間がどれくらいなのかよく分からず、仲間たちが動揺する姿も殆ど提示されず、SWORDの各頭たちとノボルとヤマトがなぜか顔のアップだけになって夜の街を走りまわっただけで、危機感も今いち伝わってこず、結局、琥珀と九十九がドカーンと殴り込んで来てマズそうなスムージーを無理やり(しかし当のコブラ本人は美味しい!と思って)飲まされている囚われのお姫様状態のコブラを助けるという流れになってしまって、思わず(ヤマトたち走り損…!)って突っ込んじゃいましたし、あ、琥珀・コブラルートのフラグ立っちゃった…という余計なことも考えちゃいましたし、前作では仲たがいしたけどなんだかんだ言ってもDTCが助けに行くんだよネ!などと安易に思っていところもあったので、これだと結局DTCは仲間の危機なのにヤクザにビビって駄々こねて出撃拒否をしてたけど異様に頼もしい渡辺裕之が出てきて説教されて反省しただけじゃないか・・・って悲しくなってしまった。何て言うんですかね、スピンオフでのギャグ要員としてではなくもっと本編でダン・テッツ・チハル&カニ男を大事にしてあげてほしいと思ったわけです。

全シリーズ中最高濃度のHiGH&LOW感

 困惑だとか不満だとか、まあいろいろ言ったわけなのですが、じゃあ面白くなかったのかね?と問われたら、正直に言いますね。面白かったです。とても面白かった。めちゃくちゃ面白かった。最高に面白かった。でなければ完成試写会2回も見ませんよ。俺がHiGH&LOWに求めているのは映画としての出来の良さだとか質の高さだとかではないのです。開始早々無名街が爆発してトラックに乗った漆黒のスカウト集団が商店街に突っ込んでくるような、そんなHiGH&LOWにしか作り出せない奇跡のテイストなのです。しかも今作は過去のシリーズの中で一番荒唐無稽でした。上映前から公式より伝わってくる「政府が主導する無名街爆破イベント」「上半身裸で鎖につながれて生コンを飲まされる美形の主人公コブラ」「何の説明もなく琥珀さんのバイクに2ケツしてる斎藤洋介」「誰かの墓の前に立つ無名街の少女エリ」などの怪情報が、作品の中で何のフィルターもかけられずに本当に全てそのまんま出てきたのも凄いですし、更にそれらを上回る破天荒な展開が目白押しだったのも本当に凄い。公式も映画の内容も常にど直球勝負、それもすべてが見る者の頭部破壊のみを狙ったビーンボール。まさに最&高だったわけですよ。

とにかく悪いよ九龍グループ!

 今作では九龍グループが遂に重い腰をあげて本格的に攻撃を開始するところから物語が始まりますが、家村会だけを相手にしていたころは薬を作って売買したり車でひき逃げしたりITOKANに石を投げ込んだりするズルくて悪くセコい敵だったわけなのですが、今作ではグループ全体でリミッターを解除してやりたい放題の大暴れで最高でした。前作でコブラの前蹴りを食らった善信会長のお返しのヤクザキックを皮切りに、山王商店街や達磨一家への襲撃、ホワイトラスカルズの本拠地クラブヘブン買収、一応教育機関であるはずの鬼邪高校の焼き討ち、自殺に見せかけたショパン大臣の暗殺、無名街での人間狩り&収容所への強制連行という、ヤクザというよりもナチス・ドイツか悪の秘密結社レベルの悪っぷり。特に最高だったのが黒崎会長と善信会長が警察官僚の波多野と飛田大臣と行う接待ゴルフのシーン。普通の悪党ならばその辺のゴルフ場でも借り切って、ホールを回りながら悪事を企むのでしょうが、さすが九龍グループは悪のレベルが違いますよ。街中にある九龍が所持していると思われるビルの屋上で高級な酒を飲みながら打ちっぱなしゴルフ。街のそこら中にゴルフボールを打ち込まれるという常識的に考えても段違いのタチの悪さ。世間様にいちいち迷惑をかけないと死んでしまう病気かなにかとしか思えない九龍グループ、ほんとうに面倒くさい集団で最高です。

輝け!第一回斎藤洋介争奪暴力大会!(爆破もあるよ!)

 前作ではUSBメモリの激しい争奪戦が繰り広げられましたが、今作では隠蔽された公害の秘密を握る謎のおじさん馬場元(斎藤洋介)を確保することが物語の軸となります。普通の映画なら無名街の少女エリちゃんあたりがキーとなって怖い目に合いながらも立ち向かっていく姿を描かれたりするものですが、HiGH&LOWはそんな誰にでも考え付くようなこと安易な展開にはなりません。恐らく映画史上初の「組織暴力と街の自警団による斎藤洋介争奪戦」が繰り広げられることになりました。おかげで「キリンジに捕まってブルブル震える斎藤洋介」「収容所で組員に正体がバレそうになり必死で顔をそむける可愛い斎藤洋介」「結局ばれて殺されそうになって怯える斎藤洋介」「琥珀たちの乱入で慌てふためき逃げ惑う斎藤洋介」「ピーとタケシに囲まれて命乞いをする斎藤洋介」「琥珀のバイクに2ケツして赤い法被を着たなんだかよくわからないチンピラ集団が花火をもって特攻する姿を険しい目つきで(おそらく「この人たち誰?」って思って)見ている斎藤洋介」そして「クライマックスでまさかのHiGH&LOWのメインテーマで壇上に向かう斎藤洋介」など、これでもかというほどの斎藤洋介てんこ盛り状態。まさか応援上映で応援するために考え出されたのではないだろうかと思うほど過剰な斎藤洋介フィーバーに驚愕しましたね。普通に考えるとゲスト扱いのぽっと出キャラに作品を象徴するメインテーマを託すなんてことはまずあり得ないわけですが、しかし公害の事実を知りつつも政府とヤクザに命を狙われて何十年も逃げ続けていた馬場元という悲しい老人が権力と暴力に立ち向かい壇上に進む姿はメインテーマを流すに相応しいわけですよ。まさに超全員主役。これこそがHiGH&LOW。そしてもう一人の証拠となる無名街の少女エリ。こちらはあまり怖い目には合わずにスモーキーの眠るお墓の前で王子様のようなコブラが迎えに来てくれるというまるで少女漫画のような展開になるわけなのですが、まさかその直後にコブラと2人で爆破地帯を走らされるというビートたけしのお笑いウルトラクイズのような衝撃的展開が待ち受けてるとは思いませんでした。これもまたHiGH&LOWなのです。

まとめのお言葉

 全く不満がないというわけではないのですが、それでも琥珀たちの廃ビルからの脱出劇のアクションや、ラストバトルでの長ドスを持ったターミネーター源治相手に素手の雨宮兄弟が手足にチェーンを装着するというジャッキー映画を思わせるような展開には素直に感動しましたし、琥珀とコブラの関係性(琥珀にだけは弱音を吐くコブラ、そんなコブラを気遣う琥珀)や村山とチハルのやり取り、山王連合会と一緒に行動する際にMUGEN時代のコミカルさが戻っている九十九などシリーズを通して描かれるキャラクターの姿には喜びを感じます。そしてよりにもよってDTC&カニ&九十九で行う驚異の爆弾解体、恐らく義務教育を受けていないルードボーイズ&頭が残念なヤマトでもちゃんと分かるように極秘資料に大きく書かれた「TOP SECRET」の文字、ヤクザを片手でぶん投げる琥珀さんの人間カーリングを目撃して絶句しつつも律義にスモーキーの遺言に従って琥珀の力を借りて誰よりも高く飛んだピー、TVシリーズやTHE MOVIEに出ていたノボルと一緒に働いてた家村会の幹部たちが健在だったこと、植野会長がシーっと言ったらピタっと止まるBGM、モグラを炙り出した藤森会長の隣にいるだけでなんだかやけに面白く見えるジェシーなど、個人的にツッコミたい部分を上げていったらキリがなく、結局のところファイナルミッションは最&高だったわけです。まあ色々と厳しい批評もされていることだと思いますが、自分は加点法で採点してますので満足度は1億を超えてます。HiGH&LOWは今作も含め、全シリーズ本当に楽しかったですし今後もどこまでも追いかけて泣いたり爆笑したりしていきたいと思います。ただ、「藤森会長の極端な怒り肩」という設定と久世会長の「俺の夢」が一体何だったのか全然分からなかったのが本当に心残りですので、もしもエゴサーチしてるスタッフの方が何かの間違いでこの駄文を目にしたのなら、次回作ではアレがなんだったのか僕たちにコッソリ教えてください。よろしくお願いします。(おしまい)

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